1-13 人の中身は読めない
最近不定期ですいません。ほかの作業が多すぎる…。
事件が起きたのは、その3日後であった。
「ただいま戻りました。」
セイが帰ってきた。
「…?あれ?ライはまだ帰ってきてないのですか?」
「ああ。まだ帰ってきてないがどうした?」
「僕より少し早く出ていきましたのに…。…もしや。」
と言って、なにやらブツブツつぶやき始めた…。
「!!!緊急事態です!あのDQNがライと一緒に居ます!しかも町の外で!ああ、クソ。一緒に帰っとけばよかった。油断しました。」
???なんだこのセイの変わりようは。らしくない。この魔法がある世界だから俺は騙されているのかもしれない。
「なんでそんなことがわかるんだ?そもそもお前はセイか?」
「そういうことはどうでもよいわけではないですけど!それより!早く助けに行かなければ!なぜライの居場所がわかったかは行きながら話します。本当に僕か確かめたかったらそれっぽい質問をしてください。」
「じゃあE=?」
「E=((mc^2)^2 + (½mv^2)^2)^½」
???思ってたのと違う。項の二つはわかるがなぜ足し合わせる…?なぜ三平方っぽくする…?
E=½mv^2ではないのか…?
「エネルギーは物質エネルギーと運動エネルギーの足し合わせです。ああ、解説している場合じゃない!早くいきましょう。」
セイに連れられて外へ出た。
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探知魔法で互いのことを登録してあるらしい。探知魔法は登録した相手がどの方向にどのぐらいの距離があるかがわかるらしい。
納得はしたがまだ不信感はぬぐえない。
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セイに連れられてきたところは街道からやや離れた背の高い草の生えた草原である。来やすい場所ではあるが、視界が確保できないところだ。なにか隠し事をするにはもってこいだ。少し先からは森となっている。
ライの姿もDQNの姿も見あたらず、セイにこれはどういうことだと問い詰めようとしたとき、
「静かにしてください。あと200~300mほど先にいます。何か仕掛けがないか調べるので少し待っていてください。」
200~300mというと森の入り口あたりか。宿屋の時点とは違い、セイは冷静になっている。
「よし。特に仕掛けはありません。それでは行きましょう。」
…いた。ライは手足を木の幹に縛られ身動きのとれないようになっている。しかも意識はないようで縛っている紐に全体重を預けているようなものだ。あまり状況はよくない。
息をひそめて残り5mほどとなり、こっそりライを奪還しようとしたとき、非常に嫌な予感がした。
とっさにセイを突き飛ばし俺もその場を飛びのくと、俺がさっきまでいたところに戦斧は振るわれた。戦斧は地面に突き刺さり、土を吹き飛ばした。
…数メートルぐらいにわたって土がえぐれている。
いきなり相手は俺を殺す気のようだ。すぐに体制をリカバーして戦闘態勢をとった。無手だが。
「おい!これはどういうことだ!狙いは俺じゃなくライだろ!なぜわざわざ俺を誘うような真似をする!」
DQNは止まり、口を開いた。
「関係ない…?…ハハハハハ…どの口がそれを言う!あの女はもう関係ねえ。てめえが何もかも俺から奪ったんだろ!この天才の俺から!仕事も!名誉も!女も!地位も!金も!てめえのせいで全て消えたんだよ!てめえさえいなければ…。てめえが何をしたのか分かったか。分かったらてめえのした罪を背負ってしn「ガキン」」
セイが石を投げつけたようだ。なかなかの速さだったが防がれたようだ。…何をやってんだあいつは。
「いや、あういう風に熱くしゃべっている間って隙だらけに見えるじゃないですか。なのであそこで倒せたら楽だなと思いまして。」セイは後日そう語った。
「はん!そんなものが効くか!よし、てめえも殺してやる。じゃあ死ね!」
DQNは襲い掛かってきた。
ヤバイヤバイ。あいつ普通に強いしこっちに勝ち目がない。どうする?逃げるか?いや、ライが気絶しているため無理だ。
…そうだ。ああしよう。
俺はDQNを挑発し、逃げ回りながら、ライを抱え木に登った。(いや?飛び乗ったか?)縄は強引に引きちぎった。
セイも俺の意図を読んでくれたようで木に登った。
「バキィッッ」
DQNは斧で木を切り倒しやがった一撃で!どんな威力してるんだよ!
急いで倒れつつある木から別の木に飛び移り、しばらく逃げ続けた。
30分ほどしただろうか。倒れている木は50本ほどであろうか。…そろそろ頃合いかな?セイもずっと魔法をかけ続けている。なんか俺の思っていたことと違うが。
俺は地上に降り、ライを横たわらせた手ごろの木をとり、構えた。…さすがに木1本は重い。
そうだ。武器がなければ作ればいい。木の強度は弱かろうが、この大質量は有効だ。ついでにDQNの機動性をそぐこともできる。あと体力も。
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……」
DQNは飛びかかってきた。…ダメだ。この30分の間にDQNは狂ったようだ。
木を振り回し、DQNを迎え撃つ。
!!!木が跳ね上がる。木に斧を打ち付け回避しやがった。やばい。このままじゃ打ち上げられた木では対処できない!戻す前に斧を入れられる。
その木を諦めて放り投げ、ほかの木に変えた。
ここからは、激しい打ち合いとなった。
木がどんどん削られ、木くずが量産される。
…くそ、戦闘経験の差と武器の差でだんだんこちらが押され始めてきた。