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採卵準備と喧嘩

更新を怠っている間に、ブックマークや評価をして下さったみたいで、とっても嬉しいです( ˊᵕˋ )

ありがとうございます!

 PCOS患者は、採卵時、副作用であるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)になりやすいため、採卵前の刺激法は低刺激でいくと説明された。

 生理開始3日目から5日間レトロゾールを内服し、その後ゴナールFの自己注射を開始した。卵胞が大きくなってからは、排卵しないようにガニレストも追加となった。


 看護師だったため、自己注射の手技自体は問題なく行えた。

 しかし、ピアスすら開けたことのない私にとって、自分の腹部に針を刺すという行為は、まるで自傷行為を強要されているようだった。薬液で小さなあざができる腹部を可哀想だと思った。看護師時代、患者さんがペンタイプの注射薬を打つのを見ていたのに、自分のこととなると受け取り方は大きく異なった。小さな針は、お腹だけでなく私の心も刺していた。

 痛みに関してはガニレストは特に痛かった。インフルエンザの予防接種を想像すると分かりやすいと思うが、皮下への注射は薬液が多いほど痛いのだ。腹部に自己注射するより、他者に上腕に打ってもらった方が痛みが少ないため、医者の夫に2回ほど打ってもらった。正直、生活に気を使ったり注射を打ったりしている私と違い夫は何もすることがないのだから、それくらいはやって欲しいと思っていた。


 卵子を育てるために何に気をつけたらいいのか、調べてばかりだった。SNSから入ってくる情報は役に立つものもあったが、食事や生活を完璧にするのは難しい。自分なりに睡眠時間や食事を見直してはいたが、不妊治療のために丁寧な生活をしている人を見ていると、このままではだめなのではないかと思ってしまう。

 不妊治療が長引いている現在では、不妊の原因なんて人それぞれだし、相当不摂生な場合は勿論見直しが必要だが、厳密に生活習慣を整える必要はないと思えてきている。乱れた生活をしていても簡単に妊娠している人だっているのだから、気にし過ぎるのが馬鹿らしくなってきたのだ。

 他人と比べることで不安になったり、うまくいっている人に攻撃したくなったりして、ストレスを溜める方が良くないので、SNS含め人の距離はほどほどにとった方がいいと考えている。


 お腹は徐々に張りだし、ホルモンバランスの変化で情緒が不安定になっていた。普段の生活と変わらず、仕事も続けられている夫が羨ましくて、苛立ちが募っていった。

 溜まり積もっていたそれが爆発したのは、採卵の前々日だった。


 きっかけは小さなことだった。夫に朝起こされ、早起きできていないことを指摘されて、眠くて苛立っていた私は咄嗟に「嫌い」と言ってしまった。

 夫がそのことに拗ねてしまい、翌日も謝っても寝室から出てこなくなった。朝食も昼食も食べないと言う。

 最初は言いすぎて悪かったと思っていたが、時間が経つごとに苛立ちが芽生えていった。ただでさえ、採卵直前で気持ちに余裕がなかった。夫に対して、たくさん不満をぶつけてしまった。頭を冷やすために夕食も準備せず別々で食べた。


 初めての採卵に緊張していて、不安で、恐怖すら覚えていた。静脈麻酔だって初めてだった。

 不安定な私に対して、採卵前日に小さなことで拗ねて、私が謝ってもなお攻撃してくる夫。夫にとっては採卵は人工授精やタイミング法と同程度で、妻が病院にいくだけのイベントなんだろうと感じてしまった。

夫なことは好きだし、仲がいい夫婦だとは思うが、今でもこの時のことを思い出すと憤りを覚えてしまう。

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