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【Alternative World Online】翠の天使、VR世界で徘徊中【ミドリ】  作者: 御神酒
第3章『連合国八鏡』

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#68 【AWO】占い師さんともお会いします【半分はオデッセイ】




「やっぱりこうなりますかー」

「絶対一緒にいるっす。一生一緒にいるっす」



 私、マナさん、トゥリさんの三人で、もう何度目か分からないほど乗った馬車に乗っている。

 クリスさんは留守番の子たちの面倒を見てくれるから残っている。



[階段::あら^〜]

[あ::ゆりゆりしてきたなあ!]

[味噌煮込みうどん::マナ^〜]

[キオユッチ::てぇてぇ……(成仏)]

[コラコーラ::百合だ!囲え!指一本触れるな!]

[カレン::なんか体が透けてる!]

[病み病み病み病み::泣いた]




 ナチュラルボーンタラシによるナチュラルプロポーズで皆が盛り上がっているが、今はそんなことよりマナさんの安全に注意するべきだろう。いつ攻撃が来てもいいように【天眼】で捉えるため、キョロキョロする。



「こふっ……」


「ミドリさん!?」

「……大丈夫ですか?」



「いえ、平気です。少し遅効性の尊みに襲われただけなので」


「「?」」



 伝わらなかったようで、一斉に首を傾げられた。


 私もこんな攻撃(Love)を受けるとは思っていなかったよ。サラッと言ってくるあたり真のタラシ。マナさんの尊みには耐性ができてきたというのは思い違いだったか……!




 そんな茶番も混じえつつ、私たちは何事もなく目的地に到着した。




 警戒しながら馬車を降りると、そこには想像とは違った街並みが広がっていた。


 占いというのだから、謎のオブジェが乱立していて大きな宮殿があるイメージだったのだけど、実際はそれなりにしっかりとしたテントが設置されているだけだったのだ。



 移動式という訳でもなさそうだし、どういう意図でこんな住居にしているんだろうか?



「ファトルム殿、トゥリです」


「どうぞ」


 天幕の向こう側に呼びかけると、皺がれつつも芯の通った声が返ってくる。



「失礼します」

「こんにちはっす!」


 トゥリさんを先頭に、順に入っていく。

 私もそれに続いて――


「お待ち」



 中の占い師さんは、私が入ろうとしたのを一言で制止した。あまりにも想定外の展開で困惑する。


 私が入って困るようなことなんて無いはず。全く心当たりが無い。



「その――それらの好奇の視線を何とかしてから入りなさいな」

「ッ!?」



 好奇の視線なんてのを今この場面で向けてるものは一つしかない。



 配信、のカメラの奥にいる視聴者さんだ。



「異界人……ではないですよね?」

「? 違うけれど何かまずかったかしら?」


「いえ、大丈夫です」



 全然大丈夫ではない。プレイヤーが成り上がって八鏡になっていたのなら、カメラは見えるからまだ良かった。しかし、実際は天幕越し、見えないはずのカメラ越しに視線を感じ取っている。


 私が内面で取り乱しているのは、その危うさが容易に想像つくからだ。



 マナさんやクリスさんには説明はしたけど、自分の感覚で理解するのでは大きく違う。今までの感じから、この世界の住人は私たちのことを別の世界から来て死んでも生き返る人達と認識しているはず。マナさんみたいな例外を除いてゲームのげの字も知らないのだ。


 私たち側からこのゲーム世界側に働きかけることはできるが逆はできない。そもそも認識することすら本来不可能なはず。それをこの中にいる人は無意識か、やってのけている。



 極端に言うと、私が普通に生活している時に自室のスマホから視線を感じて見てみたら謎の上位生物の顔が覗き込んでいたとか、そんな感じだ。普通にホラーだ。



 まだ視線に気づいた段階だからギリギリホラーで済ませれるが、少し踏み込めば自我が崩壊しても不思議ではない。映画とかではよく見るパターンとも言える。



 ホラーで「まさかね」とか言うのは主流だが、今回はちゃんと断言していた辺り、占い師としての腕が(うかが)える。それで済ましていいかは疑問だけど。



 ……よく考えると、別の世界とリアルタイムで繋がっているという解釈に落ち着く可能性の方が高いかな。あんまり触れないでおこう。広げられても困るし。



「残念ながら今日は雑談枠にすら値しない謎枠ということで、この辺で終わります。まあ、政治的な話も絡むかもですし仕方ないでしょうね。また次回〜」




[あ::こわ]

[カレン::おつデッセイ〜?]

[天麩羅::今来たけど終わりですか?]

[粉まみれ::大変満足した枠でしたよ?]

[壁::おつデッセイ〜]

[芋けんぴ::出演NGならしゃーないね]

[ベルルル::政治だからね]



 小さな声で終了を告げて配信を切断する。占いとかはNGとかよくあるからと納得してくれる声もあれば、短いという不満の声もあるが、国の運営に関わるのをここまで無断で配信してた方が問題だから許して欲しい。




「入っていいでしょうか?」


「どうぞ」



 先程のことなど無かったかのようにOKが出た。年季を重ねるとこれぐらいでは動じなくなるのかな。



「お邪魔します」



 中は神秘な様相を全面に出していた。窓は無いのは当然のこと、光源が蝋燭(ろうそく)一つしかない。そして今にも動き出しそうな不気味さを持っている用途の分からない物が至る所に配置されている。


 占い師のイメージピッタリの紫のテーブルクロスのこちら側に三人が、向こう側に顔が隠された姿の背筋の曲がった人が座っていた。



「座ってちょうだい」



 促されるまま席につく。年の功か、有無を言わさぬ見えない圧がある。



「協力要請の件なのだけど――」


「その話はオレからさしてくれ」



 音もなく、入口から何者かが入ってそう遮った。振り向くと、露出度の高いビキニアーマーに近い装備の勇ましい印象を与える女性が居た。


 小麦肌を見て感動しつつも、整えれば綺麗そうな黒髪がボサボサで長いのがどうしても気になってしまう。



「レネフ殿……?」

「お、こないだ会った騎士か。それと――」


「無駄話はその辺にしてちょうだい」


「はいよー」


 トゥリさんとは顔見知りのようだが、占い師さんが厳しく私語を慎むように注意する。

 本当にどちら様?



「まずは自己紹介を。私は八鏡のファトルムよ」


「帝国からの使者、ミドリです」

「同じくマナっす!」



「オレは王国の大使、レネフだ。今はここで療養してたんだぜ」



 共通して知っているトゥリさんを除いて挨拶する。


 レネフさんは王国の人なのね。こちらの陣営は戦争に持ち込むつもりはないみたいだし、その辺の打ち合わせのためにといった感じかな。



「療養というのは何かあったんですか?」


「敵さんの暗殺者にちょっとやられてな。まあやり返したんだが傷がでかくて休んでたんだ。もうすっかり治ったけどな!」




 昨夜トゥリさんが八鏡の暗殺者が大怪我を負ったとか言ってたのは、そんなことがあったからか。にしても、強いであろう八鏡の、しかも暗殺者から生還した上に反撃までって、この人も相当強そうだ。



「本題に入るけれど、私は中立を貫くつもり。けれど、そこのアマゾネスさんは違うみたいよ」



「そうだ。狙われたんだからこってり(しぼ)らねえと気が済まねぇんだぜ!」



 普通絞るという表現だと怒るという意味になるんだけど、この人、手を出す気満々だ。

 アマゾネスとかいう単語も聞こえたけど、その褐色肌は種族の特徴だったのか。見た目は人間だから区別する必要があるかは甚だ疑問だ。



「…………承知しました。私達はこれにて帰還します」


「もういいんですか?」



 交渉もクソもなくあっさり了承してしまったトゥリさんに思わずギョッとした目を向けてしまう。私たちは別に、一言断るのを聞きに来た訳では無いのだ。



「正直、レネフ殿が加わってくださるのであれば、八鏡の数でも(まさ)っていますし、問題は無いと判断したまでです」

「ん〜、多いに越したことはことはないとは思いますけどね」



 意見が少し割れていると、マナさんが間に入ってきた。


「まぁまぁ、喧嘩はダメっす。ここはマナが一肌脱いじゃうっすよー」



「いえ、喧嘩では……」

「んん?」



 (なだ)めに入ったのかと思われたマナさんは、ファトルムさんと向き合う。奇妙な沈黙が場を包む。



「仲間になって、くれないっすか?」

「他を当たってちょうだい」



「ッッ……!」

 マナさんの上目遣い媚びを受けて、平然と断る……だと!?

 横にいる私は必死に苦悶の声を抑えているというのに!



「だ、ダメみたいっす……」

「大丈夫ですよ! ものすごく惜しかったので実質優勝です。ほら、よしよ〜し」



 凹んでしまったマナさんを慰める。

 落ち込んでいる様を見ていると、何かよろしくない扉が開きそうになる。


 ……いけないのは分かっているのにここで突き放したらどんな反応をするのか、気になってきた。抑えろおおおぉ!



「ここからは私が引き受けます!」


 マナさんの意思を受け継いで、今度は私が交渉のテーブルに臨む――――




 ◇ ◇ ◇ ◇



「失礼します」


「じゃ、ばあちゃんまたな〜」


「くっ、力不足です……」


「どんまいっすー。気を取り直して頑張るしかないっすよ」



「はあ、騒がしい人達だこと。……緑色のお嬢ちゃん、少しいいかしら?」



 己の力不足による交渉失敗を嘆きながら退出しようとしていると、呼び止められた。真剣な雰囲気を察して、寄り添ってくれていたマナさんが他の人たちの元へ小走りで向かう。


 二人きりとなった薄暗い空間。

 あみあみの名前の知らない布越しで何を考えてるか全く読めないので、告げられる言葉を緊張して待つ。



「……占っても構わないかしら?」

「占いですか。どうぞいくらでもお願いします」



 唐突に何を思って占いをしようという結論に至ったのかは微塵も想像がつかない。



 私の了解を確認してから、再度着席を無言でうながすので大人しく座る。それから一度私の顔を眺めてから、飾りと思っていたその辺にある水晶玉を机の上に置く。



「【天ノ思召(スクライング)】」



 その呟きと同時に、水晶玉が淡く光り始め――





 破裂した。



「なるほど」

「えぇ……」



 弾けた破片に目もくれず、呆然とする私に向かって口を開いた。


 今こんなことを考えるのは場違いかもしれないが、顔の前の布が下に行くにつれて若干透けちゃっていて、口元が色っぽい。本当に今考えることではないけど。




「あなたの未来は、他の普通の人より圧倒的に振れ幅が大きいわ。ただ、苦難の道しか無いのは確か。こんなことを言うのに意味は無いのだけど、仲間が共に在るということは忘れてはいけないわよ」


「は、はぁ……」



 占いなんて受けたことないけど、こんな曖昧なことを言われるのか。もっと具体的なアドバイスがもらえると思っていたので少し拍子抜けだ。



「もう言うことは無いから、お行きなさいな」


「あ、はい。ありがとうございました」




 追い出される形で別れ、馬車に向かう。



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