表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
109/127

武将 蒲生氏郷 第109話四国遠征軍への合流

(1585年・大坂 → 瀬戸内海)

長久手の戦いから数日後、

氏郷隊へ四国遠征軍への参加命令が届いた。

大坂城下の街道には諸隊が集まり、

荷駄の列が長く伸びていた。

氏郷は馬を進め、

左馬允とともに隊の先頭へ立った。

「出る。

 船団の集合地点まで急ぐ」

槍隊が前へ並び、

鉄砲隊が火縄を布で包み、

荷駄隊が荷車の縄を締め直した。

兵たちが列を整え、

大坂から西へ向かう街道へ入った。

街道沿いには、

すでに四国遠征軍の諸隊が進んでいた。

黒田、蜂須賀、仙石の旗が風に揺れ、

荷駄の馬が土を踏みしめていた。

左馬允が地図を広げ、

船団の集合地点を指さした。

「殿。

 此処が港。

 各隊はこの順で並ぶようです。

 我らは三番目の船団に入ります」

氏郷はうなずき、

伝令を走らせた。

「列を詰めよ。

 遅れるな」

街道は海へ向かって下り、

潮の匂いが風に混じった。

やがて港が見え、

海岸には大小の船が並んでいた。

帆が畳まれ、

船頭たちが縄を引き、

兵たちが荷を積み込んでいた。

氏郷隊は指定された船の前に到着した。

左馬允が兵数と荷駄を確認し、

記録帳に数字を書き込んだ。

「兵二百三十。

 槍百二十。

 鉄砲四十。

 馬二十。

 荷駄十六。

 問題なし」

氏郷は船頭へ近づき、

乗船順を確認した。

「槍隊を先に。

 鉄砲隊は中央。

 荷駄は最後に積む」

船頭がうなずき、

縄を引いて船を岸へ寄せた。

槍隊が板を渡って船へ乗り込み、

槍の穂先が揺れた。

鉄砲隊が火縄を布で包んだまま乗り、

荷駄隊が荷車から荷を降ろして積み込んだ。

馬は別の船へ引かれ、

手綱がしっかりと結ばれた。

左馬允が船内を歩き、

兵の配置を確認した。

「殿。

 前方に槍隊、

 中央に鉄砲隊、

 後方に荷駄。

 この配置で問題ありません」

氏郷は船の縁に立ち、

港の全体を見渡した。

海岸には、

すでに他の船団が並び、

帆柱が林のように立っていた。

黒田隊の船が沖へ出る準備をしており、

蜂須賀隊の兵が荷を積み終えていた。

港の端では、

秀吉の使者が各隊へ指示を伝えていた。

「第一船団、出るぞ!

 第二船団、準備を急げ!」

声が海に響き、

船頭たちが縄を引き、

船が波に揺れた。

氏郷は左馬允へ短く告げた。

「我らも備える。

 帆が上がり次第、出る」

左馬允が兵へ合図を送り、

槍隊が船内で位置を整え、

鉄砲隊が火薬袋を確認し、

荷駄隊が荷の固定を確かめた。

やがて港の中央で太鼓が鳴り、

第一船団が沖へ向かって動き出した。

帆が風を受け、

船がゆっくりと前へ進んだ。

氏郷の乗る船も、

船頭の合図で岸を離れた。

縄が外され、

船が波に乗って動き始めた。

瀬戸内海の水面が光り、

船団が列を作って進んでいった。

氏郷隊は四国へ向けて、

静かに海へ乗り出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
船団への合流準備から乗船、出航までが丁寧に描かれていて、当時の軍勢が実際に動いていく様子が伝わってきました。氏郷の指揮官としての冷静さも印象的です。いよいよ四国遠征が始まるという期待感が高まる回でした…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ