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4人は、じっと俺の話を聞いてくれている。


「何を思い違いをしていたんだろう。何をうぬぼれていたんだろう。

所詮俺は血の繋がりのない、赤の他人でしかないのに」


何か言おうとした3人を、桜がとめてくれた。


「だがそれでも、もう、手放そうとは思えなかった。

皆がそう思ってなくても、俺にとっては大事な弟や妹だ。

血の繋がりが無くても、法的な繋がりが無くても、それでも。

血縁者が迎えに来る。

養子縁組をしたいと言う夫婦が来る。

18になって、独り立ちする。

何らかの理由で皆がいなくなるまでは、自己満足でもいい、独りよがりでもいい、家族でいたかった。」


4人の顔を見るのが怖くて、下をむいたまま話し続ける。


「親父とお袋が事故で急死した後。

施設長の藤堂さんから、鈴香と洸と夕菜を児童養護施設に戻す、と言われた。

3人まで俺から奪わないでくれと、縋った。

だがそれでも、俺には3人の里親になる資格が足りなかった。

3人を連れて行く、そう決定が下される前日だった。斎が桜と荷物を持って、家に駆けこんできた。

桜は優しいから、もし知られたらきっとどれ程嫌でも帰ってきてくれる。

だから絶対に言わないでくれ、そう頼んだのに、ばらした斎を殴った。

だが、斎は「桜ちゃんの人生を捻じ曲げた詫びは嫁ぐ時にしてやりゃいい、お前が壊れるのを見る位ならいくらでも殴られた方がマシだ」と言ってくれた。」


思いっきり殴って歯が1本差し歯になったのに、それでもいまだに俺を親友だと言ってくれる。

今の職場で働けるのも、斎の紹介があったからだ。


「桜が来てくれて、斎や他の里子の皆や友人達、親父やお袋と親しくしてくださっていた方々が動いてくれて、ようやく藤堂さんが折れて俺が里親になる許可が下りた。

その時、俺は決めた。

鈴香も、洸も、夕菜も、桜も、俺の家族じゃない。

だが、せめて皆がここから巣立つまでの間『家族ごっこ』をしようと。」


それは、きっと。

両親を亡くした俺が出来た、唯一の馬鹿げた自衛策だった。

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