第二話 五歳児(笑)になりました
あれから幾年かの年月が流れ、俺は五歳になった。
えっ?年月が飛びすぎだって?いくらなんでも何もできないガキの頃なんて
ぐだぐだやってても仕方ねえだろ。
まあとにかく、俺は五歳になった。
俺の家は播磨国姫路にある神田村というところの村長みたい(この時代だと地侍って言うんだっけ?)な事をしている。
俺はそこの次男坊として生まれたわけなんだが、
家が裕福じゃないから普通の百姓とまではいかないけれど
昼間は畑仕事に精を出さないといけない。
と言っても俺がそうしているのは次男だからだ。嫡男である3つ年上の兄貴は
親父から地主として必要な勉学だったり、鍛錬を義務付けられている。
まあ跡を継いだ時に村人が頼れるような人間じゃないと下剋上されるかもしれないからね。
で、その後藤家なんだが、うちの親父は別所家の家臣である後藤新左衛門基国という者らしい。
確か後藤又兵衛って基次って名前だったような・・・
この時代は改名が多いから又兵衛っていうのも後で名乗ったものなのかな?
名乗るのが兄貴なのか、俺なのかはまだわからないけれど。
どちらにせよちょっと嫌だなあ。後藤又兵衛って生涯通して苦労人ってイメージがある人だ。
身から出た錆でもあるんだけど、仕えたのがかの有名な黒田家だったことが災いしてるんだよな。
説明すると長くなるから割愛するけど、どうにか回避できないかなあ。
兄貴が居るから次男の俺だけ武者修行を理由にして出奔でもしようか(笑)。
でも言っちゃ悪いんだけど、俺と兄貴って馬が合わないんだよなあ。
最初は両親が弟ばかりに構って自分に構ってくれなくてっていう、
子供らしい癇癪を起してるだけかなと思ってたんだけど・・・
最近だと事あるごとに「生意気だ」とか「あいつが同じ事やったら差が付けられる・・・」とか
周りに言いふらしてグループ作ってイジメをしてくるようになった。
四歳になったあたりから露骨になってきて最初は体格的にされるがままだったが、
この一年でなんと二尺(約60㎝)ほども身長が伸びてしまい、報復を恐れたのか俺に近づくやつはいなくなった。
(俺は前世で20年以上は生きてきたからなあ。考える力が違う分、要領の良さも変わるのは仕方がないんだよなあ。)
取り留めもないことを考えていると、背後から声が掛かった。
「ここに居たのか弥八郎!すぐに屋敷に上がれ!」伯父である藤岡九兵衛が俺を探していたらしい。
「どうしたんですか。伯父上が息を切らせてまで、僕を探すなんてよほどの事なんでしょうね。」
すると伯父上は神妙な顔つきになり、「茶化してる場合ではないのだ、弥八郎。さよ殿が、お前の母が倒れたのだ」
「なんですって!母上が!?」
この時代の残酷さを俺は思い知ることとなった。
思いついたことを書き起こしていくのは大変だなあ。
1000文字ちょっとなのに30分もかかってしまったw