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伯爵令嬢セリア・エストレラの叛逆 〜前世勇者の令嬢は、前世聖女の王子との運命を切り開く〜  作者: 阪 美黎


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令嬢たちのお茶会メヌエット(4)

 目論見が全て外れてしまったレオノーラをなだめる取り巻き令嬢たちを尻目に(半ば疎まれ追い出されるようにして)、セリアは退席する。

 馬車がエントランスに回されるまでの間に、同様に退席したエミリアが早足で近づいて来る。

「セリア様……!」

「エミリア嬢、そんなに慌てて……どうかなさいまして?」

「あ、あの。今度、セリア様を我が家にご招待してもよろしいでしょうか。ご無礼でなければ、セリア様と王都のドレスショップにお出かけしてみたくて……」

 エミリアは息を整えながら溌剌と伝えてくれる。

 その提案にセリアは破顔する。

「まあ、嬉しい。無礼などであるものですか。是非ご一緒させてくださいませ。楽しみにお待ちしておりますわ」

「……はいっ。ありがとうございます……!」

 レオノーラやその取り巻き令嬢たちと距離を置くことを決めたエミリアは、この数時間で見違えるほど積極性を得たようである。令嬢界で孤立しているセリアにとっても同世代の友人ができるのは喜ばしい変化だった。

 セリアの馬車『ノクタリオン』がやってくると、彼女の前できっちりと停車し、執事が降りてくる。

「お待たせいたしました、お嬢様」

「ええ」

 神秘的で冴えた美しさを持つ若き執事の登場に、エミリアは思わず見惚れ、そしてすぐに我に返ると顔を赤らめる。

「……っ!そ、それでは……わ、私はこれで……ご、ごきげんよう、セリア様……!」

「ええ。ごきげんよう、エミリア嬢」

 エミリアは恥じらいながらお辞儀をしてセリアから遠ざかり、自身の馬車へと向かう。

「……」

 免疫のない少女の心をいたずらに乱す涼しい容姿の執事に、セリアは息をつく。

 ただそこに立っているだけで()()なのだもの。

 この先、私の執事は存在そのものがご令嬢たちの毒になりかねないわね……(罪作りなことにならなければいいけれど)。

「どうかなさいましたか?」

「いいえ、今のところはどうもしないわ。……ああ、そうそう。犬笛をありがとう、ユーリ。役に立ったわ」

「それはようございました。……お嬢様におかれましては、迷えるご令嬢の心をお救いしたばかりか、交友も得たようで……喜ばしい限りです」

「そうね。エミリア嬢のことは嬉しい誤算だわ。これに関してはレオノーラ様に感謝しなければね」

 ユリウスのことだ。いつなりともセリアの呼び出しに駆けつけらる位置で待機していたはず。

「ご令嬢たちとの初めてのお茶会は、いかがでございましたか」

 あずけていたパラソルを受け取りながら、セリアは少し考える姿勢をとる。

「なんとも可愛らしい〝お遊戯会(たわむれ)〟だったわ」

 にやりと口角を上げて感想を述べると、馬車に乗り込んだ。

 彼女の返答に微笑を浮かべながら無駄なく礼をすると、ユリウスもそれに続き、ヴァルシア家を後にする。

 セリアの初めての社交は、こうしてつつがなく(?)幕を閉じた。


 なお、当然といえば当然だが。

 以降、レオノーラがセリアをお茶会に招待することは二度となかった(セリアは残念に感じている)。

 エミリアも季節ごとに周辺諸国へ留学をしながら、セリアや他の商家の令嬢たちと交流を深めるようになった。

 後にエミリアは女性らしい発想で商才を発揮し、ヴァルデン家の女巨商となる。

 セリアとエミリアの友情は生涯に渡り、エミリアの財力とブルジョワ層との交渉力が王子妃となるセリアの政治基盤を陰日向となって支えることにもなってもいくのだが……それはまだまだ先の物語である。


ご覧いただきありがとうございます。

4話目がすごく短いですが(切れ間がうまく作れなかった)、このエピソードはここまでです。

エミリアさんは化けるタイプですね。セリアさんと交流している間にブルジョワ層の女傑になってしまうという……(笑)。

次回は単話になる予定です。

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