↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
借金聖女と腹黒御用商人  作者: 大沢 雅紀
PR
30/42

前世の記憶

「残念ですが、あなたの会社への融資は打ち切らせていただきます」

冷たい顔をした男が、中年のはげ親父に対して無情につげる。

「そんな!融資を断られたら、私たちの会社はつぶれてしまいます。なにとぞお願いします。金人さん」

はげ親父は必死になって頼み込むが、その男、金人成功は首をふる。

「我々は慈善事業をしてるわけじゃないんです。金を稼げない方は、お客様ではありません。お帰りください」

成功は親父を冷たく追い出す。彼は外資系金融機関の中でもエリートで、融資係として冷酷に手腕を振るっていた。彼に見限られて事業が破綻した会社も多い。多くの人から恨まれていた。

そんなある日、会社への出勤途中に、暴漢に襲われてしまう。

「ぐっ!」

腹にナイフを突き立てられ、成功は苦痛に喘ぐ。

騒然となる周囲の中、彼を刺した男は笑っていた。

「ははは!ついにやってやったぞ。思い知ったか。金貸しめ!」

彼を襲ったのは、つい先日融資を打ち切ったはげ親父だった。

「な、なんで……」

「なんでだと!貴様のせいで会社が倒産して、妻と子供にも逃げられたんだ。俺の人生を返せ!」

はげ親父は成功に恨みをつげ、逃げていった.

成功の視界が暗くなっていく。

(情けない……あれだけ勉強して努力して地位を築いたのに、逆恨み一つで人生が終わるのか。俺の人生ってなんなのだろう。誰の役にも立たず、ただ恨まれて死んでいくなんて)

深い後悔に苛まされていると、ふいに視界が明るくなっていく。

(な、なんだ?)

目の前の光景が明るくなっていく。成功の目に飛び込んできたのは、泣きはらした美しい天使の姿だった。


ヴァルハラ家

そこでは、サクセスが森に入ったというエレルの知らせを受けて、大人たちが驚いていた。

「本当に息子が魔物の森に?」

真っ青な顔をしているのは、御用商人であるゴールドマン。サクセスの父親である。

「はい。魔物を狩って僕の力を見せてやるって」

「あの馬鹿息子め!」

それを聞いて、ゴールドマンは頭を抱える。

「元気があるのはいいことだけど、さすがに今回は冗談ではすまされないな。魔の森の魔物たちは危険だ。すぐに連れ戻そう」

ヴァルハラ領の領主、ヴァルハラ男爵はそう決心した。

その時、オレンジ髪の幼女が入ってくる。

「お父様。私も行きます」

そういったのは、まだ八歳のエリサベスだった。

「エリザベス、お前はまだ小さい。危険だ」

「いいえ。元はといえば私がサクセスと遊ばないっていったせいです。だまって待っていることはできません」

エリザベスはサクセスを心配して、ついていくという。

「それに、聖属性の魔法である『魔力探査』も私は使えます。足手まといにはならないはずです」

「……わかった。だが、気をつけるんだぞ。決して私たちから離れるんじゃないぞ」

ヴァルハラ男爵は町の者たちを集めて、魔の森に捜索隊をだす。

少し中に入ったところで、エリザベスが魔法を使った。

「『魔力探査』」

エリザベスの体から発せられた白い光が、全方位に散らばっていく。その光に触れて、いくつかの魔力を持っている生き物が反応した。

(これは……スライムにワーム、ヘビークックローチ)

虫嫌いのエリサベスは吐き気を覚えるが、我慢してさらに先まで光を伸ばす。すると、慣れ親しんだサクセスの反応を感じ取ることができた。

「みつけた!その先にいます!」

エリザベスの先導を受け、大人たちは森の奥に進んでいく。

すると、大きな木の根元に巨大な繭を見つけた。

「サクセス!」

大人たちが止めるのも聞かず、エリザベスは繭に抱きつく。

「ホーリーシャイン!」

エリザベスの背中から、白い光でできた羽が飛び出す。同時に固く結ばれていた繭がやぶれて、中に入っていたシルクワームが慌てて逃げ出していく。

繭の中からは、幼い少年の姿が現れた。

「サクセス……よかった。生きている」

エリザベスはサクセスの体を抱きしめて涙を流すのだった。


光り輝く美しい幼女が、自分の無事を喜んで涙を流している。

「君は……」

彼女をみた瞬間、金人成功の記憶とサクセス・ゴールドマンの記憶がつながる。成功は自分があの時に死んで、サクセスとして生まれ変わったことを理解した。

同時に、また幼いサクセスの人格は、あまりの負荷に耐えられなくなり成人の成功の人格に上書きされていく。

「エリザベス、ありがとう」

成功、いやサクセスは彼女に感謝をささげる。自分のすべてをかけてこの少女を守り抜くと誓うのだった。

薄暗い地下室で、エリサベスの顔を見ながら、あらためて彼女が平穏に生きられるように手を尽くそうとサクセスは思う。

(『俺』という人格が消えたら、サクセスは再びやんちゃで意地悪なクソガキにもどってしまうかもしれない。なんとか、俺がいる間にエリサベスを救ってやらないと)

前世で身に着けた知識をつかって、全力でエリザベスを守り抜くことを改めて思うのだった。


読んでいただいてありがとうございました。


よろしければ評価ポイントと感想をお願いします


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=569357356&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。