A.M.5:00――
朝になる。やっと日が明けたようだ。
町田は彼のベッドで彼の飼う黒猫たちといびきをかきながら寝る。
「精神異常者が」
安住はそっとそう呟いて小屋を出ていく。
あれでも戻っているかもしれないと思って彼は愛車のあるところにまで戻ってきた。だが、車が消えたままの情景である以上にショックな光景がそこにあった。
「そんな……俺の……俺のプリウスが……」
彼は項垂れてしゃがみこむ。
車はバンの車と正面衝突して大破したらしい。
でも、昨夕ここへ訪れた時にバンなんてあっただろうか?
スルッ……スルッ……スルッ……
背後から何かを引きずる音。足を引きずる音とでも言おうか。彼はもう冷静に何も見えなくなっていた。
目の前に立っているのは血塗れの猪崎梓。
その体にはいたるところに切り傷と弾痕が。
額にもある。
コレはもはや人間でないだろう。よくみると彼女は拳銃を握っている。そしてニヤニヤと笑ってもいるのだ。
「この……この化物がぁ!!!」
彼はすぐさまに彼の持つ拳銃を発砲するが、彼女には全く効かない。ゾンビと言ってもいい生命体だ。
彼はもう凄まじい叫び声をあげるしかなかった。
その近くで犬の散歩をしている女性がいた。
その近くで自転車を走らせる男子学生もいた。
そのすぐ近くで黒猫たちの面倒をみる壮年もいた。
でも、誰も何もなかったかのようにその足も手も止めない。関わってしまえば日常は崩れてしまうのだ。彼の叫び声は虚しくもこうしてかき消された――
最後の銃声が鳴り響く。
でも、その銃声も蝉たちの泣き声に掻き消された。
宇都宮市。栃木県警察本部。
喫煙所で2人の刑事が煙越しに会話を交わす。
「一般市民がヤクザと組んで刑事に復讐だって……怖い世の中だな」
「関係していると思われている者はみんな死んでいますものね。山から下りたと思われるヨウチューバーの弟はそのまま車で自殺目的の衝突事故起こして……」
「気持ち悪いよな。まぁ殺人に加担した自責の念からだろうが……」
「にわかに信じがたいですよ。でも、あの噂って本当なのですか?」
「何の?」
「いや、数年前の……例の遺体から精液なんて本当は採られなかったっていう」
「お前、それは機密事項だぞ。今回の事件だってちゃんと辻褄が合うように調整されるに決まっている」
「それこそ怖い世の中ですよね」
「基本的に聞いて聞かぬフリ。それこそ平和に生きるコツだ」
そして2人はまた違う現場に向かう――
~出演~
安住剛志:野田栄一郎
猪崎梓:叶葉子
五味秀一:五味秀一
権藤渚沙:本田恩逗
町田:弥生双吾
中村杏梨:シン・スクールカースト花子
中村尊:シン・スクールカースト金太郎
梓の従弟:磯野貴理人 (ワンダーボーイズ)
刑事A:安倍登志夫 (アビゲイル)
刑事B:後藤繁 (アビゲイル)
~監督~
野田栄一郎
最後まで読了ありがとうございました!今年の夏ホラーは「芸能界になろうで何かしよう」っていうのがまず1つありました。それと同時に「コラボで何かできたらいいのでは」というのもあって。そこでイイ意味で面白い存在感をXなどでみせてくれている黒猫メロンさん&スピーチヒーローで椎名林檎を見事に優勝させた山岸マロニィさんとのコラボならきっと面白いんじゃないかと思って。なので余裕があれば、黒猫さんと山岸さんの作品のほうも是非読んで欲しいと思います。山岸さんの作品は2万字を超えているらしいけども(^.^;)
本作の裏話云々はおそらく割烹(活動報告)で語る事になると思うんですけど「もっとプロットを練る時間と形を決める時間があればなぁ」という所感はありました。分かりづらくなってしまったというかね……でも、今年もこうして夏ホラーに参加できて僕は嬉しいです。また来年もぜひ(*^-^*)




