第百三十二話
<大工のあんちゃん最終章 受難!ゴルゴタ丘ライブへの道編!!>
暫くすると、ローマ軍服で着飾ったピラトゥスが登場しました。
「ユダヤ属州の民よ!落ち着いてくれ!ワシは何もナザレの大工の処遇を放棄したわけではない!」
ガヤガヤ、ガヤガヤ、ガヤガヤ、ガヤガヤ。
ピラトゥスの言い訳に、群衆はざわめき始めまると、カヤパは時を見計らったように、ピラトゥスの元へ近付きました。
「ピラトゥス様!ご覧ください!この者達はナザレの大工によって、迷惑を被ったいたいけな商人達ザマス。彼らはコツコツとユダヤとローマ法に従い、慎ましく商売をしていたにも関わらず、自らを神の子と名乗る愚か者に、商売を妨害されたのでザマス!」
ワー!ワー!ワー!ワー!
「そうだ!そうだ!俺達は商売をしてただけなんだ!」
「それをあの罰当たりは妨害し、さらに神殿を壊すと暴言も吐いたのだぞ!」
「それなのにローマ帝国は、そんな犯罪者をかくまうのか!?」
「即刻処刑だ!磔刑だ!」
カヤパの言葉に導かれるように、商人達は自分達の怒りをピラトゥスにぶつけます。予想以上に、商人達のあんちゃんに対する怒りは凄まじい感情でした。
「ロンギヌス、ナザレの大工を連れてこい」
「はい」
今ここで、彼らの神経を逆なでした場合、暴動に発展するのは必至。そして、手首を鎖で繋がれたあんちゃんが、ロンギヌスに連れられ、その姿を現しました。
「。。。」
ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ。
あんちゃんは今までの陽気な雰囲気と打って変わり、めちゃくちゃ劇画タッチでシリアスです。それもそのはず、自分のせいで多くの人間を不幸にさせてしまったのですから。
「クーー!このままでは、大工の存在感に圧倒されっぱなしザマス!」
カヤパはユダに、民衆を煽るよう指示します。
「おいみんな!どうしちまったんだ?あいつこそ、商売敵じゃなかったのかYO?!」
ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ。
みんなはあんちゃんの凄まじい存在感に慄いていたのですが、自分達の商品をぶっ壊した人間に間違いはありません。
「何が神の子だ!救世主だ!この悪党め!」
「磔刑だ!磔刑しろ!」
ワー!ワー!ワー!
凄まじい悪感情が、あんちゃん一人にぶつけられます。もはや勝ったも同然と思えたカヤパは、最後の一撃を食らわします。
「ピラトゥス様!彼らの言葉はユダヤの民の声ザマス!この声を無視すれば、きっと彼らは暴徒化するザマス!ローマ帝国ユダヤ属州総督として!英断を願い次第ザマス!」
歯ぎしりするピラトゥス。それして自分の行動でこれほどの商人を怒らせてしまったことに、自己嫌悪に陥っているあんちゃん。するとロンギヌスがピラトゥスに耳打ちをした後、留置所へ向かいました。
「それほどこの男に磔刑を望むのなら、貴様らに選択を与えてやろう!」
「なんザマスと?!」
すると今度は、鎖に繋がれたバラバが、ロンギヌスによって姿を現しました。これにはカヤパもびっくり。
「バラバだ!」
「凶暴な極悪人バラバだ!」
ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ。
バラバが熱心党でローマ帝国と攻防していた事は、バラバが服役中に、いつしか人々の噂では過去の遺物となっていたのです。
「よいか?過ぎ越し祭りの時に、お前達の望む囚人を一人だけ、釈放する事ができるのだ!ワシは貴様らに問う!この殺人で凶暴な極悪人バラバか、それとも貴様らユダヤの王と名乗るナザレの大工か?どちらを釈放して欲しい?!」
ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ
さすがに人々は困りました。確かにあんちゃんは商売を妨害した厄介者ですが、バラバも凶暴で極悪人との噂。釈放すれば、何をされるかわかりません。
「クーーー!責任転嫁のピラトゥスめ!上手いこと考えたザマス!」
再びカヤパはユダに、民衆を扇動するように指示します。
「さぁ!どうする属州民!?ナザレの大工か、バラバか?どちらを釈放して欲しい!?」
ザワザワ、ザワザワ、ザワザワ
「バラバだ。バラバを釈放しろ」
「?!」
その声は、ユダよりも先に答えた、大工のあんちゃんでした。
続く




