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第2章:生徒会選考、開幕

第2章へようこそ。

「目立たず、平穏に生きる」。それが主人公・リクの高校生活における絶対の目標でした。

しかし、誰かに興味を持ってしまった時点で、その計画はすでに崩れ始めていたのかもしれません。

今回は、いよいよ生徒会の面接選考が始まります。

果たして彼は「わざと落ちる」という完璧な(?)計画を実行できるのか。そして、ひそかに努力を続けていたあのアリサの運命は……?

それでは、第2章『生徒会選考、開幕』をお楽しみください。

2015年7月22日(水)

今週も残り数日。僕は待ち望んでいた単調なルーティンの名残を必死に引き戻そうと思う。とにかく、あの恐ろしい生徒会の選考日がやって来る前に、1年理系1組の受動的な生徒としての平穏な日々を楽しみたいのだ。


その日の昼、担当の先生が会議中だったため、僕のクラスは正式に即席の夜店(騒がしいお祭り騒ぎ)みたいになっていた。前の隅では女子の一団がUNOで大騒ぎし、真ん中の列では男子の何人かが意味不明な叫び声を上げながらスマホゲームの協力プレイに夢中になっていた。


一方、僕、ケンタ、ジュンの三人は最後列の席でたむろすることを選んだ。いつも通り、同級生のすべての噂を知っているような男、ジュンが、暇を持て余した男子特有の神聖な話題を切り出した。クラスの女子の評価だ。


「なあ、せっかく集まってるんだし、お前ら、このクラスで一番可愛いのは誰だと思う?」頬杖をつきながらジュンが尋ねた。その目は美人コンテストの審査員のように教室中を見渡している。


ポテトチップスを頬張るのに忙しいケンタは、少し考える素振りを見せた。

「うーん……シズカはなかなかだな、可愛いし。スタイルもいい」

「おいおい、シズカかよ」ジュンは呆れたように目を剥きながらすかさず遮った。「確かに可愛いけどさ、ケンタ、残念なことに笑い声が悲鳴みたいにキーキーうるさいんだよ!壊れた拡声器みたいだ。マジで耳をつんざくぜ」

ケンタはクスクス笑いながら同意した。「確かにね。じゃあ、お前は誰だと思うんだ?」

「俺なら絶対リナだね」ジュンは指を鳴らしながら自信満々に答えた。「可愛くて、大人しくて、色白で、しかもチアリーディング部だぞ。見ろよ、あのUNOをしながら笑ってる顔、本当に癒される。で、お前はどうなんだ、リク?昨日からずっと黙ってるけど。誰かレーダーに引っかかってるやついないのか?」


ジュンとケンタは一斉に僕の方を振り向き、答えを待った。さっきから壁に寄りかかりながら聞いているだけだった僕は、無関心に肩をすくめた。

「普通だよ。あまり気にしてない」

ジュンは悪戯っぽくニヤリと笑い、僕の方に身を乗り出した。疑わしそうに目を細める。

「本当か~?アリサはどうなんだ、リク?この前、俺のカメラでこっそり撮ってた女子だろ」

その名前を聞いて、僕の心臓は反射的に少しだけ早く鼓動したが、慌てて平然な顔を装った。

「だから言っただろ、あれはただ間違えて押しただけだって」


ケンタがすぐに興味津々に振り向いた。

「ああ、あの無口なアリサのことか?よくダボダボの紫のパーカーを着てる?」彼は小さく頷いた。「悪くないな。綺麗だし、鼻も高い。ミステリアスなオーラがある。でも、あれだよな……」

「大型冷蔵庫みたいに冷たいんだよ!」ジュンが勢いよく続けた。「笑顔はおろか、話すのすら極端に少ないし、とっつきにくいんだよな」

「ああ、だからあのダイキがずっと彼女に張り付いてるのが不思議でしょうがないんだ」ケンタが顎で前の列を指し示しながら答えた。「お前ら、見てみろよ」


僕の目は自動的にケンタの視線の先を追った。前の列では、ダイキがアリサの机の隣で机の上に座っているのが見えた。あのサッカー部のやつは、大声で笑いながら一生懸命冗談を言おうとしていて、時折手をダイナミックに動かしていた。

一方、本を読んでいたアリサは、ただ薄い微笑みで応えるだけだった。非常に薄い。ダイキから遠ざかろうと座り位置を少しずらす仕草からも、彼女が明らかに不快感を抱いているのが見て取れた。


その光景を見て、なぜか奇妙な安堵感が胸に忍び込んだ。これまで僕は誤解していた。二人の距離が近いのは、両思いだからではなかったのだ。ダイキが気を引こうとガンガンアプローチしているだけで、アリサは内向的で気まずくなる性格ゆえに、断り方が分からずに適当に相手をしているだけだった。

「なんだ、ダイキの独りよがりか」と心の中で呟いた。

無意識のうちに、僕は小さな勝利の笑みを浮かべていた。鷹の目を持つジュンに気づかれる前に、慌ててその笑顔を隠した。


2015年7月23日(木)

日々はいつものルーティンのように過ぎていく。授業以外の時間は、ジュンのカメラでシャッタースピードの調整を学んだり、一人で得意げにピアノの鍵盤を叩くために音楽室に逃げ込んだりして暇を潰していた。


しかし、まさに今日、月曜日の生徒会選考の4日前に、僕の集中力を崩す面白い出来事があった。

放課後のチャイムが鳴ったばかりの時、今日は僕が掃除当番の日だったため、教室が完全に空っぽになるまで待つことにした。そして15分が経過し、生徒たちが部屋を出始めた頃、僕は教室の後ろからほうきで掃き始めた。


教室のゴミと埃を掃きながら、僕はさっきから一つの奇妙なことに気づいていた。あの紫のパーカーの女子がどこに行ったのか分からず、本人はいないのに、彼女のカバンはまだ椅子の上に置かれたままだった。

黒板のエリアに近づいて掃いていた時、僕は足を止めた。教卓の下の、少しテーブルクロスで隠された狭い隅っこで、アリサを見つけた。彼女は床にあぐらをかき、膝を抱えてうずくまっていたのだ。唇は早いリズムで小声で何かを呟き、その手はすでにボロボロになった小さなノートをしっかりと握りしめていた。


「じ、自己紹介します……私の名前は1年理系1組のアリサです……私のビジョンとミッションは……えっと、違う。私が……私が生徒会に入る理由は……」と、彼女は何度も何度も呟いていた。

彼女の顔はとても緊張し、パニックになっているようだった。セリフを忘れるたびに、彼女はその小さなノートで自分の額を軽く叩いていた。

「ああもう、さっきの続きは何だっけ……」


さっきからしていた掃除の手が自動的に止まり、僕はほうきの柄を握ったまま、机の陰に隠れているアリサを見つめて凍りついた。なんと、彼女は来週の生徒会の面接のために一生懸命練習していて、人に見られるのが怖いあまり、教卓の下に座り込むというこの教室で最も馬鹿げた隠れ家を探し出したのだ。


僕は唇の笑みをこらえきれず、お腹の底がくすぐったくなるのを感じた。ジュンが『大型冷蔵庫みたいに冷たい』と言っていた女子が、今はしゃがみ込んで、暗記を忘れた自分自身を呪っている……それは本当に……愛らしい光景だった。

僕は振り向き、見なかったことにして、なるべく静かな動きで教室の後ろの方へ掃き戻った。彼女の集中を邪魔したくなかったし、その秘密の練習を続けさせてあげたかったからだ。


2015年7月24日(金)

翌日、生徒会選考のちょうど3日前。

朝から昼にかけて、突然の化学の小テストのせいで、教室は集団的な苦悩に包まれた。テスト用紙が集められると、ジュンはすぐに机に顔を伏せて嘆き、ケンタはさっきほど適当に書いた択一問題の答えを合わせるためにシャツのボタンを数えるのに忙しかった。僕はその二匹の生き物の行動を見て呆れて首を振るしかなかったが、実は僕自身の頭も、問題がなかなか難しかったために煙を吹いていた。


放課後のチャイムが鳴ると、生徒たちはまるで刑務所から釈放されたばかりのように飛び出していった。僕はわざと時間を潰し、とてもゆっくりとカバンの中を整理するふりをした。実は、廊下で混雑するのを避けるための口実を探していただけだったが、カバンの中を整理し、荷物をしまっている時、僕の目と本能は無意識のうちにアリサの席の方を盗み見ると……やっぱり予想通り、アリサのカバンがまだ椅子の上に置かれたままだった。今日は掃除当番の日ではなかったが、僕は部屋の隅にあるほうきの柄をなんとなく取ってみた。教室に一人立っていると、誰かを待っているか、あるいは誰かを付け回しているストーカーのように怪しく見えれば嫌だから、忙しいふりをするためだ。


教卓のテーブルクロスに覆われた下をちらっと見ると、昨日の光景が再び繰り広げられていた。アリサはまだそこでボロボロのノートを持ってうずくまっていた。彼女は真剣な顔で再びビジョンとミッションの暗記を呟いていた。僕は笑みをこらえ、ドアの方に向かって掃き始め、埃を捨てるために教室のテラスに出た。しかし、教室に戻るために振り向いて、偶然あの机の下に目をやった時……僕の足は急に止まった。


そこの光景は劇的に変わっていた。ボロボロのノートはまだ膝の上にあったが、今やその周りにはすでに開いたスナック菓子の袋がいくつも置いてあった。アリサはもう暗記を呟いていなかった。目は確かに本(ノート)の文字を読むことに集中していたが、両手は休憩なくポテトチップスを掴んでは口に運んでいたのだ。


僕は何度も瞬きをしなければならなかった。アリサは早いリズムで噛んでおり、その少しぽっちゃりした頬が左右にパンパンに膨らんでいた。誓って言うが、彼女はまるで頬に食べ物を貯めている腹ペコのハムスターにそっくりだった。

「マジか、あいつあんなに大量にスナックを食べるのか?」と僕は驚きつつも呆れた。大きな紫のパーカーに包まれた彼女の体格を見つめた。「飢えてたみたいにチップスを食べてるのに、なんで体は小さくて細いままなんだ?あの食べ物はどこに行ったんだ?」


頬を膨らませながら噛みながらも本を読む真剣な表情を見て、僕の防壁は崩れ去った。クスクス笑い声が唇から漏れそうになったが、慌てて手のひらで口を覆った。お腹がくすぐったい。ジュンがつけた『大型冷蔵庫』というあだ名は、もうこの女子には全く似合わないと感じた。今の僕の目には、彼女は本当に……めちゃくちゃ可愛いと映るのだ。


2015年7月27日(月)

3日後、今日の最初の休み時間のチャイムが鳴り、時計は午前9時を指していた。選考開始のちょうど6時間前だ。緊張したオーラが、僕と他の奴らがいつもたむろしている最後列の席にまで漂ってきた。朝からケンタは部活の申込用紙を読み直すのに忙しく、なぜかジュンも一緒になって、バスケ部の先輩が面接の時にどれだけ怖いかを話してケンタを脅かしていた。


「覚悟しておいた方がいいぜ、ケンタ。ダイゴ先輩は質問する時、人を生きたまま飲み込みそうな目をするからな!」とジュンが煽った。

「やめろよ、これ以上パニックにさせるなよ、ジュン!俺はただバスケがしたいだけなのに、なんでそんな重い質問をされるんだよ?」ケンタが情けない声で言い返した。

ジュンは次に僕の方を振り向いた。

「お前はどうなんだ、リク?なんでそんなに余裕なんだよ?生徒会の選考の準備は何もしてないのか?」

指でペンをクルクルと回しながらゆっくりしていた僕は、肩をすくめただけだった。

「いや、何を準備するっていうんだ?あとはぶっつけ本番だよ」

「ヤバいな、こいつのメンタル鋼だ」ケンタが感心して舌打ちした。


僕はケンタに薄い微笑みだけを返した。正直なところ、鋼のメンタルなんて全く関係なかった。ただ、ここ数日の一連の出来事が僕のフォーカスをずらすことに成功しただけだ。いつの間にか、最初は重荷に感じていた生徒会選考に対しての怠惰や苛立ちはすでに消え去り、代わりに奇妙で小さな期待にすり替わっていた。生徒会の選考を考えるたびに、僕の脳はめぐみ先輩の怖い顔やうるさい見知らぬ人でいっぱいの部屋を想像することはなくなった。その代わりに、教卓の下でパニックになりながら暗記する紫のパーカーの女子のシルエットや、スナックでいっぱいに膨らんだハムスターの頬のことを何度も思い出していた。僕は頬杖をつき、薄く微笑みながら黒板の方をぼんやりと見つめた。

「気になるな……後であの小さなハムスターはめぐみ先輩の質問に上手く答えられるだろうか、それとも暗記を忘れて頭が真っ白になるのだろうか?」と心の中で思った。

どうやら、今日の夕方の生徒会役員選考は僕が想像していたほど悪いものではないようだ……。


2回目の休み時間のチャイムが鳴り、生徒会役員選考が数時間後に行われることを告げた。他の候補者の生徒たちは今日を生死を分ける日だと感じているかもしれないが、僕は全く逆だった。全く普通で、緊張や恐怖はゼロパーセントだった。なぜか?それはさっきから、僕が非常に名案だと思うある戦略を練り上げていたからだ。僕は後のテストや面接の質問にすべて適当に答えるつもりだった。もし僕の答えがデタラメで、つじつまが合わず、あるいはだらけるような態度だったなら、めぐみ先輩やララ先輩は間違いなく僕の名前を候補者リストから外すだろう?

そうすれば、自然に落選し、彼女たちの強要を露骨に断った罪悪感を感じることなく平穏な生活に戻ることができる。この逃げ道の計画は完璧だった。


その日の昼、僕は食堂から教室に向かって、驚くほどリラックスした足取りで歩いていた。2年生の校舎を通り過ぎたばかりの時、僕の目は段々と見慣れてきた姿を捉えた。その姿はアリサだった。どうやら彼女はトイレから出てきたばかりで、1年理系1組に向かって戻っているところだった。


僕は足を止め、わざと彼女の数メートル後ろを歩いた。この昼、アリサは本当にマックスレベルのイントロバート(内向的)のオーラを放っていた。彼女は再びオーバーサイズの紫のパーカーを着て、フードを被って頭の半分を隠し、両耳にイヤホンをしていた。これは外の世界との交流を遮断するための絶対的な防壁だった。

彼女の両手は、すでに端がボロボロになりかけた小さなノートをしっかりと持っていた。足取りはゆっくりで慎重だった。時折声を出さずに呟く唇の動きから、彼女がまだ夕方の選考に向けて一生懸命暗記しようとしているのが分かった。


僕は後ろから彼女を見つめ続けた。無意識に薄い微笑みが顔に浮かんだ。

「こいつ、マジでやる気満々で野心的だな」と、オーバーサイズのジャケットに包まれた小さな背中を評価しながら心の中で呟いた。

「ただの学校の生徒会の面接なのに、準備はまるで卒業論文の発表会みたいだ。落ちるために自分の評価をサボタージュしようとしている俺とは大違いだな」

彼女の一生懸命な努力を見ていると、なぜか少しの敬意と可愛らしさが混じり合った感情が胸に湧き上がった。冷たく、周りに無関心なように見えるが、何かを望んだ時には、こんなにも集中できるんだな。

僕たちは同じリズムで歩き続け、数メートルの距離を隔てたまま、昼下がりの生徒たちの喧騒と一緒に、ついに1年理系1組の教室に入った。


その日の残りはいつものように単調に過ぎた。授業は何も特別なことがなく過ぎ去った。アリサはいつも以上におとなしく、おそらく彼女のエネルギーは考えすぎと頭の中で暗記を繰り返すことに使い果たされていたのだろう。一方、僕は後ろの席で半分居眠りをしながら時間を潰し、時折ケンタやジュンと軽い雑談を交え、日が早く終わるのを待っていた。そしてついに、教室の時計が午後3時を指した。


キーンコーンカーンコーン……!!

放課後を告げる長いチャイムがけたたましく鳴った。

部活動の予定がない生徒たちはすぐに歓喜の声を上げながらカバンを片付け始めた。しかし、僕たちのごく一部にとって、このチャイムは自由の合図ではなかった。これは戦場の幕開けを告げるアラームだった。

僕はゆったりと筆記用具を片付け、カバンを背負い、深く深呼吸をして教室の外へ向かって歩き出した。


廊下を数歩歩いたばかりのところで、後ろから少し足早な足音が聞こえた。

「リク!」

僕は振り向いた。リラックスモードで正常に打ち震えていた心臓が、急にドキッとした。アリサが小走りで僕に近づいてきたのだ。紫のパーカーが少しひるがえり、僕の目の前で止まった時、彼女は少し息を切らしていた。

「あなた……今から生徒会室に行くんだよね?」と、彼女は顔を覆う髪を耳の後ろに掛けながら少しためらいがちに尋ねた。「一緒に……行ってもいい?」


僕の脳は一瞬だけエラーを起こした。

「ちょっと待て。こいつ、一緒に行こうって誘ってるのか?二人きりで!?」

気の毒なことに、僕の急に硬くなる病気がまた再発してしまった。中学時代は、組織のトップであり、社会性もパブリックスピーキングも得意だったのに。誰とでも平気で話せたのに!なんでこの大型冷蔵庫のような女子の前では、舌が輪ゴムで縛られているように感じるんだ?!

「え、えっ……うん。いいよ。行こう」と、まるで油切れのロボットのように強張った声で答えた。


アリサは小さく頷き、僕たちは並んで歩き始めた。最大の問題は、1年理系1組の教室が学校の一番奥の隅にあり、生徒会室が正門近くの一番前の隅にあることだった。距離はかなり遠く、その夕方の学校の廊下を歩き続けることは、僕の人生史上最も気まずい旅と正式に認定された。


沈黙、静けさ、誰も声を出さない。ただ僕たちの靴が廊下の床と擦れる足音だけが聞こえていた。頭の中では、話題を探してフラストレーションで叫んでいた。頼むよリク、何か言えよ!何か聞けよ!

『さっきの生物のテスト、難しかったね?』……ああ、マジで古臭い!『そのジャケット、暑くない?』……いやダメだ、嫌味に聞こえるかもしれない!


僕の脳が良い文章を紡ぎ出すことに失敗したため、結局僕はただ黙り込んでいた。時折、彼女を盗み見した。アリサも強張っているようで、両手でパーカーの裾を握りしめていた。それは僕が覚え始めた彼女の緊張した時の癖だった。誓って言うが、もし遠くから僕たちを見た人がいたら、あまりにも緊張しているために、処刑室に連行される二人の囚人に見えたに違いない。


最終審判の日のシミュレーションのように感じた長い旅を終えて、僕たちはついに生徒会室に到達した。中に入ると、エアコンの冷たい空気が迎えてくれた。すでに1年生が十人以上いた。部屋の前では、めぐみ先輩とララ先輩が威厳を持って立ち、名前のリストが挟まれたクリップボードを持っていた。

僕とアリサは自動的に分かれ、空いている席を探した。アリサは女子の列に座り、僕は男子の列の後ろの席に合流した。


席に腰下ろした途端、隣の少しクセ毛の男子がすぐに手を差し出してきた。

「おう。俺はリョウマ、1年文系2組だ」

「俺はリク、理系1組だ」と、僕は握り返しながら答えた。

周りの男子たちは意外と馴染みやすかった。一番声がでかいリョウマの他に、カフェでたむろしているようなリラックスしたハルト、緊張のあまりペンの先を噛んでいるソウタ、そしてとても愛想が良く、笑顔を絶やさないメガネのダイチがいた。

「お前ら、面接の答えの準備できてるか?めぐみ先輩の質問は鬼軍曹みたいに怖いって聞いたぞ!」とソウタがパニックを押し殺して囁いた。

ハルトはのんきに笑った。「まあ、落ち着きなさい。大丈夫だ。最悪、答えられなかったら気絶したふりをすればいいさ」

「おっ、それはいいアイデアだ!後で俺がお前を保健室に運んで、一緒に面接から逃げ出せばいいな」リョウマが相槌を打ち、僕たち5人からは堪え笑いが起こった。


無意識のうちに、僕も笑いに参加し、彼らの会話に自然に調子を合わせていた。僕の中学時代の社交本能は、あの紫のパーカーの女子と対面しない限り、まだ十分に機能しているようだった。

「ヤバいな、このままこいつらと一緒にいたら、僕のイントロバートの仮面が剥がれてしまうかもしれない」と心の中で苦笑した。


「皆、注目!」めぐみ先輩の大きな声が部屋のざわめきを止めた。「時間通りに集まってくれてありがとう。今日の夕方は、面接と問題解決テストにフォーカスします。システムとしては、皆さんは外で待ってください。名前のあいうえお順に一人ずつ呼びます。いいですね?」

「はい、分かりました!」僕たちは一斉に答えた。


僕たちは全員、廊下の長椅子で待つために部屋の外に追い出された。ララ先輩が生徒会室の窓ガラスに面接順番のリストの紙を貼り始めた。生徒たちはすぐに名前を確認しようと群がった。

僕の名前の頭文字は「R(リク)」なので、間違いなく出番はまだ先だ。しかし、僕の目は自動的に名簿の上の方にある一つの名前を探した。

5. アリサ - 1年理系1組

僕は長椅子の端に座っているアリサの方を振り向いた。自分の名前が5番目にあるのを見て、彼女の顔はすぐに青白くなった。手は震えながらパーカーのポケットを探り、いつものボロボロのノートを取り出して、再びパニックになりながら呟き読み始めた。ハムスターの頬はもうスナックで膨らんでいなかった。緊張をこらえるために、下唇を噛んでいたからだ。


僕は廊下の壁に寄りかかり、腕を組みながら遠くから彼女を見つめ続けた。最初の適当に答えて自分を落選させるという目的は、突然思考の隅に追いやられた。今は、フォーカスは一つだけだった。

「頑張れ、小さなハムスター。昨日教卓の下でこっそり練習したことが無駄じゃないってことを証明してくれ」と心の中で静かに声援を送った。


生徒会室前の廊下の雰囲気は、まるで歯医者の待合室のように感じた。緊張と重苦しさ。部屋の中からは、参加者を尋問しているめぐみ先輩の厳しい声が微かに聞こえた。外では、ララ先輩が順番通りに名前を呼ぶ役割を務めていた。

「番号1番の方、どうぞ入ってください!」ララ先輩が呼んだ。

一人ずつ参加者が呼ばれて部屋に入り始めた。時間はカタツムリの速さで進んでいるようだった。ドアのノブが回り、参加者が出て来るたびに、大げさに安堵のため息をつく者もいれば、血を吸われたように顔が青白い者もおり、それが廊下の雰囲気をさらに恐怖的にしていた。さっきふざけていたハルトとリョウマもついに黙り込み、唾を飲み込むのに必死になっていた。


僕の目はさっきから長椅子の端に座っているアリサから離れなかった。自分の順番が近づくにつれ、あの紫のパーカーの女子はますます落ち着きがなくなっていた。

3番目の参加者が出てきた。アリサは強張った動きで座り姿勢を直し始めた。4番目の参加者が入った。ボロボロのノートを持つ彼女の手は今や微かに震え始めた。彼女は常に下唇を噛んでいた。そしてそう、それは僕が既によく知っている彼女の緊張した時の癖だった。ハムスターの頬はスナックで膨らんでいなかった。パニックのあまり息を止めていたからだ。


13分後、ドアが再び開いた。4番目の参加者が額の汗を拭いながら出てきた。ララ先輩がクリップボードを持って外に踏み出した。

「次、5番目の参加者。1年理系1組のアリサさん。中へどうぞ」ララ先輩が大きな声で呼んだ。

自分の名前が廊下に響くのを聞き、アリサの肩は驚いてビクッとした。彼女は椅子から早すぎ立ち上がった。手が震えており、おそらく冷や汗で滑りやすくなっていたのだろう。さっきからしっかりと握っていたボロボロのノートが滑り落ち、トスンという小さな音と共に床に落ちた。その中に挟まれていた小さな紙切れもバラバラと散らばった。


アリサはとてもパニックになっているようで、慌ててしゃがみ込み、紙切れを拾い集め始めた。震えた手が彼女の動きをぎこちなく、ぐずぐずにしていた。何も考えずに、僕の足は男子の席の列から勝手に歩き出していた。僕も彼女の前にしゃがみ込み、僕の靴の近くに飛んできた数枚の紙を拾うのを手伝った。

アリサは異常なパニックを放つ丸い目で僕を見つめた。唇を強く噛み締めているようだった。

僕はその紙切れを整え、ノートの中にしまい直して彼女に渡した。僕たちの手が偶然触れた時、この女子の指先がどれほど冷たいかを感じることができた。


「もう暗記しなくていい。自然の流れでいいんだ」僕は小声で囁いた。僕の声は、廊下の他の生徒たちのざわめきにかき消されるほどなるべく静かな声にした。

アリサは顔を上げ、少しうつろな瞳で僕を見つめた。僕は制服のポケットを探り、今日の昼食堂でお釣りとしてもらったイチゴ味の飴玉を一つ取り出し、彼女の手のひらに差し出した。

「深呼吸して。君なら絶対に全部答えられる。そして……」僕は一瞬言葉を途切れさせ、急に照れくさくなって視線を靴の方へ逸らし、再び彼女を見た。「……唇をずっと噛むのはやめなよ、血が出ちゃうから」


アリサの目が少し見開かれた。彼女は手のひらのイチゴ飴を見つめ、そして再び僕を見た。奇跡的に、青白い顔のパニックのシワがゆっくりと消えていった。彼女は深く深呼吸し、ゆっくりと息を吐き、そして唇の角が上に引き上げられた。

今回は、ダイキに見せた形式的で強張った笑顔でもなく、輪タクの上からの気まずい笑顔でもなかった。それはとても純粋で、甘く、そしてとても温かく感じる笑顔だった。

「ありがとう、リク」彼女は僕に優しく言った。

彼女は飴を握りしめ、立ち上がり、ずっとリラックスした肩で面接室の中へと踏み入った。


僕は数秒間、しゃがみ込んだ場所で立ちすくんだ。紫のパーカーから漂う微かな香水の香りがまだ空気中に残っていた。僕の心臓は、全く正常ではないリズムで激しく打ち震えていた。くそっ、めちゃくちゃ可愛い顔じゃないか。僕は慌てて立ち上がり、自分の席に戻った。隣に座っているリョウマが肘で僕の腕をつついた。

「ふぅ、生意気なぐらいスムーズだな、リク。クラスメイトか?」彼は片方の眉を上げながらからかった。

僕はただ軽く咳払いして返し、ズボンの埃を払うのに忙しいふりをして、きっと熱くなっているであろう耳を隠した。


時間が過ぎるのがとても遅く感じた。約15分後、ドアのノブが回った。アリサが部屋から出てきた。彼女の足取りは軽く、顔には非常な安堵感が溢れていた。廊下で偶然僕と目が合った時、彼女は手を胸のあたりまで少し上げ、小さな拳を作ってまるで『上手くいったよ!』と言っているようだった。

僕は薄い頷きと抑え気味な笑顔で応えた。あの小さなハムスターが獅子の檻から生き延びたのを見て、素晴らしく安堵した気分だった。アリサはその後、役割が終わったために先に帰るといい、廊下を歩いていった。


一人ずつ名前が呼ばれ続けた。リョウマ、ダイチ、ハルト、ソウタが代わる代わる部屋に入り、様々な顔で出てきた。そしてついに、僕の名前が響き渡った。

「リク、1年理系1組。中へどうぞ」ララ先輩が呼んだ。

僕は立ち上がった。中へ踏み入れ、机の向こう側にいるめぐみ先輩と他の委員たちの真剣な顔を見た時、最初の決意が急に揺らいだ。


最初は、適当に答え、馬鹿な振る舞いをし、自分自身を落選させて、平穏なイントロバートのルーティンに戻るシナリオを計画していた。しかし、教卓の下で一生懸命暗記していたアリサの姿、彼女のハムスターの頬の幻、そしてさっき飴をあげた後の甘い笑顔……すべてが頭の中でぐるぐると回った。

もし僕がわざと落ちたら……それは生徒会に僕がいないことを意味する。彼女と頻繁に会う理由がなくなる。あの紫のパーカーの裏に隠された他の可愛い一面を見ることができなくなる。


僕は深く深呼吸をし、椅子にまっすぐ座った。

「平穏な生活計画なんてクソくらえだ」僕は心の中で決意を固めた。

「オッケー、リク」有名なキラーのような鋭い視線でめぐみ先輩が切り出した。「第一問。あなたが第一高校の生徒会役員に立候補した最大の動機は何ですか。また、もしあなたの部署で内部対立が発生した場合、どのように解決しますか?」


僕はめぐみ先輩を落ち着いて見つめた。これまで深く眠っていた中学時代の元生徒会長の魂の名残を、ついに正式に呼び覚ましたのだ。

その夕方、冷たい生徒会室の中で、僕は適当に答えることはなかった。それどころか、めぐみ先輩とララ先輩のすべての質問に、とても戦術的で、外交的で、そして完璧に答えた。僕は彼ら全員を容赦なく魅了したのだ。


暗くなり始めた夕空の下、学校の正門を出て駐輪場へと向かって歩いていた時、僕は一人で微笑むのを止められなかった。

「さようなら、単調な高校生活。明日から、僕の人生ははるかに忙しく、騒がしく、そして……彩り豊かになりそうだ。そして正直なところ、僕はそれを待ち望んでいる」


2015年7月30日(木)

三日が風のように過ぎ去った。あの木曜日の緊張した生徒会選考から、この月曜日の朝に至るまで(※筆者注:選考は月曜日に行われました)、第一高校の生活のリズムはいつも通りに進んでいた。

ただ、1年理系1組で無口なモブキャラ(NPC)になるという最初の決意は、少し色褪せ始めていた。ランダムな雑談から始まり、ケンタやジュンと溶け込み、彼らのくだらない冗談に相槌を打つことに慣れてきていた。僕は居心地の良さを感じ始めていた。


しかし、その居心地の良さが、どうでもいい奴らの気を引いてしまったようだ。溶け込み始めた僕の存在は、このクラスで最も問題で毒性の強いグループのレーダーに引っかかってしまったのだ。

彼らは、自分たちをクラスの支配者だと自称する、非常に騒がしい6人の男子の集まりだった。アリサにガンガン仕掛けていたサッカー部の男子、ダイキもその一員だった。しかし、彼らの中心にいるボスはアキラ(アナン)だった。


アキラはかなり背が高く、ガッチリとした体格をしていた。噂によると、彼は空手部の部員ですでに黒帯を持っているらしい。そのステータスが、彼をこのクラスの王様のように感じさせていた。自分たちが一番強いと思っているため、このグループは常に承認欲求を満たすためのいじめのターゲットを探していた。彼らは非常に承認欲求に飢えていた。そして不運なことに、今週の彼らの新しいターゲットは僕だった。


その朝、1時間目の授業が始まる前、僕はノートに何かを記入していた。突然、大きな影が窓からの光を遮った。

ドン!

アキラが僕の机をひどく強く叩きつけ、机が数センチずれた。後ろにいる彼らのグループ(ダイキの笑いも含む)から調子外れな笑い声がすぐに教室中に響き渡った。

「おい、唖の男」アキラが見下すような口調で声をかけた。

勝手に、彼の大きな手は僕が書いていたノートを奪い取った。

「返せ」僕は平坦に言い、無表情で彼の目を見つめた。

返す代わりに、アキラはそのノートを高々と掲げた。

「ワオッ、女子みたいに綺麗な字だな。お前、学校で何してんの?編み物か?入学からずっとデパートのマネキンみたいに黙り込んでるし。女子が寄ってこないのも納得だわ、本当にナヨナヨしてるな」


教室中が静まり返り、誰も口を挟もうとしなかった。アキラは自分が注目の的になっているのを見て満足そうにニヤリと笑った。彼はわざと僕のノートを床に落とし、そして……ズリッ。汚い靴で表紙を踏みにじり、そこに分厚い泥の足跡を残した。

「おっと、ごめん。落ちたわ」とびきり殴りたくなるような傲慢な顔でアキラは嘲笑った。


隣で、ジュンとケンタはすでに怒りで唸っていた。ジュンは顔を真っ赤にし、アキラの振る舞いに仕返ししようと立ち上がり拳を握ろうとしたが、僕は机の下で彼の腕をしっかりと掴んだ。僕はジュンを見つめ、首を横に強く振った。

「放っておけ」顎を強張らせながらもなるべく落ち着いて囁いた。「相手にするな。気を引こうとしてる奴は、相手にすると余計に自分が英雄だと錯覚するんだ」


僕はうつむき、アキラの靴の下から汚れたノートを拾った。手のひらで泥を払い、何もなかったかのように再び机の上に置いた。僕はもう一度冷たい視線でアキラを見つめた。彼が期待していたような恐怖を全く映し出さない、うつろな視線だ。

僕からパニックの反応がないのを見て、アキラは苛立ちながら舌打ちした。彼のエゴは明らかに満たされなかった。

「チッ。弱虫が」と吐き捨て、くるりと向き直って自分のグループへと戻っていった。


胸の中では、明らかに血がたぎっていた。こんな風にプライドを踏みにじられて腹を立てない奴がいるだろうか?もしここが学校の外だったら、彼のあの傲慢な腕をへし折っていたかもしれない。しかし、僕はエゴを押し殺すことを選んだ。彼らのような承認欲求の塊に口を出し仕返しすることは、長い長期間のトラブルを招き、平穏に生きるという僕の最大の目的を破壊するだけだ。だから、僕は耐え忍び、彼らが犬のように好きなだけ吠えるに任せることを選んだ。


そしてついに、休み時間がやってきた。先生が教室から出たばかりだ。雰囲気はすぐにざわつき始めた。アキラのグループはわざと大声で笑いながら時折僕を当てこすり、一向に出ない僕の反応を引き出そうとしていた。

後ろの毒々しい空気に息苦しさとウンザリを感じ、僕は教室を出ようとした。しかし、目の端っこが教室の前の方を捉えた時、足が止まった。緑のテーブルクロスが垂れた教卓の下の狭い隅っこに、僕はまた彼女を見つけた。アリサだ。


彼女は教室のざわめきや喧騒から完全に自分を隔離していた。両耳はイヤホンで密閉され、頭を下げて分厚い小説を読むことに集中していた。そして、僕の胸の苛立ちを突然消え去らせたのは、彼女の膝の上にあるものだった。乾いたシュークリームが入った透明なプラスチックの容器。彼女の手は器用にその菓子を一つずつ取り、口の中に入れ、本から目を離さずに噛んでいた。少しぽっちゃりした頬が再び膨らみ、可愛いリズムで上下に動いていた。

「あの小さなハムスター、マジであそこに秘密基地を作ってるな」と心の中で苦笑した。


突然、ズボンのポケットの中のスマホが短く震えた。一回、二回。

僕は教室の前から視線を外し、ポケットを探り、スマホの画面を点けた。WhatsAppの「第一高校 生徒会面接選考」グループからメッセージが来ていた。

ララ先輩(生徒会委員):「皆さん、こんにちは!新しい生徒会役員選考の発表が、正面のメイン掲示板に張り出されました。確認してくださいね!合格した人は頑張ってください!」


そのメッセージを読み、穏やかだった僕の心臓が急に一拍早く鼓動した。ついに運命の時がやってきたのだ。

反射的に、僕の目は再び教卓の下を見た。

そこの机の陰で、突然動きが発生した。菓子容器の隣に置かれていたアリサのスマホの画面も明るく光ったようだ。彼女は急に噛むのをやめた。僕と同じ通知を読んだ時、彼女の丸い目が少し見開かれた。


パニックになりかけたような超高速の動きで、彼女は分厚い小説を閉じ、シュークリームの容器をピシャリと閉め、すべてを慌ててカバンに突っ込んだ。隠れ家から這い出す時に、自分の靴の先に少しつまずいたほどだ。

紫のパーカーを少し整えた後、アリサは前の列の何人かの驚く視線を全く気にせずに、学校のメイン掲示板に向かって半ば走りながら教室を出て行った。

僕は彼女の行動を見て薄い微笑みをこらえきれなかった。彼女のパニックは本当に自然で、とても愛らしかった。


隣のジュンとケンタはまだスマホゲームの協力プレイに夢中で時折悪態をついており、今起きたことを全く気づいていなかった。僕は二人に別れを告げる時間を割かず、スマホをズボンのポケットにしまい直した。

僕はリラックスして教室を出て、遠くからあの紫のパーカーの女子の足跡をゆっくりと追った。


メイン掲示板へ向かう廊下はいつもより長く感じた。両手をズボンのポケットに入れて廊下をゆったりと歩きながら、僕の耳はすでに1年生たちの騒がしい声に迎えられていた。

ガラス張りの掲示板の前には、数十人の生徒が群がっていた。抱き合いながら歓喜の声を上げる者もいれば、失望のため息をついて人混みからガッカリして歩を進める者もいた。選考発表の度に見られるクラシックな光景だ。


約10メートルの距離から、僕の目はすぐにとても見慣れたシルエットを捉えた。あのオーバーサイズの紫のパーカーが、最前列、発表の紙のちょうど正面に立っていた。

僕は薄く微笑み、彼女に自分の勝利を祝う時間を与えるために足を緩めた。アリサが安堵の顔で振り返るか、あるいはこの前の面接室から出てきた時のような甘い笑顔を浮かべるだろうと想像していた。

しかし、数秒が経過し、僕の顔の笑顔はゆっくりと消えていった。


何かがおかしい。


アリサの身体の仕草は全く安堵を示していなかった。喜びに飛び跳ねる代わりに、彼女の肩はガッカリと落ちていた。小柄な体は強張り、まるで足が廊下の床に釘付けにされたかのようにその場所で立ちすくんでおり、頭は少しうつむいていた。僕の位置から、彼女の両手が身体の脇で固く握りしめられ、紫のパーカーの裾を関節が白くなるまで強く掴んでいるのが見えた。


嫌な予感が一瞬で胸を打った。僕のリラックスした足取りは反射的に半ば走りへと変わった。

ばらけてきた人混みの残りをかき分け、前に進んでついにアリサの右隣に立った。彼女は僕の存在にすら気づいていなかった。彼女の視線はうつろで、掲示板のガラスの裏に貼られた白い紙の一点にロックされていた。


僕は彼女の視線を追い、太字で印刷された名前の列を辿る。

僕の目はすぐに規律部の一番上に自分の名前を見つけた。


リク - 1年理系1組

視線をずらし、その下の名前を探し、広報部、芸術部、そして体育部のカラムへと移った。上から下へ読んでいく。そして下から上へもう一度辿る。もう一度。ゼロだ。無い。あの忌々しい紙にアリサの名前は全く記載されていなかった。


僕の心臓が1秒間止まったかのように感じた。現実が僕をひどく強く打ちつけた。教卓の下でこっそりと一生懸命暗記していた、面接室に入る前にパニックをこらえて青白くなっていた、イチゴ飴を握りしめながら安堵の笑みを浮かべたあの小さなハムスターは、合格していなかったのだ。


ゆっくりと、僕たちの周りの人混みは減っていった。合格した生徒は祝うために食堂へ行き、落選した者はうつむいた顔で教室へ戻った。メイン掲示板の廊下は次第に静まり、とても息苦しく感じる沈黙だけが残された。


そこにいるのは僕たち二人だけになった。僕は横からアリサを見つめた。いつもは平坦な彼女の顔が、今はとても青白く見えた。丸い目は涙ぐみ、深い悲しみと失望の視線を放っていた。彼女は再び下唇を強く噛み締めていたが、今回は緊張のためではなく、開けた場所で泣き出さないように必死に涙を堪えているためだった。


彼女がそんなにも打ちひしがれているのを見て、なぜか僕の胸も息苦しくなり、その息苦しさと共に、巨大な後悔が僕の頭を何度も打ちつけた。この前遠くに投げ捨てたはずの怠惰、嫌気、そしてウンザリとした気分が再び這い上がり、身体中を覆い尽くした。


くそっ、と心の中で吐き捨てた。

何のためにめぐみ先輩のすべての質問に完璧に答えたんだ?何のためにわざわざ委員会を魅了し、綺麗に組み立てた平穏な高校生活を犠牲にしたんだ?

僕がその馬鹿げたことをすべてやったのはただ一つの理由からだ。彼女と会い続ける理由が欲しかったからだ。彼女の可愛らしい仕草をもっとよく見るために。


だが今はどうだ?僕は最も避けていた組織に囚われることになり、騒がしい会議や学校行事で忙しくなる中核役員になった。それに対して、そこに入る唯一の理由だった彼女は……僕の隣で静かに泣いて立っている。

「なんで俺は最初の適当に答える計画を実行しなかったんだ?」僕は握り拳を固く作りながら呪った。「なんで俺一人だけ合格しなきゃならないんだ?」


掲示板の前の雰囲気はとても冷たく感じた。僕は彼女の隣で立ちすくみ、口を固く閉ざす。かつて言葉を紡ぐのが得意だった僕は、今やどのような慰めの言葉を掛ければいいのか分からずにいた。なぜなら、今の彼女にとって『我慢して』や『頑張って』という言葉は、間違いなくただの戯言にしか聞こえないからだ。


一滴の涙がついにこぼれ落ち、青白い頬を濡らして滑り落ちた。しかし、涙が落ちるに任せたり大声に泣いたりする代わりに、アリサはすぐにパーカーの袖で乱暴に顔を拭った。

彼女は深く、とても深く深呼吸をし、まるで数千の棘を無理やり喉の奥に飲み込んでいるようだった。落ちていた肩をゆっくりと再び張る。大型冷蔵庫のように冷たい氷の壁が数秒で再び築かれ、目から一瞬芽生えたすべての絶望を覆い隠した。


何も考えずに、僕は彼女の紫のパーカーの袖の端を掴んだ。彼女の手を直接握る勇気はなく、その忌々しい掲示板から彼女をゆっくりと引き離した。

「教室に戻ろう」と小声で囁いた。

アリサは拒否しなかったが、僕を見ることもなかった。彼女は僕の隣を静かに歩いた。人気のない学校の中庭のベンチの近くに着いた時、僕は足を止め、ポケットを探って一袋のティッシュを取り出した。そして黙ってそれを差し出した。


アリサは僕の手の中のティッシュを一瞬見つめ、そして受け取った。

「ありがとう」と彼女は微かに言った。

声は少し掠れていたが、なるべく平坦に聞こえるように一生懸命努力していた。彼女はもう一度目尻を拭いた。そして、とても強張って無理やり作られたような薄い笑みを浮かべ、僕の方を振り向いた。


「おめでとう、リク。合格したね」と彼女は毅然と言った。

すすり泣きも、愚痴もない。まだ少し震えている唇で告げられた平坦な一言だけだった。

「私の努力がまだ足りなかったみたい。大丈夫だよ」


僕は絶句した。彼女の偽りの笑顔を見て、胸を針で刺されたような気がした。

「アリサ、君——」

「私、先に教室に戻るね。本読みたいから」彼女は勢いよく遮った。

僕の返事を待たずに、アリサはすぐにクルリと背を向けた。彼女はパーカーのフードを頭に被り、慌ててポケットを探った。


しかし、彼女の後ろに立っている僕の位置からは、彼女の肩が強張り、両手が激しく震えているのがはっきりと見えた。震えによって、取り出したばかりのイヤホンが指先から滑り落ち、アスファルトに音を立てて落ちた。

彼女は慌ててしゃがみ込んでそれを拾い、乱暴な動きで耳につけ、そして半ば走るような足取りで立ち去っていった。


僕は中庭の端で立ちすくんだ。夕暮れの風が静かに吹いていたが、なぜか首筋が急に冷たく感じた。ズボンのポケットの中で握り拳を固く作った。

いつもは戦術的に考えられた僕の脳は、今や完全に行き詰まる。


何かがおかしい。絶対におかしい。さっきの強張った笑顔と目の光……あれはただ部活動の選考に落ちてガッカリしている高校生の顔じゃない。選考に落ちて悲しむ人を見たことはあるが、さっきのアリサの目の色は……世界が崩壊したばかりの人の目の色だった。

ただの学校組織の選考落ちにしては、あまりにも過剰で不合理な反応だ。


次から次へと疑問が頭を駆け巡った。

「なんで彼女はあんなに震えていたんだ?」

「なんでこの小さな失敗が、彼女の残りのエネルギーをすべて奪い取ったかのように見えるんだ?」


僕の思考は、これまでの彼女の奇妙な癖に向いた。オーバーサイズのパーカー、決して外さないイヤホン、薄暗い教卓の下で青白い顔でマテリアルを一生懸命暗記していた努力……。

これまで僕は、それをただのイントロバートのおかしな行動だと思っていた。しかし、今日の夕方、彼女がどれほど打ちひしがれているかを見て、自分がどれほど愚かで鈍感だったかを初めて悟ることができた。あの女子は可愛く振る舞っていたわけではない。


彼女の無口な態度の裏には、はるかに暗い何かがあるのだ。いつから彼女があのダボダボのパーカーの裏で一人で背負ってきたのか分からない、とても重い何かが。

僕の目は廊下の端をまっすぐ見つめ続け、曲がり角で消えていく彼女の背中のシルエットを見つめていた。


彼女は一体、僕やこの学校の全員からどんな傷を隠しているのだろうか?そして……彼女が一生懸命に争っていた唯一のものがその手からこぼれ落ちた今、明日彼女はどうなってしまうのだろうか……?

第2章を最後までお読みいただき、ありがとうございます!

……いかがだったでしょうか。前半のクスッと笑えるハムスターのようなアリサの姿から一転、後半はかなり重く、胸が締め付けられるような展開となりました。


単なる「面接に落ちたショック」では片付けられない、アリサの異常なパニックと絶望。リクがようやく気づいた彼女の「深い闇」への入り口です。

「なぜ彼女はそこまで生徒会に執着していたのか?」

「彼女が抱える本当のトラウマとは何なのか?」

ここから物語は、プロローグで触れた『英雄症候群』の残酷さと、本格的なシリアス(アングスト)展開へと一気に加速していきます。


次回、第3章では壊れかけた彼女の日常と、リクの葛藤が描かれます。ぜひご期待ください!


【読者の皆様へのお願い】

もしこのエピソードを読んで「この後どうなるの!?」「アリサの過去が気になる……」と少しでも思っていただけましたら、

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皆様の応援が、これから重い展開を書き進める作者にとって最大のモチベーションになります……!

ご感想もお待ちしております。それでは、次回の更新でお会いしましょう!

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