土星
小惑星帯を抜け、後を見ると、太陽が小さく光っていた。
ここから見える太陽はあまりにも小さく、光の点にしか見えなかった。
地球上では燦燦と暖かく大地を照らしていても、宇宙を照らしだすことは、できない。でも私には、そこに行けば安心できる宇宙の中に光輝く後光にも見えた。
「サラ、あれは木星?」
暫く進むと惑星が見えて来た。
「いえ、土星よ!」
「うそ! 環がないじゃない」
てっきり私は木星だと想っていたので、驚いた。
「惑星の中心を良く見てみて」
良く見てみてと云われても、環は見えないし………。あれ? 何だろう、あの線。
目を凝らして見ていると、惑星の直径の5倍位の線が見えた。
「何、あの線?」
私は不思議に想い訊いた。
「あれは、土星の環よ」
「あれが、土星の環? 土星の環って円形だったわよね。あれは線だし」
それを訊いてサラがくスッと笑った。
「何も笑わなくても、いいじゃないの。私は知らないんだから」
「ごめんなさい。じゃあ、環が丸く見える所まで行ってみましょうか」
サラがそう云うと線が膨らんできて、楕円形になっていき。図鑑で見たとおりの土星になった。
「うわぁ! 本当に土星だったんだ。環の無い土星って別の惑星みたい。新しく発見された太陽系の惑星。でも、とても綺麗!」
土星の環は何重にも重なっていて、光っている所、暗い所、薄い所、濃い所が絶妙なバランスで配置されている。
自然の美しさにあえて感動してしまう。
「土星の中へ行きましょうか」
「行こう、行こう」