39話「夜再び」
ヴォラクは血雷が見つけてくれた宿に入った。のれんをくぐり、少し大きめの扉をヴォラクは見つけた。入る為に扉を押したのだが開かなかったので、横に引くと、素直に扉は開いた。押してもダメなら引いている、前と後ろに引いてもダメなら横に引いてみる、そうすれば案外開くかもよ?それでもダメなら破壊すれば良いと思う。
そして血雷が見つけてくれた宿に入るといきなりヴォラク達の目に入ったのは、大きく書かれた料金表だった。別に読めないと言う訳ではないので、ヴォラクは素直に料金表に目を通す。
この宿に入れば、間違いなく最初に目に入るだろう。それぐらい大きく料金表は書かれていた。ヴォラクが料金表を見ると、宿泊と日帰りの二つが書いてあった。
深く考える気はあまりないのだが、ここでヴォラクは何となく察してしまった。そして血雷がこの宿を見つけてくれた理由が分かってしまった。
この宿で3人で愛し合え的な事だと思った。頭の中で血雷の姿が浮かんでしまった。ヴォラクは血雷に少しばかりの嬉しさと「あの野郎…」と心の中で思うと同時に頭の中で親指を立ててニヤリと呟く血雷の顔が浮かんでしまった。絶妙にウザいと感じるのだが、仮にも姉に近い人物だと言うので、劣情や憎悪に近い感情は全て排除する事にした。と言うか排除しないと弟として最悪だとヴォラクは感じたからだ。
「主様…日帰りってもしかして…」
「完全に……いや、これは」
「つまり…ここで……」
シズハは頬を赤らめながら、恥らしげな表情をヴォラクに見せながら自分に対して近付くと同時に、ヴォラクの右手に自らの腕を絡め、その肉体を惜しみなく密着させてきたのだった。。サテラも同様に頬を赤くしながら、シズハと同じ様な表情を見せてしまい、ヴォラクに自分の身体を寄せ、シズハと同じ様に密着させる。
ヴォラクはこの美少女ダブルサンドイッチから抜け出したい気持ちとずっとこのまま両方の美少女に組み付かれていたいと言う気持ちの間でせめぎ合っていた。まぁくだらない葛藤に時間を割くのもヴォラクは好きではなかったので、結局ヴォラクはこのまま自分の腕にある柔らかい感触を手放す事はしなかった。
「よし…入ろうか」
ヴォラクが自分に抱き着くかの様にして腕を絡める二人を咎める様な事はせずに、落ち着きがあり、安心させるかの様な口調で呟き、小声でその言葉を言った。何も表情を変えずにヴォラクは受付の男に近付いた。ヴォラクと目が合った男は突然不審な笑いを見せながらヴォラクに話しかけた。その不審な笑いに対して、ヴォラクは若干殺気の込められた視線を向け、相手に対して、何見てんだよ?と言いそうな半場睨み付けるかの様な表情を受付の男に対して向けたのだった。しかし顔全体を隠す事が出来る仮面を顔に装着している為、睨んだ所で、その表情が受付の男に向けられる事はなかった。殺気を込めても見えなければ話にならない。
そして男がヴォラク達に見せた不審な笑いに対して、ヴォラクは、若干生理的恐怖を覚える自分と男の滑稽な姿を見て笑う自分が心の中にいた。でも結局はくだらない事だ、深くは気にしないでおこう。
「お客様。宿泊ですか?それとも……日帰りですか?ぐへへぇ~」
「宿泊だ。一泊…三人だ」
「おぉ!三人ですか。それにお連れの娘は三人…ぐへへ…もしかして…旦那」
ヴォラクは何かマズいと思った。これ以上詳しく言わせてしまえば、作者に甚大なダメージを与えてしまうと感じてしまい、すぐさま手馴れていて神速の如く素早いスピードで、ズボンのポケットからツェアシュテールングを取り出す。そして他者の腕が巻き付いているにも関わらず、それを半場無理矢理に振りほどくと同時にツェアシュテールングの銃口を男の受付に向けた。
奇抜な黒色と赤色の線が混じる仮面を被りながら不気味な姿でヴォラクは愛銃の銃口を向けた。引き金には指がかかっており、その気になれば引き金を引いて即死させる事だって難しくはなかった。その姿はもはや物語の主軸となる主人公ではなく、殺人鬼、サイコキラーを彷彿とさせる様な恐ろしい姿となっていた。いつものサテラやシズハと話している時とは違うヴォラクの姿がそこにはあり、あまりに急過ぎた出来事にサテラとシズハも僅かながらではあるが身震いを起こしてしまう。
「それ以上言ったら……分かってるよな?」
「ぐへへ――さりげなく武器をこっちに向けないでくださいよ~」
男が見せる笑いは相変わらず気持ち悪い。サテラとシズハも先程の事もあって怯えた表情を見せていた。こんな笑いを見せ、モラルを感じさせられない発言をする男に対してヴォラクは非常に呆れてしまった。なるべく男の受付の顔を見ないようにして、受付の男から手早く手渡された鍵を手にして、指定された部屋に向かった。向かう姿勢は逃げの姿勢に等しく、なるべく後ろは振り返らない様にしたのだった。
◇◇
ヴォラクは部屋の前に辿り着くと、早速手渡された鍵を使用して、靴を脱いで部屋の中に足を踏み入れたのだった。部屋の中は和式な感じで、自分の家にもあった和室に何処か似ている雰囲気を醸し出していた。この前泊まった宿とは違い、ベットなどは部屋にはなかった。その代わりに敷布団や掛け布団を使う方だと思った。和室って言ったらそんな感じじゃない?普通に和室でベット使うか?大体は敷布団敷いて掛け布団使うものではないだろうか?
下を見ると床は普通の木などで作られた床ではなく若干だが柔らかく感じられる畳だった。自分の家にもあった和室の様な感じで差程違いはない様に感じられる。
ヴォラクは何故か「畳返し!」と叫びたくなったが、サテラとシズハがその場に居たし、そもそもヴォラクの足の力じゃ畳なんて返せないだろう、そもそも返した所でどうなるんだよ、何にもならねぇだろ。
(はぁ~何だろう、この感じ)
ふとヴォラクは視線を移動させ、外を見た。外は少しだけ暗くなっていて、夕日の様な光が部屋の中を僅かにではあるが照らしていた。あと少し、時間が流れれてしまえば、すぐに外の世界は真っ暗になってしまうだろう。
するとサテラのお腹が大きく鳴った。何となくだが分かっていた。今日は朝からまだ何も食べてないからだ。お腹が減るのも無理ないだろう。突然お腹の音が鳴ってしまった事で、サテラは必死に誤魔化そうとするのだが、誤魔化すにも思いっきりヴォラクとシズハにその音を聞かれてしまっていたので、結局隠す事は出来なかった。ヴォラクだってちょうどお腹は減っていたので別に変に咎める気は一切なかった。と言うか別にお腹減ってなくとも咎める気はないからね。
「あ!えぇっと……その…」
「………ふっ、腹減ってるんだろ?この前りゃ……快く頂いてきたした保存食あるから、それでも食べてな」
「は、はい…分かりました(言い直した…)」
そう言ってサテラは自分のリュックからこの前りゃ……頂いてきた保存食を取り出して口に放り込んだ。
シズハもサテラを見て、食べたくなったのかサテラから同じ保存食を貰って食べていた。
ヴォラクも心の中で(そろそろ腹の中に何か入れとくか)と思い保存食を取り出して口に放り込んだ。
今日は何も食べてなかったせいなのか、とても美味しく感じてしまった。
そのまま気付かず内に、ヴォラクは沢山の保存食を食べてしまっていた。しかし問題はあまりなかった。別に多く食べてしまったとしても、食料の買い出しは何処かしらの街等に行けば行う事が出来るのであまり問題はなかった。それに今ヴォラクが滞在している所もそこそこ大きめの街だったので、食料品の買い出しもすぐに行う事が出来るだろうとヴォラクは思った。
◇◇
やがて、日の様な光が消えると同時に、世界は夜になり、世界は闇に包まれる。さっきまでまだ空には光が夕日の様にして残っていたが、今の空は真っ暗になり、街の光が周りを照らすだけであり、その他の灯りは存在していなかったのだ。
しかし夜になってもこの街は静まる事を知らぬかの様にして活発で、光が途絶える事は一切なかった。外の世界に耳を傾けると街の方からは僅かに人の声が聞こえ、街そのものがが光に包まれている様で、何故かは良く分からないがやけにその世界が綺麗だと感じてしまい、落ち着いた気分になってしまう。
そしてヴォラクはその景色を少しの間だけ見ると、部屋の中に目を向けると同時に視線を変えてしまう。
部屋の中ではサテラとシズハがヴォラクの事を気にする事なく、健気に、そして楽しそうにして仲良く喋っていた。二人は共に居た時期が少し長く、同じ男を愛していて、互いに信頼し合っているらしいので結構仲良しな感じになっていた。今もヴォラクの前で仲良さそうに互いに向き合い、肩を並べて仲睦まじげに話していた。
その姿を見てヴォラクは自分自身の安心やサテラに友達が出来て少し嬉しく思い、思わず、ホッとしてしまった。
そしてヴォラクは息苦しいと言う事や顔が汚れてしまうと言うもあり、顔全体を覆う仮面を外してその場にゴロリと寝転がった。上に見えるのは天井と部屋を照らす為の明かりだけだった。しかしそれを見ても何も思わなかった。取り敢えず上を向いて寝転がっていただけで、休憩?ぐらいしか、今の行動に意味はなかった。
その後しばらく上を向いて寝転がっていると、自分の視線にサテラが入り込んできた。サテラが自分の真上に来たせいで部屋の明かりがサテラの体によって隠れてしまい、ヴォラクの視界は僅かにではあるが暗くなってしまう。
しかしヴォラクは顔色を変えずに落ち着いた表情、口調で「どうした?」と尋ねた。
するとサテラは……
「えぇっとその…そろそろ……」
「………分かった」
ヴォラクは何か察するかの様な表情を見せると同時に、その場から立ち上がる。そして徐に敷布団を敷き始めた。シズハもサテラも今から何をするのか分かったようなので、敷布団を敷くのを手伝い始めた。その間サテラとシズハはずっと頬を赤くしてしまっていた。ヴォラクもそんな彼女達を見ていると、何故か自分も照れてしまい、ヴォラクはその風貌にそぐわぬ表情を見せてしまっていた。
そして川の字に三人分の敷布団を敷き終えるとサテラとシズハはいつも通りに薬を飲んだ。
これを飲まないと色々と大変な事になってしまうからだ。もし飲まずに始めてしまったら、まだ本編完結してないのに、ヒロイン妊娠ENDになってしまう。そんな事になってしまえば、今後のストーリーに大きなブレが生じる可能性があるので二人は薬を飲む事を徹底していた。
そして薬を飲むと、サテラとシズハはヴォラクに甘えるかの様にしてヴォラクの体に寄ってきた。まずは始める前のお戯れだ。ヴォラクは軽く笑みを浮かべると、まずはサテラから、と呟くと彼女の着ていた服に手を伸ばしながら、手馴れた手つきでその布地の服を巧みに取り除いていく。
「あ、主様……」
「サテラ、楽にしてろ。今、踊らせてやるからな」
軽く呟くと同時に、ヴォラクは彼女の胸の弾力を楽しむかの様にして、彼女のまだ成長しそうな双丘を触り、その柔らかき感触を楽しんだ。
その後もその他彼女の身体中を弄び、すっかり彼女の呼吸が荒れ、汗を流してしまって、果ててしまっている間、ヴォラクはサテラとの行為を目の前で見ていたシズハの後ろに回ると同時に、彼女が着ていた巫女服の上半身部分を脱がすと同時に後ろから彼女の事を優しく撫でた。
「お耳が弱い事で……」
意志を持つかの様にしてピクピクと跳ねるかの様にして動くシズハの耳をヴォラクはその右手で撫で回すかの様にして触る。そしてその左手はサテラの時と同じ様に、彼女の双丘の先を触ってしまっていたのだった。
「ふにゃぁ♡耳はダメだよォ♡」
「いや、お前猫じゃねぇだろ?」
「あ、ホントだ」
ヴォラクの冷静なツッコミにシズハは、自分で何を言っていたのか分からなくなってしまった。だが今は互いに求め合う方が大事だとシズハもヴォラクも思い、深く気にする事はなかった。
「さ、始めるとするか……」
シズハとのお戯れも済ませ、すっかり溶けてしまいそうになってしまった二人をヴォラクは敷布団の上に押し倒す。
「お願いします、主様」
「早く、キてぇ…」
「あぁ、任せろ……」
甘い口付けがヴォラクの唇を刺激すると同時にヴォラクも自らが着用していたロングコートを脱ぎ捨て、その二人の柔肉を貪り食らうかの様にしてその肉体に飛び込んだのだった……




