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月が綺麗なお話  作者: マナティ
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昔話


昔といっても平安時代よりももっともっと以前。

この村には二つの人種がいた。僕たち村人の祖先ともう一つ、それがシソーラス人だった。


シソーラス人と村人は何度か食料や土地を巡って闘ってきた歴史があった。


実力は互角で、何度も何度も闘いは繰り返された。


しかしある時、その勢力構想が大きく揺らぐ事が起きた。


それがミアキスという動物の出現だった。


ミアキスはいつ現れたのか不明だが、それはいきなり森に現れて、出くわした人間が村人かシソーラス人かは関係なく襲うということを繰り返した。


その結果人口は激減し、村人もシソーラス人も闘うことをやめ、それぞれがミアキスにどう対抗するかを試行錯誤するようになった。


そして、ついにシソーラス人はミアキスを手なづけて共存する方法を見つけた。


一方で、村人はミアキスを手なづけるのではなく、特殊な薬を食べさせることで形態を変化させることに成功した。

そして片っ端からミアキスを捕まえて、変化させた。

その変化した動物が、今の犬や猫やライオンなどさまざまな動物なのだ。


この村人たちのなりふり構わない行動に怒ったのが、シソーラス人である。


シソーラス人はミアキスと共存していくうちに、ミアキスに肩入れするようになったのだ。


村人は実際、ミアキスを無条件に乱獲し、強制的に進化させ、村人たちの使役動物として扱った。


番犬や、猟犬、闘犬、ネズミ捕りのための猫や観賞用の動物たちなど、かわいそうなミアキスの変化に怒り、ある日ミアキスを従えて、村を襲いにかかった。


村人も猟犬や番犬、さまざまな動物を駆使して闘った。


壮絶な闘いの結果、シソーラス人は惜敗した。

ただ村人たちも相当な痛手を負ったので、生き残ったシソーラス人を完全に降伏させることは難しかった。


そこで村人は、2つの約束をシソーラス人との間に交わすことにした。


1つ目は、もう二度と村人たちの前に姿を現さないようにすること。もし出歩くとしても月に一度の満月の夜だけにすること。


2つ目は、これから捕獲するミアキスを変化させることを認めること。


この2つの約束を取り交わし、これ以降村人とシソーラス人が対峙することはなくなった。


シソーラス人が何世代にも渡り、律儀に約束を守り続けたからである。


村人たちは約束のことを受け継ぎながら、公然の秘密として扱った。


シソーラス人がどのように生活しているのか気にはなったが、…なによりも、もしも生き残っているミアキスがいたらと怖かったからである。

シソーラス人とミアキスとの闘いがトラウマになっていた。


村人は自分たちが約束した、満月の夜にミアキスと遭遇する可能性があったため、満月の日は必ず家で過ごすようになった。窓から外を見てミアキスを見かける事があっても恐ろしいため、外も自然と見ないようになった。


そうして何世代にもわたって受け継がれてきた約束は少しずつ理由が不明確になってきたため、村人たちの間では、引越しなどよそ者が入ってきた場合やまだ子ども達への説明として『満月を見てはいけない。』という伝統として簡潔に伝えるようになったのである。




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