第60話「一計」
夕方になり、四人は集まりご飯を食べに店を探し歩いてた。
「おい、誰の許可を得て店出してんだよ」
「お、お客様止めてください。商品が」
不穏なやり取りが耳の隅に入る。
リィド一人ならば確実に耳を通り抜け、頭の中に書き込むことなどしない。
フェイシスとエリルがいる。
「リィド、あちらの裏からのようだ」」「
「ひとまず様子を見るだけだぞ?こっちもただの一般人なんだからな」
「ああ。分かってる」
露店で商売している商人に男二人が何か難癖をつけているようだった。
「許可は取ってます」
「許可?そんなんは当然だ。他所者が好き勝手していい訳じゃねーんだ」
男が商人を蹴る。
「俺は別に商売をするなって言ってるんじゃない。俺たちはな?皆が気持ちよく商売できるようにいろいろやってんだよ。なら、お前も俺たちの言うことを聞く義務がある」
「ぎ、義務ですか?」
「ああ。売り上げの一割」
「な、無理です。事前に確認しましたがそんな法はなかったです」
「法じゃねーって言ってんだろ」
「や、止めてください」
男が露店を蹴り飛ばそうとしたので商人が立ちはだかり代わりに蹴られる。
「リィド、助けるぞ」
「待った。案がある」
リィドはエリルに作戦を告げる。
「さすがだな」
エリルは感心した。エリルが飛び出て暴行を止めさせるより、よほどスマートであった。
「へ、兵士さん。こっちです。男達が商人に暴行してます」
リィドは男建に聞こえるように大声で叫ぶ。
「ふむ、こちらだな」
エリルはなるべく威厳が出るように同じく大声を出す。
「ち、行くぞ」
「ああ」
男達はそそくさと姿を消した。
「商人、大丈夫か?」
「あ、ありがとうございます……?」
エリルを見て商人は首を傾げる。
兵士の制服を着用していないからだ。
「すみません、兵士の件は嘘です」
「疾しいことがあるなら逃げると踏んでな」
「あ、ああなるほど。ありがとうございます」
商人は頭を下げる。
「助けてもらったお礼にこちらをど……黒谷?」
商人は大げさに後ずさる。
「懐かしい名じゃ。……誰じゃお主は?」
ミケのことを黒谷と呼んだ。
「ミケ、知り合いか?」
「ご主人、知らんぞ」
「お、おい。まさかあんた人間に使役されてんのか?」
「主には関係ない話じゃ」
「っと。別にあんたと敵対するつもりはねーぞ」
「えっと商人さん。ミケを知っているんですか?」
「知ってるもなにも……」
「三流悪魔が吾を知っていると抜かすのか?」
「悪魔?」
リィドとエリルは商人を凝視する。
見た限りは気の弱そうな男性にしか見えない。
「黒谷ってミケのことか?」
「あれは百年くらい前か?」
「おい、三百年は前だろ」
商人がつっこむがどちらにせよである。
「こいつは一部の悪魔から黒谷の悪夢って呼ばれててな」
なんとなく理解できた。
ミケは変わった悪魔だ。人間悪魔関係ないのだから。
「今は無くなったが黒谷って呼ばれてる鉱山の町があった。人間が大体……三万匹くらい住んでた。主に鉱夫その家族で戦える人間は千匹もいなかった」
「ずいぶん詳しいの」
「調べたからな。で、ある時悪魔の一派がその町を襲うことにしてな。上級悪魔が二十体。中、下級悪魔が八十体。町中の人間を殺せる状態だった」
「商人殿、襲撃の理由は?」




