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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、嘆きの妖精と出会う
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試練を終えて その2

ちょっと怪しいベーコンをお礼の品にマリーはルナの家へと向かう事にした。その後も何かと見つけては持っていけと掘り出してくる両親に


「在庫処分でもさせる気?」


の一言で一喝し、結局ベーコンとシナモンスティックを持たされた。ベーコンは肉屋から仕入れたものらしく大きな物で、塊と言って差し支えないもの。


「お礼にしては洒落っ気もなにも無いけど仕方ないか・・・」


ともすれば「元気な顔をみれただけで十分!」と言いそうな家族だ。下手に上等な物を渡すより食べて無くなるようなものの方がかえって邪魔にならないだろうか。

そんなことを考えつつ、丘を登ってルナの家へと向かう。すると丘の上からエルドがのっしのっしと歩いてくるのが見えた。


「エルドさん、おはようございます」

「おお、おはよう!クライグスさんとこのマリーちゃん。元気そうで何よりだ」


マリーに気づくとエルドはにこやかに返事を返した。しかしその格好は普段のラフな格好とは変わってエルドは胸甲や手甲、レッグガードなどを着けた物々しい格好だ。


「お仕事ですか?」

「あぁ、混乱に乗じてあれこれと悪さをする奴がいるもんでね」

「そうなんですか・・・気を付けてくださいね」


マリーがそう言うとエルドは頷き、太い腕と笑顔を見せた。マリーの脚よりも太い腕は頼もしさを感じさせる。

一線を退いてデスクワーク中心の生活になったがその腕前は未だ健在で、街に悪党が現れれば現役の治安維持部隊が応援をお願いする存在である。


「ルナなら今は家に居るはずだよ、それじゃあね」

「はい、ありがとうございます」


ぺこりと頭をさげるとエルドは手を振ってそのまま歩いて行ってしまった。


「あっ・・・」


マリーは昨日のお礼を言いそびれた事に少し歩いてから気付き、振り返るとその背中が既に小さくなっていた事に頭を抱えた。


(しまった・・・忘れてた、次こそはちゃんと言わなきゃ・・・)


後悔先に立たずである。なんだか抱えたベーコンが重くなった気さえする。



「ごめんくださーい」


マリーはルナの自宅にたどりつくと玄関のドアを叩いた。いい加減に抱えたベーコンが重くなってきた。

ノックの後、少ししてドアを開けて出迎えてくれたのはアリシアだった。


「あらあら、マリーちゃん」

「おはようございます、アリシアさん」


アリシアはマリーが元気な姿を見せてくれたので花の咲いたような笑顔を見せた。まるで自分の無事を何よりも喜んでくれているようだった。先日の騒動の際に自分の命を繋いでくれたと聞かされており、マリーは深い感謝を感じていたがそれがさらに深まった気がする。

案内されてリビングに通されるとマリーは早速用件を伝えることに。


「あの、自分の事で、大変な事になっちゃって・・・ええと、ありがとうございます!」

「うふふ、いいのよ」

「い、いえ!それじゃあ良くないから・・・これ、両親もありがとうございますって」


いざ伝えるとなるとどこか浮ついた気分になり、妙にむずむずする気持ちが湧いてくるのを堪えながらマリーはとにかく感謝を伝える。こういった時にあっけらかんと感謝できるティナが羨ましかった。

しかしながらどうにかこうにか言うべき事を言い、マリーはベーコンの塊を差し出すとアリシアはそれを受け取ってさらに笑みを深めた。


「まあ、わざわざありがとうね。皆も喜ぶわ」

「そうですか、よかった・・・」


アリシアはこういった量に慣れているのか全く動じることなくキッチンにベーコンの塊を置くと急いでお茶の用意を始めた。そしてキッチンからひょっこりと顔を出すとマリーにルナに会いに行くように勧めた。

マリーは少なくとも嫌がられては居ない事を知ってちょっとホッとした。

そしてお茶が入るまでの間にルナの部屋に行くことに。


「ルナちゃん、マリーだよ~」


階段をのぼりながら二階にあるルナの部屋に向かうと二階の廊下を掃除しているクインクの姿が見えた。


「クインクちゃん、おはよう」

「おはようございます!マリーさん」


彼女は使い魔としての役目からか家のお手伝いを良くしている。イングリッドもそこは同様だが彼女は虚弱体質がまだ治っていないのであまり参加できていないため専ら彼女の仕事だ。空を飛べるので外壁修理なども彼女が行っている。


「ルナちゃんに会いに来たの、それと・・・クインクちゃんもありがとうね。助けに来てくれて」

「えへへ、ご主人様についてきただけですから」


クインクは気づいていなかったが街中を飛び回って妖精食いを退治し、騎士達を助けて回っていたことはかなり噂になっていたが彼女はただルナに頼まれたことをできる限りやっただけなので気にも留めていなかった。

主人が善であると信じ、彼女のお願いに従う事が善であると信じる彼女にとって人助けをすることがそうならばそれに従うまでなのだ。

それにマリーはルナの友人であるし、自分に対等に接する数少ない友達でもある。


「そんなことないよ、嬉しかったもん」

「そ、そうですかぁ~・・・?」


外の人間の事はわからない。だがマリーにそう言われるとやはり嬉しいらしい。クインクは恥ずかしそうにしながらも嬉しそうに笑みを浮かべている。

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