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十四回転生の疲弊系賢者、今度こそ終わりたい ~ポンコツ女神を猫にして輪廻を終わらせる~  作者: 在河琉盤
序章

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幕間 文学を愛する神々の集い1

幕間です。

「さて」


声の主が、何かを始めようとする人間特有の咳払いをした。


特有、と言っても三柱とも人間ではない。


だが、そういう雰囲気がある。そういう神メルクだ。


四人掛けのテーブルを三柱が囲んでいる。


窓の外では何かが光っている。神界では珍しくないことだ。


テーブルの上には飲み物と、本と、誰かが持ってきたらしい焼き菓子が一皿ある。


一脚だけ椅子が空いていた。


「最近神界を賑わせている転生システムの件ですが」


メルクが手元の本を閉じた。


「我々にも無関係ではなくなってきましたので、一度整理しておきましょう」


「あー……それ苦手なんだよねぇ」


向かいの席から緊張感のない声。


見た目は完全にギャル風。纏う空気もいかにも。


どうしてこの場にいるのか?と誰もが思う。


そういう神ヴェヌだ。


「難しくて?」


「いや、なんか話聞いてるうちにどんどん分かんなくなるっていうか……最初より分かんなくなるやつ」


「分かるわ」


静かな声が入った。


まさにお嬢様というたたずまい。常に場を支配している——と本人は思っている。自称、エランの読書盟友。神ソレイだ。


「でも今は必要な知識よ。続けて」


ソレイは、エランの部屋に勝手に入りこんでは読書に耽っている。


***


「では、簡潔に」


メルクが姿勢を正した。


「神界では古来より、”星”と呼ばれる擬似魂を用いて従者を生み出す文化があります」


「あるある」


「で、これが壊れやすいので、永続化しようとしたのが”転生システム”です」


「永続化って?」


「壊れても、何回も治るってことよ」ソレイが補足する。


「作りなおせばいいじゃん」


「そこがみそですね。普通に壊れると、記録がなくなってしまうんです」


「あー、一から教育のやり直しね」


「その通り」メルクが頷いた。


「積み上げた経験も記録も全部消える。それを解決したのが——」


「”転生システム”だ!あ〜〜なるほどね」


ヴェヌが深く頷いた。


理解した顔をしている。半分くらいしか理解していない。


「同じ従者を永久に使える」メルクが指を立てる。


「つまり、優秀な従者長を育てれば、ずっと丸投げできるってことね」


「そうです」


メルクは満足そうに頷いた。


「画期的すぎたため、神一柱につき一つしか付与されませんでした。」


「はぁ~制限付きSSRか」


「だいたい合ってます」


「それをエランちゃんは、人間に使っちゃったと、勿体なー」


「エランは好奇心の塊なのよ」こほんと軽く咳払いし、ソレイが話を戻す。


「で、最近この”転生システム”の件で神界がざわついているんだったかしら」


「ええ。狂科学者と呼ばれる神が新説を出しまして」


「やばい匂いしかしない」


「”転生システム”には“バックドア”が存在する可能性がある、と」


「バックドア?」


「外から止められる可能性です」


「え、それって……つまり」


ヴェヌが眉を上げる。


「他の神の従者長を、奪える」


「理論上は」


「やば」


「武闘派が動き出すのも当然ね」


***


「そして、もう一つ」


少し間。


「エランさんが最近どこにもいない件です」


「あ〜……それ」


「リュンから聞いたわ」


「そのエランさんですが」


メルクは本を指で叩いた。


「この『深海の宝玉と神話の神』で、転生に関する考察を残していた」


「なるほど……」


ヴェヌが指を折る。


「輪廻でざわつく」「うん」


「エランちゃんの考察がある」「うん」


「そのエランちゃんが消えた」「……うん」


「つまり!!」


「言わなくていいわよ、もう分かる」


「エランちゃん、これ、やらかした!?」


「そう考える神が増えています」


ソレイが静かに頷いた。


「他の神まで動いてるなら、そういうことね」


***


「……なんで続刊出ないんだろうね」


ヴェヌが呟く。


「ほんとにね」


二柱とも深刻な顔ではない。


ソレイが立ち上がる。


「探しに行くわ。エランを」


メルクとヴェヌに視線を送るが——


「その前に」


メルクが別の本を取り出し、ちらっと見せる。


「あ!それ気になってた!」


「星の劣化をテーマに読むと——」


「絶対面白いやつ!」


ソレイは二柱を見た。


「……そう」


「じゃあ私が行くわ」


扉が閉まる。


残された二柱は、すでに次の考察を始めていた。


窓の外でまた何かが光った。


神界では珍しくないことだ。


***


なお——


エランが何かを知っている、という噂の発端が自分であったことを、


当のソレイはまったく気にしていない。


自分が話した後のことは気にしない主義だ。


そういう神であった。


なお、この噂がきっかけで、十四回転生の賢者が神に追われることになるのだが、


——それは、まだ少し先の話である。

読んでいただきありがとうございます。

引き続き更新していきます。

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