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【第二章開幕】エンド・オブ・クロニクル 〜神話へと続く旅路〜【2000PV突破】  作者: 百瀬 三月
第二章 大会編

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2-1-12 久しぶり

ヴァンガード・フェスティバル二日目。

今日の大会は個人戦のみの日だ。

幸い、個人戦に出る友人は聞いた限りだといないはず。


そんなことを思いつつあくびをしながら目を開ける。

掛け時計の方を見ると、時刻は午前九時になったばかりだった。

ふと部屋全体を見ると、デイジーはいなかった。

彼のベッドや机も見るが、特に置き手紙などがあるわけでもない。


単に予定があるのだと思い、ベッドから重い腰を上げる。

そのままクローゼットへと向かい、部屋着から制服へと着替えた。


着替えながらも感じたが、隣の部屋からは慌ただしい物音がしている。

ラヴェンツァがこんなに物音を立てて準備するとは思えない。

だとすると、アリスがいるのだろう。


自室にしっかりと鍵を掛け、隣の部屋にノックをする。

「誰!?」

部屋の壁を貫通してびっくりしたような大きな声がした。

「キースだよ」

「なんだキースか……」

さっきの声色からいつもの様子に戻った。

「ラヴェンツァなら予定があるって朝早く出てったわよ」

それは昨日の時点で既に聞いていた。

問題はデイジーだ。

「それは聞いてる。デイジー知らない?」

「え、いないの?」

この反応的に、おそらくアリスも何も聞いていないのだろう。

それでも、一応聞いてみることにした。

「そうなんだよね、なんか聞いてたりしない?」


「聞いてないわね……」

「そもそもあんたたちみたいに、明日の予定を逐一合わせるって訳でもないから」

どこか鼻につく言い方だ。

そもそも予定を合わせるようになったのも、ラヴェンツァが最初に言い出したことだ。

文句があるなら彼女に言って欲しい。


そんな感情をグッと抑えた。

「そっか、わかった」

部屋の前から離れる寸前に足が止まった。

「ちなみにアリスは予定あったりするの?」

この調子だと、このまま今日は一人ということになってしまう。

それだけはなんとしても回避したい。


「残念、私これから友達と出店回るから」

彼女のその回答に思わず肩がガクッと下がった。

「……わかった」

そう言い、寮を後にした。


少し歩くと食堂に着いた。

朝にしては少し遅い時間ということもあり、かなり閑散としている。

大きな大食堂の空間にしては、あまりにも生徒数が少ない。


しかも、フェスティバル期間中は朝食の準備はされていない。

当然といえば当然だろう。

唯一用意してある簡素なパンと飲み物だけ持ち出して、食堂を後にした。


窓からの光が廊下を照らしている。

どこからか夏を感じさせる空気を感じた。


それに導かれるように、中庭に続く扉に手をかけた。


ギィ。

年季の入った音と共に、外の心地よい風が体を突き抜けていく。

そのまま歩いて中央にあるベンチに座った。

ちょうど木陰になっており、木漏れ日も覗かせている。

一度パンと飲み物をベンチに置き、グッと体を伸ばした。

「いてて……」

昨日できた傷と体の硬さがモロに効いた。


そのまま風と日光に晒されながら質素な朝食を平らげた。


ベンチに座りながら空を見上げた。

耳を澄ますと、アリーナの歓声や出店が盛り上がっている音が聞こえてくる。


昨日はアリスに連れられるように出店の方を回ったが、あまり人混みは得意ではない。

あの人の波に攫われる感覚がどうにも慣れない。

そんなことを考えつつ目を閉じようとした。


その視線に、見覚えのある髪が垂れ下がってくる。

オレンジの髪色に、そばかすがある顔が覗いてくる。

咄嗟に顔を起こした。

「先輩……」

目の間にはミンとルカが立っていた。

「よ、久しぶりだね」

ミンは軽く顔の横で手を挙げた。

「ひさし……ぶり…」

隣にいるルカも小さい声で同じように手を挙げた。

「お久しぶりです……」

咄嗟の出来事に呆気に取られた。

開いた口が塞がらない。

「なんでこんなところに?」

二人の目を交互に見ながら聞いた。


ルカが周りを警戒するように視界を回した。

「まぁ、ちょっと学長に頼まれててね……」

彼女は小声で周りに聞こえないようにそう言った。

「?なんで学長?」


「わかんない、なんか理由があるんでしょ」

ミンがぶっきらぼうに言った。

どこか憤りも感じた。

「元々、素性がわからない人だからね。今更驚かない」

そう言い、ミンは目の前で手をパチンと叩いた。

「そういうことだから、今日は付き合ってもらうよ」


いまだに状況が飲み込めず言葉に詰まる。

「は、はぁ……」


二人に連れられるように学術院アカデミーから出た。

学術院アカデミー郊外も大会に乗じて出店のようなものが大量に出ていた。


外に出たが、二人の後をついているだけで行き先を言ってもらえてない。

流石に不安がある。

「あの、どこに行こうとしてるんですか?」

ミンが考えるように唸った。

「どこにいくって訳でもないかな、ただの散策だよ」

その声は、どこか取り繕ったように感じた。

普段の話し声とは明らかに波長が違った。


「普段は敷地内から出られないんだから、出れる時に新鮮な空気を吸っとくべき……」

ルカは歩きながらそう言った。

「まぁ、言われてみればそうですけど……」


「でしょ?じゃあ歩こう」


なんとなく言いくるめられた気がした。

二人の背中を追うように着いていく。




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