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網目模様の途中  作者: 河野 与一
網目模様の巡
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結婚記念日と魂

 「和香、今日が結婚記念日になるのかな?」

「何でもない日が記念日になるからいいんじゃない?記念日が増えて。」

東京のお菓子や和香がセレクトした文房具やハンドタオルは陽菜へ、美佐子には手が荒れるだろうとハンドクリームや美佐子の両親にまで日本茶はどうかな、喜んでくれるかしら?と和香は沢山の品物を段ボールに詰め込んでいた。その隅には僕たちの記入済の婚姻届⋯返信用封筒もいれて。付箋には

「陽菜ちゃん、元気してますか?やっと入籍することになりました!是非陽菜ちゃんに保証人になってもらいたくて(大輝にもなってもらいました)。同封の返信用封筒で送り返して貰えると嬉しいです!大学生活忙しいかな?では体調に気をつけてね。宜しくお願いします。パパ、和香より。」

と貼り付けて。

 梱包作業が終わってから、ふたりでソファに座り、今度こそワインを。

「和香、おいで。」

僕がソファに座り、太ももの上に和香を誘う。和香は恥ずかしながらも僕を跨ぐような感じで向かい合って座った。ちょっとお互い酔ってるからいいかな。向かい合ってるけどワインを飲む時はちょっと横向きになりワイングラスを呷るその横顔。嬉しそうに飲むんだね。この日のために選んだロゼのスパークリング。生まれては弾け消える泡の玉を眺める。

「和香、解る?長野産のスパークリングだよ。」

「えっ?嬉しい!このロゼの可愛い桃色が私達を祝福してくれるのかしら。」

「勿論。僕のセレクトだけどね。」

僕も喉を潤す。和香はフルート型のワイングラスをサイドテーブルに静かに置くと体の全体重を僕に預けてきた。この動作も美帆子そのものだった。美帆子は僕の膝の上で眠たくなると僕の胸に全体重を預けるようにしてすやすやと寝入ってしまう。美帆子はベビーベッドに寝かせると直ぐに起きてしまうため、僕はこうして寝かしつける係りだった。

和香は美帆子の魂が宿っているのではないだろうか。最近特にそう思うんだ。母親が和香と美帆子を勘違いしてから(思い込んでから)和香の中で蘇っているような気がしてならない。美帆子の事は忘れていないよ、忘れられる筈もないのだから。僕たちと一緒に生きていこうね。僕は和香の頭を優しく撫でながらおでこにキスを落とした。

「俊介さん?どうかした?」

「ん?大丈夫だよ。まだ飲む?」

僕たちは夫婦になった。




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