47-始まりの鐘が鳴る…
「麗ちゃん!」
妹の華が、怖い顔で手招きした。
「遅い!!何してんの?」
「ごめん!!飛行機が遅れちゃって」
モーニングコートに身を包んだ圭吾が、二人の前で立ち止まると
「俺の結婚式で喧嘩か? ええ度胸じゃのぉ?」
ニヤッと笑った。
「圭ちゃん、遅れてほんっとに ごめんなさい!!」
「いや、来ただけで上出来じゃろ?」
「はぁ~あ! 圭ちゃんは相変わらず、麗ちゃんには甘いねぇ」
「俺は、妹にも十分甘いんで?」
「そうだっけ?」
華が憎まれ口をたたく。
圭吾の後ろには、不機嫌そうな花嫁が立っていた。
「あ、あの、美波さん、親族なのに遅れてしまって本当にごめんなさい!!
この度はおめでとうございます! 不肖の弟ですが、今後ともよろしくお願いします」
「不肖の姉と妹の間違いじゃろ」
と、圭吾は笑ったが、新婦の美波は、義姉妹に目もくれず、別の列席者に笑顔を向けた。
「怒らせちゃったみたい…」
「…でもあの態度は無い! 麗ちゃんだって遅れたくて遅れたわけじゃないのに。超忙しいのにさ、頑張って来たんじゃん」
華がムッとしている。
圭吾は困った顔をすぐに隠し、
「今日あいつ、体調悪いんじゃ。許したってくれるか?」
「そんな! 私が悪いんだから。本当にごめんなさいね!!」
圭吾は力なく微笑み
「また後でな」
と歩みを進めた。
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スタジオの皆さ~ん! ここ、どこだと思いますかぁ~?!
本日、わたくしは、Seven C'sのアジアワールドツアーをリポートするために、ここ、MNテレビにやってきています!
この秋、Seven C'sの皆さんは、台湾を皮切りに、上海、韓国など、アジア5カ国を巡るツアーを予定しています。
各国で最大2万人規模のライブを予定しているんですよ~!
さらに、ライブ映像は、アメリカやイギリスを含む世界21カ国で
生・放・送・されることも決定しています!
初の海外ツアーとなるSeven C'sにとって、大きなチャレンジとなりますねー!
今回のアジアツアーが世界進出への足がかりとなるだけに、関係者の期待もますます高まっています!
そんな大舞台に向け、Seven C'sの皆さん、気合は十分なようですよ!
本田アキラさんは、独自の振り付けを考案し、メンバーとともに猛特訓を重ねてきたそうです。
また伊達紀人さんは、ソロ曲の歌詞を訪れる国に合わせて変えて歌うそうですよ~
さらに、来栖直弥さん、通称ルゥさんは、なんと3万枚以上ものデザイン画を今回のために描き下ろし、衣装づくりにも携わっているんです!
そして、芹沢芯さんはというと……。
ものすごい気迫で、近寄りがたいほどだとか!
というのも、芹沢さんは今回のツアーのために、それぞれの国の文化や習慣はもちろん、ライブ会場の特徴まで徹底的にリサーチ!
それらをSeven C'sらしさと融合させ、各国に合わせて演出を変えるそうなんです!!
そりゃ~、力も入りますよねぇ~!?
皆さん、それぞれの持ち味を生かして、準備に余念がないようですね!
これはもう、期待せずにはいられませんよ~!
それではっ!
そんなSeven C'sの皆さんに、突撃取材してきま~~す!
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「もみじ饅頭でいいんじゃない?」
東京行きの飛行機を待ちながら、華と麗叶はお土産売り場をウロウロしていた。
「ねぇ麗ちゃん、いつ台湾行くの?」
「明後日から」
「忙しいね?! なら、とんぼ帰りも仕方ないか」
「でも…遅刻は…やっぱり悪かったよね…」
麗叶の頭に、美波の顔がよぎる。
うつむく麗叶の背中を、華がポンポンと叩いた。
「麗ちゃん、美波さんの態度、あんまり気にしちゃダメ。彼女、妊娠中だから、マジで調子悪かっただけだよ」
「え?!そ、そうなの? 赤ちゃん!? 知らなかった!!」
「だから圭ちゃん結婚するんだよ。じゃなきゃ圭ちゃんがあんなオンナと結婚すると思う?
ていうかさ、嵌められたって気がする。ずっと付きまとわれてたからね、圭ちゃん」
「でも圭吾は、好きだから結婚するんでしょ?!」
「さぁ~ね…」
「で、でもでも、この前東京で会った時、自分の方が先に結婚するかも?みたいに言ってたよ。美波さんのことだよ、きっと」
「うっそ! この前東京に来た時? 私には彼女いないって言ってたよ!」
(どういうこと?)
搭乗のアナウンスが流れた。
「なんかデキちゃった婚なんて、アニキらしくないけど、ま、なんだかんだ言って、あの男は幸せになるタイプだから、麗ちゃんはあんまり気にしないこと!」
「うん。ありがと…。華はいつ東京戻ってくる?」
「明後日」
「んじゃ入れ違いかぁ~。わざわざ見送りしてくれてありがとね。落ち着いたら、向こうでご飯食べようね」
「りょーーかい」
華はおどけて敬礼してみせた。
「麗ちゃん、顔が疲れてるよ! なんか悩みがあるなら、しっかり者の妹に電話! 電話!」
「うふふ、ありがとう。華」
飛び立つ飛行機を見送りながら、華は大きなため息をついた。
「まぁ、さぁ~……どうしようもないんだけどねぇ…」




