破壊の始まり
残忍な表現が出てきます。15歳以下の方は読まずに目次に御戻りください。残酷な表現が苦手な方も同様に目次へとお戻りください。
転がっているのは、頭・手・足・内臓。動物のではなく、人間の身体と五臓六腑であった。血はもはや乾き果てて黒へと変わっていて、よくよく見なければ、夕焼けの下では地面と同じように見えるのであった。
一人、剣を右手にさげて立っていた。顔だちや表情は影になってわからないため、姿かたちだけでは性別さえもわからない。人はただ地面と平行に目線を向けているようで、まだ、転がるものは増えるのかも知れないと思わせる。
白い骨が地面から少しだけ見える。緑の葉がその上に影を落とそうと多い茂っている。茶色い壁だったのだろうものに、白い花がつたって咲いている。息吹は草木や花だけで、そのほかの音は聞こえない。
月光は分厚い壁に遮られて差しこむことはないが、人工灯がほのかに光り、道を、壁を照らしている。人気のない建物の中にかたりと音が広がる。縦30センチ・横20センチの『破壊の始まり』と題のついた絵画が壁から外されて床に置かれる。2枚の絵画は一枚ずつ布に包まれ、建物の外へと持ちだされた。
-翌朝、確かに昨日までそこに暗い色調の絵画が掛かっていた。しかし、今は明るい色調の淡い青で描かれた縦30センチ・横50センチの『母なる海』と題のついた絵画が掛かっていた。
まったく違う絵画なのに誰一人として掛け変わっていることを指摘することはなかった。まるで、『母なる海』が前々からあったかのように。
誰も本当のことを知らない。
2013/01/02




