第1章1 理想は現実へは変わることない
俺はこの子の言ったことが理解できなかった。
え?どうゆうこと?やっと見つけた?必ず会える?
やっと見つけたってのはわかるよ。俺が何かを落としたり、用事があったりして自転車で探して言ったんならわかる。でもそんな理由じゃない
あれは俺の夢に出てきた俺の理想に近い容姿の女の子であって現実の子を想像したわけじゃない
「ちょと……ちょっと離してくれないか?」
そういうと抱いていた手を離して一歩後ろに下がり、俺を見つめる
「ごめんね?会えたことが嬉しくって」
「そうじゃなくて、今この現状がわからないんだがー……君は誰で、なんで俺のこと知ってるの?そして何よりなんで俺の夢の中のことを知ってる?」
俺は今自分が疑問に思っていること全てを聞いてみた
すると彼女は少し考えるようにして
「ごめんね?驚かせちゃって、いきなりあんなことされたら困るよね?…自己紹介……うん…そうね…うん」
少し申し訳なさそうな顔をしつつ頷いている。
「私は姫野春美。夢の世界から来たの」
は?夢の世界?意味がわからん。とりあえず聞いてみるか
「夢の世界ってどういうことだよ……意味不明なんだが」
「簡単に言えば朔弥君の理想としてた子が「夢の世界」で具現化して、私はこの世と夢の世界をつなぐ扉をくぐってこの世界にやってきたんだよ」
これならわかるだろうと言わんばかりという表情を浮かべている
だが俺は全く理解していなかったのだ。
夢の世界から具現化?そもそも夢って個人個人の脳内での記憶の整理やその日印象に残ったことが夢になって出てくる。それが夢というもの。
俺の場合はいつも理想の子を想像してばっかだったわけで、それが夢に出てくるのはまぁわかる。
「全くわからん…そもそも夢は一人一人違うわけで、それが世界って呼ぶのはあまりにもおおきすぎるだろ」
そんなことありえないという顔をする俺に彼女は
「実際そうなったんだから仕方ないよ。朔弥くんが私をいっぱい想像して少しずつ容姿が出来上がっていったの。その理想が現実になったの。」
「つまりはあれか?俺がお前をつくったってことか?」
「そうだよ」
うんうんと頷く春美であった。名前は特になかっちめ自分で名づけたのだろう。
「なるほどなぁ…それでえっと…姫野さんはこれからどうしたいの?」
そう俺が問いかけると即答で春美は答えた
「うーん……どうしようかぁ……夢のあとのシチュエーション的に抱きついて甘い一言浴びせれば即落ちると思ったんだけど、なかなかそうはいかないかぁ……猫かぶるの面倒くさくなってきた……」
何やらボソボソと呟いている
俺が生み出したってことは俺のことが好きってことだよな?うんきっとそうだ。
「えっと………春美俺も好きだ付き合おう。」
「は?何言ってるの?バカの?死にたいの?」
え?何この反応……なんか態度が激変したんですけどこの子……
「何いきなり俺も好きだよ付き合おうとか言ってるの!?私朔弥くんに一度も好きなんて言ってないんですけどー!重いんですかぁー??重い女ならぬ重い男ですかぁ?いきなり超ウケるんですけどぉ!!あははははは!」
人をおちょくる様な顔で腹をバンバン叩きながら爆笑している
俺の彼女に対する好感度は一瞬で砕かれた、俺の理想は容姿だけだったらしい。
ムカつく……殴っていいですか?神様……女に暴力振るってはいけないのはわかってるがこいつだけは殴りたいっ!!!
拳をぐっと握る
「お前俺の理想で生まれたんさぞゃなかったのかよ!性格も理想通りじゃないのかよ!」
「そんなほいほいうまくいく訳ないじゃーん。理想に叶ったのは見た目だけよ?性格はランダムで決まるの」
俺はとんだハズレを引いたらしい
「ふーん」
もはや俺にこの女への興味はもう0だ。
「付き合うのは死ぬほど嫌だけど、友達ぐらいにはなってあげようかしら?」
「え?マジで?友達?いいの?」
7何よ…いきなり態度変えて気持ち悪いわよ??…はぁ……本当よ。私もこの世界のこと全く知らないし、知っておく必要もあるしねここの世界のこと」
「気持ち悪いとかいうな!!友達なんて一度もできたことねぇからどうしても欲しかったんだよ!!彼女の次ぐらいに」
深く春美はため息をつくと俺に手を出す
「よろしく……キモ男」
「キモ男とかいうな!……よろしく姫野」
握手をする、手はとても暖かくて小さい握った感じ柔らかい感じがする
俺は今日初めて友達ができた。
よっしゃーっ!!友達だよ!友達ぃ!なんていい響きなんだ!しかも女子ときた!こりゃテンション上がるー!……ってこの女にこんな上がってどうする……まぁいいか
「じゃあ帰ろうか」
「そうだな…」
握手していた手を離し、春美は自転車に手をかざす、すると自転車が光に包まれる。光は丸く円型である。
「なんだ!!?」
すげぇ!!自転車が光ってる!!何?このファンタジー!!
「自転車はもう不要だから夢の世界に送るのよ…」
その夢の世界とやらには一体何があるんだ?聞いてみるか
「なぁその夢の世界に何がある?」
「え?何もないわよ?」
「は?じゃあその自転車は?その夢の世界から持ってきたんじゃないの?」
すごく嫌な予感がしていた俺は身構えていた
「ううん?違わよ?、これは学校の自転車置き場に鍵がかかってない自転車があったからもらってきたのよ。鍵かけてない人が悪いのよ……盗んでくださいって言ってるようなもんじゃない」
「おい!ダメだろ?これは人様の自転車なの!!」
俺は春美の頭を軽く殴る
するとスカ祭たかったのか頭を押さえる
「何するのよ!痛いじゃない!」
殴られたことにちょっと怒っている
「何するの?じゃねぇよ!人の自転車盗むなよ!これは当たり前のことなんだよ!わかったら早く返して来いこのあまぁーっ!!!!」
俺は人様の物を盗んだりする奴が大活躍嫌いなのだ。
「はぁ……わかったわよ……そんな怒らなくたっていいじゃないの…-」
すぐさまに自転車に乗り走って行った
うんこれは友達なら待ってやるのが普通なんだが、ああつを待ってても得はないし…仮にあいつが待ってくれてると思って戻ってきたら居なくて悲しむってのも面白そうだ。そし帰ろう
そう思いながら俺は家へと向かっていった。
俺の家は街の商店街を少し行ったところにある一軒家だ。
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ふぅ……着いた。面倒な奴と会っちまったなぁー。
そして家の扉を開ける。
「お兄ちゃーーーん!!」
扉を開けた瞬間待っていたかのように1人の少女が飛び込んで抱きついてきた
「たうおう、いつも元気だなーお前は…」
こいつは俺の妹、田辺日向
膝まで伸びた黒髪に黒い瞳で顔は普通。だがこいつは俺の一つ下の中3で胸の発育がいいが身長は138cmというまぁいわゆるロリ巨乳というやつだ。
中3にもなってまだブラコンが抜けていない妹に早く卒業してほしいと思う。日向も今さっき学校から帰ってきたのか制服のままだ。
抱きつく妹をそっと下ろす
「えー!?もっとお兄ちゃんに抱きつきたかったのにー!」
すごくがっかりしている様こいつはもう中3だ来年は高校生。胸の発育がいいわけで抱きつかれるたびに……おっぱいが当たってお兄ちゃん心臓ドキドキなんです!だから俺の理性が持たなくなる前に妹にはブラコンを一刻も早く卒業してもらいたい。
「おう……帰ったか…朔弥」
リビングから、重々しく低い声で話しかけてきたのは俺たちの親父、田辺剛力郎だ。名前がいかついと思うだろうが親父曰く、親父の両親がいかつい名前がいいと2人とも言い出してこんな名前になったらしい。
赤ん坊の頃の写真を見せてもらったことがあるが、確かに赤ん坊ながらいかつい顔つきをしていて
俺はこんな名前になっても無理ないと心底思った。
「組長!お勤めご苦労様でしたっ!」
俺は深々と頭をさげる
「俺はヤクザじゃねぇよ!ぶっ殺すぞ!バカ息子!」
拳を振り挙げながらそんな物騒なことを言う親父。
「ダメだよ!お父さん!!お兄ちゃんは見た目不良だけど、喧嘩は弱いし体力ないし、料理もろくにできないし、友達いないし」
「やめろぉー!!やめろやめろやめてくれー!!」
話を途中で中断させる様に俺は日向の肩を強く掴みながら、半泣きでそういった。
「とにかく!!お兄ちゃんに酷いことしたら私がお父さんをぶっ殺すから……」
妹の目が急変し殺意溢れるそんな眼差しで親父を見つめる
「ごめんなさいっ!」
親父は床に頭をつけ土下座した。
ちなみに妹は空手2段、柔道2段、合気道も少々習っており、成績も優秀で学校中から人気を集めている
なので妹を本気で怒らせたらとんでもないことになるのだ。
………妹に土下座する親父がどこにいる……あっ……ここにいたか
呆れた表情で親父を見つめる
「あぁ……そうだそうだ」
伏せていた顔をあげ立ち上がる
「朔弥リビングに来てくれ」
「そうだそうだ!お兄ちゃん早く早く!!」
ぐいぐいと俺の手を引っ張る
「わかってるから引っ張るなよ!」
リビングに入ると誰かがソファーに座っている
「紹介するぞ、この子は今日からウチで預かることになった、姫野春美ちゃんだ」
「え………?」
俺は今のこの状況を理解できないでいた。なぜ彼女がここにいるのか
なぜ自転車を置きに行って たはずなのに俺より先に家にいるのか
なにより何故彼女が俺たちと生活することになったのかを。
「よろしくね朔弥くん」
「よろしくね…じゃねぇよ!ちょっとこっち来い!」
俺は春美の腕を掴み廊下へ連れて行く
「何でこうなった?何でお前は俺より先に家に居るんだよ!」
俺は小声で囁く様に問いかける
「だって朔弥くんによって生み出されたんだからもちろん私の家はここでしょ?何で先に家に着いたかって?それはねぇ……夢の世界からここの家は直接繋がっててねー?自転車を入れようとしてる時に見たあの光あるでしょ?あれは夢の世界へ繋がる扉みたいなもので、潜ると通路になってて歩いて行くと扉があって入ると朔弥くんの家って訳」
「それて?何でうちの家族みんな了承済みなんだよ!」
「それはお二人に暗示をかけたのよ。」
頭を叩く
「うちの家族に何してくれてんだ!」
「まぁまぁまぁ落ち着きなさいって、何も害はないんださはいいじゃない…!あんたの親も部屋は余ってるって言ってたし」
俺はため息をつくと、こんなクソみたいな女と一緒に生活することに
はぁ……まったく
「わかったよ…暮らして構わん」
「やったー」
俺たちはリビングに戻ると親父は新聞を、日向はテレビを見ていた
「おう、何2人で話してたんだー?もしかして今夜2人は熱い夜を過ごす相談か?」
親父がニヤニヤとそんなことを言い出した
「「それはない!!」」
不服にもこいつとハモってしまった
「何ハモらせてんだ!」
「あんたがハモらせてんたんじゃない!!」
にらみ合う2人にテレビを見てた日向が駆けつけてきた
「喧嘩はやめてよ?家族になったばかりなのに…」
悲しそうな顔をする日向、すると親父も新聞をテーブルに置き
「日向ぁーこういうのを喧嘩するほど仲がいいっていうんだぜ?」
「「誰が!!」」
「お兄ちゃんこんな可哀想でぼっちなお兄ちゃんと友達になってくれてありがとう」
そう言いながら日向は春美へ抱きついてきた
「う……うん」
どうやら妹には弱いらしい
何か楽しみ見事するときは日向にお願いさせるか。
三人で食事を済ませた。
ちなみに春美はというと俺が生まれた頃に他界したお袋の部屋を使うらしい。
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翌日
俺はあくびをしながらリビングへ向かうと美味しそうな匂いがする
ん?親父は基本朝飯作らねぇし、日向は寝坊助でなかなか起きないからいつも俺が作ってるんだが……昨日の夕飯の残り物が放置してあってその匂い?
リビングの扉を開けるとフライパンで料理をしてる音がする
「おはようクソ男…-今起きたの?早いわね」
台所にはエプロン姿で淡々と料理をしている春美の姿だった。ある程度終わってそれぞれのさらに盛り付けをしている。
「お前……料理できたんだな…性格的に料理できないと思った」
こちらを向くと凄く怒っている顔で
「はぁー!?料理ぐらいできますから!そんなこというならあんた朝ご飯抜きね!せっかく作ってあげたのに!」
そういうと俺の分の朝食であろう皿を持ってゴミ箱へ歩く
「なっ!!ごめんっ!悪かった!!酷いこと言った!」
謝ると少し笑いながら
「わかればよろしい。」
そう言うと皿をテーブルに置き、親父と日向の分の盛り付けを終えラッパで包んでいる。
「いただきます…」
「どうぞー」
春美が作った朝飯は、卵焼きと味噌汁、そらとキャベツとトマトのサラダだ
ふーん……結構バランスいいな。サラダまでつけちゃって。さてお味は?
卵焼きから口に運ぶ
「はむっ」
!!!?な……な!……うますぎる!!なんだこのふわふわ感と胡椒と塩のバランスがよすぎる!これ1つでご飯何杯でも行けるそ!
「うまい!!うまいぞ!!」
家全体に響きそうな大きい声で言ってしまった。
認めたくないけどこいつ料理スキル高いな
サラダや味噌汁を口に運ぶとこれもすごく美味しい
「えっへへー凄いでしょうー」
手を腰に当てドヤ顔をする春美に俺はうんうんと頷く
あっという間に完食してしまった。
「ごちそうさま」
「お粗末様でした」
俺は部屋に行き学校の支度をする
制服を着て洗面台へ向かい顔を洗い、歯磨きをする
リビングの正面の部屋から春美が出てきた
「さてと行くか」
「あっちょっと待って!」
忘れ物をしたようで慌ててリビングに入り戻ってくる、右手には青い布に包まれた箱左にはピンクの布に包まれた箱
何だかは察しはついている
「はい昼ご飯…」
弁当を差し出す
「ありかまたう」
俺たちは家を出る。
2人で歩くと不振に見られるといい、春美は走って先に行った。
そうか……今日から学校でぼっちじゃなくなるのか……確かあいつも俺と同じクラスだったな
学校へ到着し教室に入ると相変わらず静まり返る
あいつは……まだ来てないのか
チャイムが鳴り先生が入ってくる
「えーさっそくだがホームルームを始める前に転校生を紹介する。入ってきてくれ」
クラスがざわついている
男子か女子かそんな会話が聞こえてくる
あいつ昨日うちの制服を……あぁ、そうか入学手続きのために昨日学校行ってたのか
「失礼します」
教室のドアを開き入ってくる春美にクラス一同は釘付けである
「今日からこの学校に転校してきました姫野春美と申します。」
まぁお約束のご挨拶だな
するともじもじし始めた春美
何だ?トイレにでも行きたいのか?
「実は今……田辺くんの家にお世話になってて……昨日は眠れない夜を過ごしてまして……」
クラス一同や先生は一斉に俺を見た
「え?」




