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自由気ままな魔法使いは、スタイル抜群なメイドエルフと旅に出るそうです。

俺はある日、所属するギルド内のある部屋に呼び出されていた。



「シャルトッ!本日をもって貴様をこのギルドから追放する!!」



「…はぁ…」



俺に怒鳴り散らしているのは、このギルドの幹部の1人であるマーケヌイ。



いきなり呼び出されたかと思えば、追放宣言…



てか、まだ午前中なんですから、周りへの迷惑とか考えてくださいよ…



貴方の声、大きいんですから…



…一回それで隣のお店の主人から苦情きたでしょ?



忘れたの?



…まぁ、俺を追放できるのが嬉しくて仕方ないから、いつもより声が増し増しなのは予想できるけれども……マナーは守りましょう、マナーは。



…あー…でも、この人…守ったためしないしなぁ…



常日頃、この人は俺の事が気に食わないのか、たびたび難癖をつけてはちょっかい出して来てたぐらいだし…





とりあえず…



「…一応、どんな理由で追放なのかを聞いてもいいっすかね?」



まぁ…俺の態度が悪かったとからな俺が悪いし…



一応、何故なのかを確認してみるが…



「理由?、そんなの決まっているだろっ!。万年Fランクな上、初級魔法しか使えないっ、そんな雑魚を居座らせてはギルドの名を汚すだけだ!」



なんだか予想できた答えが返ってきた。



…“ギルドの名を汚す”…ねぇ…



そうならないように動いてきたつもりなんですが…



「別に泥を塗るつもりはさらさらないですけど……迷惑とかかけてなかったと思いますが?」



むしろ、俺はFランクながら貢献していたはずだ。



ランク毎に受けれるクエストの内容が決まっている。



Fランクと言えば最低ランクだ。



受けられるクエストの貢献度、報酬、知名度、その他もろもろはもはや雀の涙ほどと言っても過言じゃない。



そこはルールなので仕方ないと言えるだろう。



むしろ、その基準を無視してクエストを受けさせたりなんかしたら大問題だ。



だから皆、結果ランクをあげていく。



だが、別にランクを必ずしも上げなければならないというルールもない。



もちろん、報酬の差に大きな差が出てくるが、そこは自己責任。



とはいえ、マケヌーイが言うように、ギルドに所属している以上、下手な行動はギルドの評判につながってしまう。



これは事実だ。



…俺自身としては、別にFランクだからと言って悪いとは感じないんだがなぁ…



ギルドによっては、ランク主義なところもあるため、一概には言えないんだけど…



ただ、言わせてもらうなら、このギルドではランク重視の部分はないし、Fランクである俺はサボっていたわけでもない。



…まぁ、本気で取り組んでいたかなんて言われたら言葉に詰まるが…それはそれ、これはこれだ。



つまり、俺は俺のできる範囲でそれなりに仕事をこなしていた。



万年Fランク…と言われたら、ランク主義な奴らからすれば思うところはあるんだろうし、結果みたいな物だから、俺自身も言い返しにくいところだが…



でもだからといって、追放宣言を受けるまで役に立つような事をしていなかったのかと言われたらそうでもない…とは思う。



何度も言うが、俺は“俺のできる範囲”で貢献していたはずだ。



いくら私怨があると言っても、ちょっと無茶が過ぎると思うんだが…



…ん〜…



まぁ、別に構わないんだけどね。



「そうですか、わかりました。今日付で出てきますね」



追放されたなら仕方がない。



ギルドだって慈善事業じゃないしな。



どんな組織だって、必要がないと思う存在を抱えている意味はないだろうし…



まぁ、仕方ないよね。



「あぁそうだろう、お前みたいなのは…えっ、わかったの?」



ん…なんで聞き返してくるの?



いや、自分で言ったんじゃん。



追放するって。



「何か問題でも?」



「いやっ…別に問題というわけではないが…ぁあもうっ、貴様のそういうところが気に食わんのだ!」



とまぁ、理不尽な怒りを向けられてる俺。



自分がかなりサバサバした性格なのは理解してますから?



わからんでもないんですけど…





…ははーん…なるほどなるほど…



どうせ、俺が追放を拒んで必死に残してくれるよう頼む姿でも考えていたんだろうか?



…いやいやぁ…そんなことするはずないでしょ。



俺ですよ、俺。



…もし、本当に考えていたとしたら浅はかとしか言いようがない……今までどれだけ絡んできたと思ってるんですかねぇ…



…まぁ、親しい間柄でもないし……好意的に接してきていたわけじゃないから、理解できなかったのかもしれないけど…



…正直、俺は別にこの場所にこだわりはないし、追放されるなら追放されるでいいんですよ。



世の中、弱肉強食ですからねぇ。



使えない人材をきる…それは別に悪いことじゃないと思うし。



…だけど…



「あっ、最後に一つだけ」



「ッ!?、なんだッ!?」



…いやいや、なんで食い気味なの?



そんなに、俺がお願いする姿を見たいの…?



…逆に引いちゃうんだけど…



いや、そういうプレイみたいなものがあるのは知ってるし、それを好む人もいるらしいから否定はしないけどさ…



「…いや、何……“これからどうなろうが、俺はもう関係ない”…まぁ当たり前のことですが、念のために…それじゃぁお元気で〜」



「……え…それだけ…?」



唖然とするマーケヌイを他所に、俺はギルドを後にした。





ん?



それは言う必要があったのかって?



いやぁ、過去に似たようなことがあってねぇ…変にめんどくさい展開になったからさ。



その経験を踏まえ、めんどくさい事の回避のためっていうかね…



まぁ、そんな話はどうでもいいとして、これからどうしようかなぁ〜。



◇◇◇



追放されたなら、ここに用はない。




と、言うわけでもないんだが…



俺はすぐにギルドを後にした。





いや、ほら…なんだかんだ仲が良かったメンツもいるし?



鉢合わせたりしたらちょっと気まずいじゃん?



それに、この後の予定はほぼ旅に出て、違う場所を目指す事になるんだろうし…



早めに旅の支度は整えたいじゃん?



とまぁ、そんな事を思いながら旅支度に励む俺なのでした。



「…珍しいですねぇ…シャルトさんがこんなに買い込むなんて」



ある道具屋の看板娘、(将来的には)ボッキュッボンになると自称している店長の娘さん(15歳)が話しかけてきた。



願い通りのスタイルになるかは…





…まぁ、将来性と要相談だな。



「大規模な討伐クエストでもあるんですか〜?」



とまぁ、アホなことを考えていると、いつもの様子で話しかけてきた。



「いやいや、そんなんじゃないよ。それに、あったとしてもFランクの俺は不参加だろうし…」



現に、そんな大規模イベントなんて参加した事ないしなぁ…



「いやいや〜、クエスト自体は不参加だったとしても、事前準備でシャルトさんを動かさないなんてあり得ないでしょ〜。道具やモンスターの生態にすごい詳しいのに〜」



あはははっとおかしそうに笑う娘さん。



ん〜、これぐらいなら普通だと思うけどなぁ〜。



「ん〜別にそこまですごいとは思わないんだけどねぇ〜…とりあえず、大規模クエストを受けるとかそんなんじゃないよ〜。単純に、ギルドを追放されちゃったから旅に出る準備をしてるだけ〜」



「あ〜なるほど〜、旅ですかぁ〜……えっ…?」



「よし、これぐらいかなぁ。それじゃ元気でねぇ〜」



道具を一式買った俺は、そこで会話を打ち切りその場を去った。



あんまり長居して、店長さんからの鋭い視線を浴びたくないし…












「えっ…あっ…シャルトさッ………うそ……おっ…おとうさぁぁぁぁぁぁん!!!???」



慌てて、父親の元に駆け込む看板娘。



この報告が後に大きな嵐になるなんて…誰も予想していなかった。



◇◇◇



「よし…どっちに向かおうかなぁ〜」



僕は町から出ると、どちらに進もうかと悩む。



正直なところ、本当に行くあてはない。



どこかゆっくりできるところがあればいいなぁってくらいだ。



…温泉もいいけど…美味いものを巡る旅でもいいかもなぁ〜。



「…よし、じゃぁ港町でも目指すかぁ」



前にあった冒険者が新鮮な魚はうまいって言ってたし。



「それでしたら、進む方角は北になりますね。港町がございます…時間としては、歩いて3日ほどでしょうか?」



なるほど…結果かかる……ん?



「…なんでここにいるの?」



「私は貴方様のメイドです…主人の側にいるのがおかしな事でしょうか?」



そう、いきなり俺の独り言に混ざって来たのはメイドさんだった。



…いや、ほんと…なんで俺のメイドなんて言い切ってるんだろうねこの人…



…知り合いだよ?



…知り合いだけどさ……



…俺…貴方のことをメイドにするとも、したとも言ってないんですが…



でもこの人、毎日ちゃんとメイド服着て、俺の側にいたりするんだよなぁ…



気がつかないうちに背後にいたりするから、正直怖いんだけど…


「…俺は貴方の事を自分のメイドだとは認めた覚えないんだけど……まぁ…うん…そこはいいとしてさ……その荷物は…ついてくるってこと?」



と指をさせばいくつかそこにはカバンらしきものが…



「はい、貴方様のメイドですので」



…お…おぅ…即答かよ…



「…前々から言ってるが…俺にそんな恩を感じる必要はないぞ…?。確かに、君からしたら、それなりの…」



「…シャルト様。私は私のしたい事をしているだけでございます」



はっきりと言い切る彼女…



…まぁ、昔にちょっと色々あって知り合いになって…



それからは毎日、俺のメイドとして活動されているんだけど…



別に恩義に感じる必要もないし…でも、自分がやりたいからと言われたらなんとも言えないしなぁ…



「…んー…そう言われちゃうとなんとも言えないけどさぁ…ほら、あれじゃん。俺についてくるより、あのギルド内で残っていた方が利はあると思うんだけど?。ほら、あのマケヌーイとかよく貴方のことを自分の部下に」



「ご冗談をっ、あの豚…失礼しました、豚に失礼ですね…」



いや、誰のことを言っているかは明確だし…豚って……いやまぁ、確かにあの見た目からして豚って言葉は正しいのかもしれないけど…



てか、豚に失礼って…間違いじゃないけどさぁ…



「…気に入らないとは思うけど…そこまでいや?」



「ええ。いつも私のことを舐め回すように見てくる相手に好感など抱けましょうか?」



「…あー…それはそうだな…」



確かに、毎回毎回舐め回すように見ていたっけ…



彼女…エルフのレミリアは、かなりの抜群のスタイルを持っている。



簡単に表現するなら、ボッキュッボンです。



そして綺麗な金色の髪の毛に整った顔つき…



あのマケヌーイを擁護するつもりはないが…



下心を出しても仕方ないと言えるだろう。



「ご主人様になら…いくらでも舐め回すように…むしろ、下心剥き出しで暴れて欲しいのですが…///」



「…いや、そんな…頬を赤らめながら言うようなことじゃないからね…うん…」



ちょっと落ち着こうか…



「…まぁ、ついてくるなら構わないけど……」



「えぇ、どこまでもお供致しますわ」



「…へいへい。まぁ、一人旅も気楽で良かったんだがねぇ…」



「それは有り得ませんわ。私はどこまでも貴方様にお供する所存ですので」



「…どこまでも?」



「はい、どこまでも」



「…その…気が変わったりとか?」



「有り得ませんわ。私はそう決めたのですから」



「…少し狂気じみてるよな…レミリアって」



「失礼な…私は、ただ思いに忠実に生きているだけですわ」



「思いに忠実すぎるところが……まぁ別にいいか…」



「…ところで、真面目なお話ですが…」



「ん?」



真面目な話?



「…いつ、“芽”が出ると考えで?」



…“芽”…ねぇ…



んー…別に俺は構わないんだけど……まぁ勝手に芽吹くだろうしなぁ…



「…まぁ…遅かれ早かれ、すぐじゃないか?」



「…そうですね……もうすぐギルドの会議が有りますし、ご主人様の“引き継ぎ”ができていない以上、崩壊は免れないかと」



「…崩壊…までいくかねぇ〜…まぁ、多少の混乱するだろうけどなぁ…」



「…いいかげんご自身の価値を理解してください。ご主人様の有無でかなり変わるんですよ?」



「はぁ?、いやいやそんなことないでしょ〜……さて、そろそろ出ようか。時間はかかるとはいえ、わざわざ遅くしても意味はないしな」



「…はい、かしこまりました」



俺たちはそこで話を切ると旅立った。



さてさて…港町ではどんなことが待ってるのかねぇ…

















大人しく従うレミリアだが、内心では複雑な気持ちだった。



“…ご主人様、ご自身の価値を理解できておりませんね…”



レミリアは表情に出さず、深くため息を吐いた。



本当に彼を見ていたならば、彼の力の一端を目の当たりにしていれば…



手放すなんて考えは絶対に生まれないはずなんですけどねぇ…



…そう……今でも焼き付いている“あの時”のように…














だからこそ、この後に起こるであろう悲劇の大きさ…



自分の主人(自称)が考えているより遥かに…大変な事態になると…



「…おい、レミリア。行くぞ〜、それとも止まるか〜?」



「ただいま参ります」



もはや彼とは関係なくなったのならば、これ以上気にする必要はないと心の奥に沈み込め、彼の後を追うのだった。

















◇◇◇◇◇◇



そして彼らが関係ない所で…



「…すまんな、急に集まってもらって…実は…」



とある商人同士のより集まり所で…









「ねぇ聞いたッ!?」



「えぇっ!!あの人がっ…」



それはあるパーティー同士の会話の中で…






「…急いで対策が…」



「しかし…っ…」



ある騎士同士の会話の中で…






「こッ…国王陛下ッ!!!!ご報告したいことが!!!!!」



「おい貴様ッ!!ここが何処だとッ!!」



「良い、宰相よ。いつも冷静な騎士団長がコレほど慌てておるのだ、余程のことであろう…騎士団長よ、申してみよ。何があった?」



「はっ!!陛下並びに皆様の前でッ、ご無礼を承知でご報告いたします!!実はっ…!!」



そして王城にて…



彼らは皆、同じ話題を話していた。



驚いた物もいれば軽視する者もいた。



それは仕方がないことだろう。



たかが、Fランクの冒険者1人が追放となった。



言葉にすればそれだけなのだ。



…果たして、この中に彼がいなくなったという事実の“真の厄介さ“に…果たしてどれだけいるだろうか…


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