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竜牙兵

『竜牙兵は戦士の役目を奪っている!』

『竜牙兵は使うな!』

『戦士の人権を守れ!』



 いつごろからか、そんなプラカードを持ち、シュプレヒコールを挙げながら行進する者たちが増えた。

 竜牙兵とは、竜の牙から生まれる骸骨の姿をした兵士のことだ。コマンドワードを唱え、竜の牙を放り投げるとその牙がたちまち骸骨の姿に変化し、立ち上がるのだ。

 竜牙兵は左右の手にそれぞれ剣と盾を持っており、戦士のように前衛で戦わされることが多い。その実力はかなりのもので、下級モンスターくらいならあっさりと切り伏せることができる。

 竜牙兵が使われると戦士の出番が減るという指摘は、紛れもない事実であった。


 そう考えると、デモを行う者たちにも一分いちぶがないわけでもない。

 実際、自分の仕事を奪われることは食べていけなくなることと同義であり、恐ろしい事態だからだ。

 なお、行進する者たちの中には戦士をはじめとした冒険者の姿は見当たらなかった。きっと、戦士を思いやる心優しい一般市民が参加していたのであろう。


 デモの効果が徐々に表れ、戦場で竜牙兵が使われる機会はどんどん減っていった。

 そのうち、冒険者たちが竜の牙を持ち歩くことすらしなくなった。何しろ、お店で竜の牙を買おうとすると、恐ろしい顔をした市民が文句をつけてくるのだ。

 最終的に、お店から竜の牙が完全に撤去されるまでに時間はかからなかった。

 戦士の立場がおびやかされることはなくなったのである。

 この快挙の結果を受けて、デモに参加した者たちは喜び、仲間同士で称え合った。自分たちは間違っていなかったのだと。


 竜牙兵が使われなくなったことで、戦士は前線でずっと酷使されることが多くなった。

 やがて、戦士は蓄積した疲労がもとで戦いに敗れ、死んだ。

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