実技大会!その2
先生にがんばってね!と応援を受けて三人は意気揚々と山を登っていく。
「チェックポイントは三つ、あと二つか」
一回目はコントロール、では次はなんだろうか。
「「「えっほえっほ」」」
ゆっくりゆっくり進んでいく。するとまた先生が立っている。
「二つ目のチェックポイント!」
「そうでーす、それじゃあこちらに」
すると今度は金属で出来た水差しが置いてある。何人かがそこで水差しを持って悪戦苦闘しているのが見える。
「あれはなにを?」
「ここの課題ですね、水差しの中の水を魔法を操作して溢れさせるのです」
小柄な先生は三人の目線に合わせるべく時々飛び跳ねながら言っている。まるで小動物のそれだが見た目はハンプティダンプティなので可愛くはない。
「そんなに難しいのでしょうか?」
「魔力を操作して水を移動させるのは意外に難しいのです」
魔力で水差しの中に渦を作って溢れさせるにしろ、魔力の作用で押し出すにしろ精密な動作と出力が試される課題というわけだ。
「今度はじゃあ私がやってみます」
カティナが先生から水差しを受け取る。振ってみると水差しに入った水の量は思ったより少なく、皆が苦戦している理由が見て取れた。
「力業で押し出すのは無理かな、そうなると竜巻を作るのが理想かも」
「竜巻?」
「竜巻は渦で色んなものを巻き上げるからそれをしてみるの」
ティナとルナが首をこてんと傾けるのを見て吹き出しながらもカティナは水差しの中に極小の竜巻を作るイメージを浮かべる。風で螺旋を作って水を少しずつ運ぶ。高さを徐々に上げて行くと
「お、出てきた!」
「エクセレント!一発合格とは素晴らしい!」
こぺこぺと水差しの注ぎ口から水が零れる。先生はそれを見て飛び跳ねながら祝福するとハンコを持って走ってきた。
「ささっ、これをどうぞ!」
ペタコンとハンコを押してくれる。
「Fクラスの子が頑張ってくれると嬉しいですねぇ!」
「ありがとうございます!」
「恥ずかしい話ですが、私達もどこかで貴女達に疑いを持っていた事は否めません。しかしそれを良い意味でうらぎってくれた!落第生なんていない!やればできる子!素晴らしい!」
ピョコタンピョコタンとはね周りながら先生はそう言うとハンカチを振りながらルナたちを応援してくれる。
「頑張って!私も頑張って指導しますからね!」
満面の笑顔で見送られてルナ達はちょっと恥ずかしくなりそそくさとその場を後にする。
「先生たちはなんだかんだ言って応援してくれる人たちばっかりだね」
「ホントにね、おかげでなんかやる気が出てきた!」
ルナがむん!と意気込む中、山を登る生徒達が増えてきた。ゆっくり登ってきたルナ達だったがチェックポイントをスムーズに通り過ぎたせいで追いついてきてしまったのだ。
「最後はなんだろうね?」
「さあ?最小の魔力コントロールと複雑な魔法の出力操作となると次は・・・」
そう言いながら歩いていると大きな音が響いた。
「出力かな?」
ルナがそう言いながらさらに登っていくと開けた場所に出た。
そこでは土で出来た壁に魔法を打ち込んでいる生徒とその都度壁を作り出している先生の姿があった。
「よし、合格!ハンコを押してやろう」
壁を破壊できれば合格らしい。程よい強度を持った壁をいくつも作り出す技量と魔力量は流石先生といったところだろう。
「おお、1年生が来るか!順番に挑戦していってくれ!」
体育の先生のような体格のいい先生がルナ達を見つけると大きな声で参加を促してくれる。
ルナ達はそれを聞いて列に並ぼうとしたが・・・
「おい、1年生。上級生を差し置いて並ぶ気か?」
そう言うと上級生がこちらを見ている。ルナ達が一旦下がって道を譲ると彼らは並ぶことなくこちらを見ている。
「あの、並ばないんですか?」
「別に」
「それじゃあ・・・」
「俺たちが並ぶまで待て、1年生」
ルナがちらりと来た道を見るとほかの上級生らしき生徒が悠々と降りていくのが見えた。
ルナはそれを見て不思議そうな顔をしながら再び並ぼうとするとまた待ったをかけられる。
「嫌がらせだ」
「うわ」
「ひどい」
口口に不満を口にするも上級生らしき生徒は涼しい顔。先生は他の生徒の相手で忙しいらしくこちらに気付いていない。ルナ達を含む下級生は彼らの妨害にあって課題を受けることすらできないでいた。
「くそ、俺たちじゃダメか。おい、交代してくれ」
「あいよ」
課題を失敗したらしい上級生のメンバーが仲間と交代して列にならび始めた。それに便乗しようとすると・・・。
「おい、下級生。俺たちが並ぶんだよ」
「えぇ・・・」
上級生が立場を悪用して下級生を押しのけるようにしていた。さすがのルナもこの横暴にイライラしてきた。
「無視します!」
すたすたと上級生が睨むのを無視して進むと列に並んだ。ティナは上級生がムッとした顔になったのをくすくすと笑っていたがこれが騒動の引き金になった。




