表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/23

第7話:ちくわぶ研究の真相に迫る(迫るだけ)

ホームルームが終わった放課後、化世先生が突如、黒板に一文字だけ書いた。


「竹」


「これガ、今日ノテーマデス」


「え、また始まったよこの人……」


「先生、それ“たけ”って読むんですけど、もしかして“ちくわぶ”関連ですか?」


俺が問うと、化世先生はうんうんと首を縦に振った。いや、正確には首が360度くらい回った。


「いや回りすぎ!! 物理的に“うなずく”を通り越してる!!」


「チクワブ……正式名称、“地球式半発酵グルテン練成管状体”。ワタシガ生涯ヲ懸ケル対象……コレ、運命」


「どんな運命背負ってんだよ!? グルテンだぞ!?!」


黒板に「ちくわぶ年表」なるものが書き出される。


・西暦1980年:ちくわぶ、関東でのみ進化を遂げる

・1998年:ワタシ、地球に留学。給食で初めて“ぶにょぶにょ感”に衝撃を受ける

・2022年:全宇宙“ちくわぶ論文大賞”を受賞(応募1人)

「え、宇宙規模でその賞ひとりかよ!!」


「感動ノあまり、泣イタ。涙デ味ノ違イガ分カッタ。……醤油ベース、良イ」


「味の違いが涙でわかる!? それ人間の涙腺じゃねぇだろ!」


先生は引き出しから一冊の分厚いファイルを取り出した。表紙にはこう書かれていた。


『全銀河統一ちくわぶ分析記録・第712巻』

著:カセ・ヒカリ(博士号アリ)


「自費出版デス」


「マニア通り越して信者じゃねえか!」


その瞬間、教室の天井がミシッと音を立てて割れ、ポトリと何かが落ちてきた。


「先生!!天井から何か落ちてきた!!えっ、これ……ちくわぶ!?」


「アア、それハ“ちくわぶ型データ収集ユニット”デス。毎日放ってマス」


「そんなもん空調口から落とすなよ!!衛生的にアウトだよ!!」


ちくわぶ型ユニットはビービーという音と香ばしい匂いを発しながら黒板をスキャンし、勝手にパワポを投影し始めた。


【スライド1】「ちくわぶの断面に宇宙の黄金比が存在」

【スライド2】「ちくわぶの揚げ物は爆発する」

【スライド3】「おでん鍋の配置は量子力学的バランスが必要」


「どうしてスライド2だけ命の危機!?」


「揚ゲルナト言ッタノニ、副担任ノ田島先生ガ揚ゲテ……爆発」


「どこの学校も副担任が犠牲になるのお約束なの!?」


先生は空を見上げるような表情で、しみじみと語り始めた。


「チクワブハ、地球人ノ“曖昧サ”ノ象徴……モチ、ダケドモチデナイ。麩、ダケド麩デハナイ。限界ト可能性ノ、間……」


「やめろ、そのテンションで語られると、ちくわぶが急に哲学っぽく聞こえるから!」


「ワタシ、いつカ宇宙全体ニ、“チクワブノ心”ヲ伝エル……」


「心あんのかよ、あの筒に!?」


そのとき、突然、先生のポケットが震えた。取り出したのは、なんと……


「ちくわぶ型スマートフォン」


「なにそれ!? 重そう! 湯気出てんぞ!?」


「銀河SNS“WubBookワブブック”ニ、チクワブ動画ガバズッタ……!」


「えっ、ちくわぶがバズる時代来てんの!? 世界終わってない!?!」


先生は机に飛び乗ると、両手を高く掲げて叫んだ。


「来タル時代ハ、チクワブ文明ノ黎明期デス!!!」


「担任が完全に宗教の教祖なんですけど!?」


クラスの女子がひそひそと話す。


「ねえ……ちくわぶって、そんなにおいしいのかな?」


「え、うち昨日カレーだったから余ってる……持ってこようか?」


「やめて!この人に渡したら何か召喚されるから!」


こうして今日も、化世先生のちくわぶ愛は宇宙の果てまで広がっていく。


……たぶん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ