↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瞳孔を冷やして。  作者: 橘樹 杏果


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/58

49-嵐の予感

ワイキキの高級ホテル、オーシャンフロントの最上階。社長からのご褒美だった。

「いい眺めじゃん」

「はぁぁあ!!最高だぜー!!」

「ん~!! なんかさぁ~、久しぶりにのんびり息してる感じだよぉ~」


芯だけが、開け放たれた窓から、光る海を静かに眺めている。

下の階に麗叶が泊まっている。

同行したがっていた山内のスケジュールが、どうしても調整できなかったのだ。


プルルルルルル。

客室電話が鳴った。

「おい。芯、電話出ろよ」

「なんで俺?」

「英語しゃべれんだろ。お前」

プルルルルルル。

「はぁやぁくっ!!」

「芯、頼むってー!」


カチャ。

ルゥが受話器を取り

「はい、芯。ヨロシク」

さっさと芯に渡した。


「…ハァ~…………Hello. Yes, speaking…… Mm, sure. Got it

ホテルのオペレーターから。別の部屋から電話だって。たぶんマネージャーだろ」


「麗叶さんから?」

芯はルゥに受話器を押し付けると、ベランダに出ていった。


「…麗叶さん? なに?…あー ごめん。みんな、スマホの電源切ったままかも。ノリとアキラ? うん、俺らの部屋に来てるよ。…うん…ふーん。。。」

ルゥが受話器から顔をあげ、声を大きくする。

「おい、撮影の日程が変更になったって。今夜から天気が怪しいから、午後から撮影したいんだってさ」

「げ!!2時間後?!飯食ったらすぐじゃん。中途半端で海も行けねぇ!!」

「え~! 僕、まだ時差ぼけだよ~」

「麗叶さん、アキラとノリの嘆く声、聞こえた? ていうかさ、ハワイまで来て雨とか、マジでテンション下がるんだけど」

ルゥが大きなため息をつく。

「え?!……マジ?!ま、待って。おい! みんな聞いて!!

今日、撮影終わらせたら、明日から1週間、完全フリーにしてくれるって!」

「ホントに?!」

「そういうことなら俺、頑張っちゃう!」

「オイ!…しーーーんっ」

「……ぁ?」

「聞いてた?」

「……」


この2ヶ月、芯の笑顔を誰も見ていない。

しかし、ツアーで『本気』を出した芯は、自身を覆う闇さえも妖しく耀かせた。

世界は、そんな姿に破滅の美学を感じ、魅了されていく。

『もう俺にはSeven C'sしかない。自分の道を見つけなければ』

と、もがく芯を、ルゥは黙って見守るしかなかった。


「はぁ~」

ルゥは、小さくため息をついた。


ーーーーーーーーーーーー


「麗叶さん」

ルゥがホテルのロビーラウンジに降りると、麗叶がソファに座り、手帳を眺めていた。

「あれ? ルゥ。早いね。集合時間にはまだあるよ?」

「うん。まぁね」

ルゥは、麗叶の向かいのラタンソファに腰を下ろす。

「何か飲む? いつものグレープフルーツジュース?」

いたずらっぽく笑っても、ルゥの表情は曇ったままだった。

「…ルゥ?」


「ねぇ。」

「なに?」


「なんで、好きなのに別れなきゃなんないの?」

「!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。