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次の瞬間、どこからともなく忍び寄った鉄砲水が北風と太陽に音もなく襲いかかりました。北風と太陽が水から逃れようと暴れています。気温が急に上がり、水柱が上がり、竜巻が起こりました。岩を押し流し、木々ををなぎ倒し、灼熱と洪水と暴風で辺りは大きな嵐の渦となりました。
弱々しく光って南星が声を張り上げます。
『やめて!やめて!柳さんが倒れちゃうわ!』
そこで水は氷のように固まったかと思うと、凝縮して元の乙女の姿になり、柳の所に走りだしました。
乙女は心配そうに柳の幹をさすりながら言いました。
『柳さん、大丈夫ですか?』
柳はまだ目を覚ましません。
すると、風はおさまり気温は元に戻りました。
北風が謝りました。
『悪かったよ。軽い気持ちの悪ふざけだったんだ』
太陽も謝りました。
『ごめんなさい。あんまり柳ばかり構うからつい・・・意地悪しちゃって』
『・・・』
乙女が黙っていると、タンポポやススキや向日葵を両手いっぱいに抱えた北星がやってきて言いました。
『姉ちゃん、遊ぼう!姉ちゃんの好きなタンポポやススキや向日葵を持ってきた!』
それでも乙女が黙っていると、北星が乙女の顔を覗き込んで言いました。
『姉ちゃん、遊ばないのか?』
南星が口を出します。
『北星!お黙りなさい!今、お兄ちゃんと北風さんとお姉ちゃんで大変だったんだから!』
北星が笑いました。
『なあんだ!ケンカしたのか!じゃ、兄ちゃん達は放っておいて、今日はおいらと遊ぼう!姉ちゃん、好きだろ?タンポポやススキや向日葵の花!この種を植えるとそこから芽が出てくるから、来年にはここら一面にタンポポ畑やススキ畑や向日葵畑が出来るよ!花が枯れたら種を取って一緒に撒こう!』
すると、乙女の姿はみるみる縮んで、南星と北星と同じぐらいの背丈になりました。そして花のような笑顔で答えました。
『うん!種撒く!』
南星が喜びました。
『やった!お姉ちゃんが同じくらいになった!私、同じくらいのお友だちが欲しかったの!』
小さくなった乙女がにこにこ笑って答えます。
『うん!私も』
呆然としていた北風と太陽が歩みよりました。
『あれ?小さくなっちゃったの?』
『うん!』
『大きくもなれるの?』
『知らない!』
『元に戻って』
『いや!』
『話を聞いてくれよ』
『いや!』
『あっ、お兄ちゃんと北風さんがお姉ちゃんを追いかけている!じゃ、お兄ちゃん達が鬼ね!』
『鬼ごっこだ!逃げるぞ!姉ちゃん!』
『きゃー!』
『ちょっと待って』
『きゃー!』
そして皆で仲良く遊びましたとさ。
めでたしめでたし。




