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61話「本当の姿」

 

 しかしまだレイアに言っていない事があった。

 シズハや血雷の配置を決めていないのだ。ヴォラクとサテラは配置を決めているが、シズハや血雷の配置はまだ決めていないのだ。

 レイアに聞かれたら、一応答えるつもりだった。

 まだ言っていないだけで案は考えてある。短時間でオリジナルの戦略を考えるのは苦手な事ではない。

 元々、自分オリジナルに考えるのは苦手ではなかった。


 すると、レイアはヴォラクの予想通りの質問をなげかけてきた。

 ヴォラクはレイアの質問に対して、淡々としながら答える。


「うん、ヴォラクとサテラの位置は分かった。でもシズハと血雷さんと私はどの位置に付けばいいの?」


「シズハは後方で支援をさせる。一応狼の血が混ざってるから目がかなり良いらしい。だから後方で敵の位置と武器での支援攻撃を行わせる。姉さんは前衛に持っていく。出来れば下がっててほしいんだけど………姉さんは下がると言う選択肢がないからね、前衛になって只管斬ってもらうしかないんだよ…」


「まぁ、しょうがないよね?血雷さんって刀使った近接戦においては本当に強いから。この仲間の中では1番ね~後シズハもあの武器の力は本当に凄かった。自分の能力とヴォラクの作った武器のお陰で性能を完全に引き出せてるし」


「良い事言ってくれたね。後でそう言っとくよ」


「褒められると嬉しいもんね……素直に言っておいて………」


 突然だった。

 レイアは突然として、チーンとした悲しそうな表情を見せた。まるで何かに思いっきり負けてしまった様な表情だ。

 急過ぎて仮面を外していたヴォラクも困惑する表情を見せてしまう。

 いきなりどうしたんだ?僕何か変な事言ったか?レイを悲しませる様な変な事言ってしまったか?

 今までの会話の内容を振り返ってはみるものの、何か気に触る様な事を言った覚えはない。

 いや、待てよ。自分では言った覚えがなくとも、レイにとっては気に触る様な事を言ってしまったのかもしれない。

 だがしかし、自分で言うのもあれだが、そんな事言った覚えは一切ない!

 何で!?

 特に僕何も言った覚えないのに何でそんな悲しそうな顔になっちゃってるの?


 困惑するよ…こんなの。

 だがしかし、ヴォラクだってこんな悲しそうな表情になってしまってる女性を放っておくのは正直嫌な気分なので、取り敢えず伺ってみる事にする。

 もしも悲しくなってしまった原因が自分にあったとしても、聞いてみる事にする。


「ど、どうしたの?レイ。何か悲しそうな顔してるけど………な、何か、あった?」


「負けてる気がするの?」


「何に?」


 何に負けてる気がするんだ?

 レイの負ける図が見えないんだけど?一体に何に負けてるんだ?

 よく分からんのだけど?


「血雷さんに……血雷さんに負けてる気がするの!」


 えぇ?姉さんに負けてる気がするって?

 何で?何か負ける要素あったっけ?

 初めての戦いならレイアの方が勝っていた様な気がするんだけど?レイ、結構余裕な顔してたけど…

 一体何に負けてると言うんだ?


「何に負けてる気がするんだ?レイが負けるイメージが一切湧かないんだけど……」


 ヴォラクは若干低い声で答える。

 するとレイアは衝撃的な言葉を発した。それは戦いにおいての事でもなく、自分の力の事でもなかった。


「血雷さん……血雷さんの身体、私と比べたら私って物凄く劣ってるんですよ!これじゃ完全に負けてるじゃない!」


(いや、そっちの方で負けてる事かよ~!)


 アニメとか漫画でも見た事がある展開だ。ヒロイン同士で胸の大きさとかで張り合う事って見た事がある。

 どうやら、レイアは身体の美しさが血雷に劣っていると言う事を言っているらしい。

 確かに姉さんの身体は非常に美しい。非常に大きな胸とお尻、そしてその胸やお尻の大きさとは裏腹にほっそりとしたウエスト。

 これは……うん、本当に綺麗だ。身体だけに留まらずその顔も美しいときたものだ。いや、美しい以外に言葉が出てこなくなった。



 それに肉体の美しさはレイアだけに留まらず、サテラやシズハにも余裕で勝っている。

 胸の大きさに至ってはEぐらいあるレイアに対して血雷はFかGぐらいある。これならレイアが負けてると言うのも分かる気がする。

 しかし、ヴォラクには分かっていた。

 肉体的な勝負でレイアが姉さんに勝っている唯一の点を!

 ヴォラクは見つけていたのだ。


「いいや、諦めるのはまだ早いぞ!レイ……お前には……姉さんに肉体的に勝っている所が1つだけある!」


「えぇ!?それって何?一体何が勝ってるの?」


 ヴォラクは息を吸い込むと、叫ぶ様にしてガッツポーズを決めながらレイアに言った。

 レイアが血雷に勝っている所を!


「いいか!レイ、お前は………………尻の美しさなら誰にも負けない尻を持っている!」


「えぇ?」


「お前の尻は大きさでは姉さんには負けるが……その丸くて触り心地の良さそう形とその程良い大きさのお尻は最強だ!僕は胸よりお尻派だからね!そのお尻は姉さんには劣ってないと、僕は思うね!そのお尻は最高に可愛い!」


 盛大に語ってくれたのだが、周りから見ればこんな主張少し引かれる事かもしれない。

 それにヴォラクはレイアにこんな事を言って、絶対に引かれてしまうと感じた。だって考えてみてよ?

 女の子のお尻が可愛いだとか形が良いだとか最高だとか。

 そんな事突然として言われたら、絶対に引くって。

 まぁ…自分の言いたい事言えたから…もういいか…

 さぁ、前を向いてみよう。

 きっとレイアは「うぁ、何言ってんのコイツ?」的な感じの引いている様な表情でヴォラクを見つめているだろう。もしかしたら嫌われたかもしれない。



 しかし、彼女の表情はそんな引いている様な表情ではなかった。

 ヴォラクの予想とは裏腹にレイアは逆に頬を赤らめて、モジモジとしながらも少し嬉しそうな表情を見せていた。


「そ、そんなに私の……お尻ってか、可愛い……かな?ヴォラクって胸よりもお尻派なんだ…もしかして私のお尻…見てた?」


 正直な話………見てました。

 僕は胸も嫌いではないが、本当はお尻の方が好きだった。

 初めてレイのお尻を見た時普通に美しいと感じた。長ズボンの上からとは言っても、綺麗だった事は確かだった。

 なので、ヴォラクはコクコクと首を縦に振って頷いた。


「み、見てたんだ……べ、別に見るぐらい………構わないけど…さ、触るとかはやめてよね?まだそんな事する関係じゃないんだし!」


「それは1番良く知っています。だってまだ会って数日ぐらいしか経ってないもんね」


 ……………


 やっべぇ!もう会話が続かなくなった!

 これ以上両方黙りっぱなしじゃ空気が冷たい所じゃなくなるぞ!もはや南極よりも寒くなっちまうかもしれないぞ!

 どうすればいいんだ?

 こんな時どうすりゃええんや?

 このお互いに黙ったままでどっちが先に喋りだすか考えている様な感じの空間で。

 どうすりゃええんや?

 えぇい!

 もうこうなりゃヤケクソだぁ!


「……っく、ふぅ危ない危ない」


「奇襲にも慣れてるみたいだね…」


 どうにもこの冷たい空間を覆す打開策が浮かび上がらなかったので、ヴォラクは近接戦闘用に装備しているビームサーベルを握ると、スイッチを起動させ内部に埋め込まれた魔力石により生成された魔力の刃がビームサーベルの持ち手部分の先端から出現する。

 このビームサーベルは持ち手部分だけでもヴォラク全体の手よりも少し大きく、縦に長く横は細めと言った感じだ。

 現在は姉さんにカスタムタイプのビームサーベルも渡していて、他にも余りのビームサーベルかあるぐらいだ。

 その中の1本をヴォラクは所持している。

 ヴォラクはその1本のビームサーベルを抜刀しレイアに向けてその刃を向けたのだ。

 ビームサーベルの刃をレイアに向かって振り下ろす。

 勿論だが、寸止めのつもりだ。本当に斬ってしまったら洒落にならない。ヴォラクはビームサーベルの刃をレイアの顔のギリギリの所で止めていた。

 しかし、寸止めのつもりが、レイアもヴォラクの振り下ろしたビームサーベルに応戦してきたのだ。

 レイアの持つ力がどれ程のものなのかは良く分からないが、現状分かっている事は、実体のない剣を作り出す事が出来る。

(現在確認出来ているのは、2本まで。上限があるのかは不明)

 また自分で剣を作り出す事が出来る事から、魔法の適正も多いし、個人が所有する魔力の量も多いと考えられる。

 それぐらいしか分かっていない。

 それに魔法適正の数が多い事や所有する魔力の多さなどはあくまで自分の考えに過ぎないので、正しいのかどうかは不明。


 ヴォラクが振りかざしたビームサーベルに対してレイアは生み出した実体のない光る様な剣を生み出し、ビームサーベルの刃とぶつかる。

 刃と刃がぶつかり合い、互いの剣はカタカタと金属音を鳴らしながら、震えている。

 互いが強く力を込めているからこそ剣同士が震えるのだろう。


「へぇ、こっちは魔力で作った刃なのに、レイの実体のない剣でも一応鍔迫り合いは起こるんだね……」


「実体のない剣じゃなくて……これも一応私の魔力によって作られた私オリジナルの剣なのよ。名前は魔力剣『エクシア』私はそう呼んでるの。作ろうと思えば何本でも作れるの、この剣………って言うかいきなりどうしたの?ビームサーベルなんか持って斬りかかってくるなんて?逆鱗にでも触れた?」


「違うぜ…………この冷たい空気を紛らわせる為にやりました!」


 その言葉に、レイアはまるでヴォラクの言いたい事が分かっている様な表情を見せた。

 どうやら、レイアもヴォラクと同じ様だった。


「確かに、今の私達の空気は非常に冷たい。私も何かしようとしたんだよ」


「まぁ、何かやってるんだけどね。こうやって、剣を交わしているけどね?」


「なら、私達2人だけで”本気”の勝負してみない?」


 本気の?

 面白いじゃぁないの。

 1回やってみたかったんだよ。

 誰にも邪魔されず本気の一対一の勝負をやってみたかった。これは面白い事になりそうだった。

 ヴォラクは置かれていた机の上に足を置いている。レイアはその行動を良しにはしなかった。


「ちょっといいかな?その机お気に入りなの……足、置かないで?」


「あ……すいません。すぐ退けます」


 そう呟いて、ヴォラクは机から置いていた足を退けた。跡が付く事はなかったし、汚れも付いてない。

 目視での話だけど。


「ねぇ、ここで貴方と私が本気出したら、私の大切な部屋壊れちゃうと思うの…」


「そりゃ、そうだろ。ここにはあんたの大切な物とか寝る為のベットとか、風呂とかもあるんだろ?なら壊す訳にはいかねぇな」


「確かにベットとか大切な物はあるけど、お風呂はないよ。水浴び場でいつも浴びてるから」


「それは失礼…」


「始める?」


「………あぁ!」


「…あぁ!忘れてた。本気でやるなら、服着替えないと…」


 えぇ?そのロングブレザーって戦闘用のふくじゃなかったの?

 レイアって長ズボンとそのロングブレザーで戦ってたんじゃないの?


「おいおい、お着替えか?それなら、着替えてこいよ。3分間待ってやるよ」


「ご、ごめんね!この服普段着みたいな服だから、すぐ着替えてくるから待ってて」


 と言って、レイアは部屋の中に設置されていたドアを開けて、その部屋の中に消えていった。

 そこってお風呂とかドアがあるってさっき予想してた部屋だよ?右と左に2つあったけど、僕は右がトイレとかお風呂があるって予想してたけどレイの奴、右のドアに入っていったよ。

 2分1の確率をいつも外しているが、ここでも外してしまったか………

















 少しだけ、その場で待っているとレイアが右の方のドアから出てきた。

 さっき着ていたロングブレザーと長ズボンは着ていなかった。

 何と着ていたのは、ライダースーツの様な服だったのだ。

 しかも黒色の。素材は分からない。しかし普通の布ではない事はたしかだ。レザーか?それとも魔法を施した特殊素材か?

 他にも腰周りにはベルトが装着されており、何かをぶら下げる様な物も取り付けられている。下は上とは一体にはなっていなかった。上と下は別々だった。

 下の方は長ズボンを着ていた時と同じく一切露出がない。とは言っても服の上からとは言え、太ももの美しさは完全に表現されている。


 普通に見れば、レイはまるでバイクにでも乗りそうな人だ。僕は着た事ないけど、見た事はある。

 しかし何故にライダースーツみたいな服なんだ?この世界ないよね?なのに何でライダースーツみたいな服着てんの?

 動きやすいから?それとも何だよ?理由が全然分かんないよ。

 それに胸を強調し過ぎだよ。

 胸元だけ開いてそれなりに見えちゃってるのよ。嬉しい人には嬉しいかもしれないけど、流石に僕には目のやり場がキツいぐらいだよ。やっぱり胸強調し過ぎ!大きさでは姉さんには劣ってるけど十分な魅力があるよ!

 大きさの問題でもないと思うよ!


「レ、レイ?な、何でライダースーツなの?」

 

「ライダー……スーツ?この服は私の戦闘服だよ。名前とかは特にないけど、結構前にお母さんのクローゼットの中からこの服見つけて、あげるって言われたから貰ったの。可愛いと思わない?この服?」


 そう言って、レイアは躍る様にしてその場で軽く回って見せた。確かに可愛いかと聞かれれば可愛い。

 銀髪に黒色の服。結構マッチしてんじゃないの?


(お母さん、どんな趣味持ったらそんな服着るのぉ!?そんな服リアルじゃバイカーにでもならない限りそんな服着ねぇぞ!て言うか、レイのお母さんとお父さんに会った事ねぇよ!)


 全くツッコミ所が多すぎるぜ。


「そういえばさ、レイのお母さんとお父さんにはまだ会ってないけど、ここには居ないのか?」


 その言葉を口にしたのは間違いだったかもしれない。

 ヴォラクは大きな後悔をする事になった。

 レイアの表情は暗くなる。悲しみと恐怖にに満ちた表情だ。


「………お父さんとお母さん?………もう…居ないよ…3年前…お父さんがこの国を治めてた時、戦で…お父さんは戦いに言ったまま帰ってこなかった。お母さんも今はお墓の中…」


「……悪い…嫌な事聞いちまって…」


「うんうん、いいよ。いつか聞かれるとは思ってたし。それにもう3年も前の話だし、それに……弱いから死んだんだよ。お父さんとお母さんは…」


「そうか………なら、もう始めてもいいか?」


 その言葉を境にレイアの表情は活気を取り戻す。

 さっきまでの暗い表情は完全に消えた。さぁ、本気の勝負を始めようぜ!


「いいよ…」


 その言葉がヴォラクの耳に入った瞬間、刹那の間の中でヴォラクはレイアの右肩を掴むと、前方向に全力で進み、狙い通りに部屋の後ろに付けられていた窓のガラスを突き破った。

 ガラスを突き破ったその先は城の後ろの場所だった。

 2人は城の城壁を飛び越えられる高さにいた。城壁の先には何もないだだっ広い草原。草が浅く生えているだけで他には何もない。

 ここならそれなりに暴れてもお咎めなしだろう。ヴォラクは仮面を付けぬままレイアと共に城壁を超える。

 城壁の先は広い平地。障害物や木や森も林もない。時間は夕暮れ時の初め頃の様に見える。

 楽しめそうじゃぁないですか。

 ヴォラクはさっきレイアに向けたビームサーベルを再び取り出し、スイッチを押し起動させる。

 起動させれば、再び魔力により形成された刃が現れる。

 レイアも負けじと、両手から実体のない剣『エクシア』を2本作り出した。剣の長さもかなりある。ヴォラクの持つビームサーベルと同等程の長さだ。


 どんどんと地面が近付いてくる。ヴォラクはレイアの右肩を掴んでいた右手を離し、着地に備える。ビームサーベルは左手で握っている為大丈夫だ。ヴォラクは右利きだからだ。

 レイアは持っていた剣であるエクシアを手放す事なく、足だけで着地を行った。まるで手なんか使う必要性なんてないと言わんばかりな行動だ。

 ヴォラクも右手と両足を使って着地する。


 しかし戦いにおいて、着地後の隙は致命的だ。レイアもそれを分かっていた。

 レイアはヴォラクの着地の隙を狙って剣を振る。

 しかしヴォラクだってそんな安く倒される奴ではない。


「先手必勝で必殺よ!銀の剣は輝きの如く、血に染まりし、刃を奮い立たせよ!「Silberblut(銀の血)」」


 レイアの剣であるエクシアから銀色と赤黒い色をした光が同時に輝く。まるで吹雪と血の雨の様だ。

 1本の剣から銀色の光が、もう1本の剣からは赤黒い光が放出されている。

 神秘的な光景だが、あの剣の攻撃を受けるのは死と同じだ。絶対に回避……いや、受け流すかそのまま打ち返す!


「痛いのいくよォ!」


 レイアは2本の剣を同時に交差させると剣の軌道がXになる様にして剣を振り下ろしてきた。剣の大きさもさっきとは違い大きくなっている。その分少し離れた位置から剣を振り下ろしてきた。

 剣からは相変わらず眩しい銀と赤黒い光と強い風の様な衝撃が起こっている。

 この攻撃を何もせずに棒立ちで受ければ体はバラバラになるだろう。もしかしたら骨も残らないかもしれない。

 だが、ヴォラクにも引き下がる事は出来ない。

 ヴォラクは力を出す事にした。

 まだ誰も知らない。僕だけが唯一知るこの力。

 前の世界で待つ家族もサテラ達もそしてレイアだって知らない。

 最強の様で最強じゃないこの力。使ってみる時が来るとは、嬉しかった。

 今まで誰も知らない。使った事もない。そんな力を使えるだなんて……最高に楽しい気分にならない?

 父親から受け継いだこの力を見せてやる!












 レイアの剣戟が飛んでくる。避けなければ死ぬ。

 だがヴォラクは避けようとはしなかった。


「発動……Emperor(天帝)!」


 レイアの剣戟が一瞬でかき消された。銀と赤黒い光が消える。レイアも流石に危険を感じたのか1度後ろに下がる。

 しかし表情は焦りの表情ではない。何か期待するかの様な表情だ。

 レイアの所持していた2本の剣は消え、レイアは再び、新たに2本の剣、エクシアを作り出す。

 この剣は魔力が尽きない限りなら何本でも作れる。

 ただしレイアは他に使用する魔法の為にもレイアは作る剣の数は2本を上限にしている。

 これ以上余分に作り過ぎると魔法に使う魔力に手が回らなくなる。


「こいつが……父さんの言ってたEmperor(天帝)の力、恐ろしいな」


 ヴォラクの右手が黒色に染まる。手の甲には赤色の紋章の様なものが象られている。

 まるで義手だ。しかしヴォラクはまだ右手を失ってはいない。


「やっとその姿を現してくれたね!」


「あぁ、そうみたいだな!こいつは相手が本気にならないと発動してくれないらしんだよ。だけど………お前が本気の必殺使ってくれたお陰か…やっと動いてくれたみたいだよ…」


「なら、もう遠慮はなしだよ。ここからは模擬戦じゃなくて本当に殺す気でいくから。殺せる必殺とかもどんどん使っていくと……もう後戻りはしないよ…………行くよ!多分貴方は闇に侵されし英雄「不知火霊士郎」の息子、またの名を「闇夜の天帝」そして「ヴォラク」行くよ!」


「僕ってそんなに知れ渡ってたんだね!まぁいいさ…行くぞ!」


 夕暮れ時のオレンジ色の様な光が照らされる中光に照らされる2人は、刃を向けあった。


 ヴォラクは遂にその姿を現した。

 表ではただの人間。今まで普通に暮らしてきた普通の人間として、普通の世界で暮らしていた人間、召喚されたとは言っても元はただのとして振舞ってきた。

 しかし本人のみが知る力があった。その力は最強の力ではない。不完全であり、彼よりも強い力を持つ者も数多く存在する。

 しかしこんな力を彼は求めていた。








 






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