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〈連作版〉灰色姫の導き手  作者: 伽藍


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10/10

10. スイートピーでお別れ/後

 そんな一面を経て、いよいよイヴは聖女として布告されることになった。

 公表されるのはイヴ・クリーヴランド。それが、イヴの新しい名前だった。


 貴族たちの前で、イヴは叩き込まれた淑女の礼をした。貴族たちにはイヴが平民の生まれであることは知られていたので、短い期間で随分と勉強した様子に、貴族たちは今後の王国も安泰であると喜んだのである。

 聖女として公表されたイヴには、色々な仕事が積み上がった。貴族女性たちとのお茶会や、教会や救護院への訪問も仕事の一つである。


 けれど何よりも大切なのは、貴族令嬢として、そして王族と同等の女性としての勉強であった。そういう勉強には、以前から変わらずエリノアも協力してくれることになって、イヴは喜んだのだった。


 イヴが知らないところで、とある動きがあった。イヴが聖女だと公表されてから数日後に、王宮をイヴの元家族が訪れたのである。


「追い出せ」


 国王は端的に指示を出した。すでに王族たちは、イヴが元家族から搾取されていたことも、それでも妹たちを気にしたイヴが二人の妹を救護院に逃がす手配をしたことも知られていた。

 妹たちが実家から離れたのは、ちょうど両親や長男たちと入れ違いのはずである。三人は家に帰ったら、妹たちがどこぞに消えたことを知るはずだ。


 国王の判断はつつがなく実行されたが、それに不服を示したのはエリノアだった。


「イヴには、自分の意志で、元家族を切り捨てさせたほうが良いと思うわ」


 そんなことは、国王にも判っているのである。けれど国王は、苦い顔をした。


「だが、ただでさえ幼馴染みが襲いかかってきたんだろう。これ以上、聖女を危険に晒すわけにはいかん」


 そう言われてしまえば確かにその通りなので、エリノアは渋々引き下がったのだった。

 王家の配慮によって、元家族の動きなど知るよしもなく、イヴは心穏やかに過ごすことになった。イヴはほとんど勉強漬けだったけれど、たまの休みには散歩したり、手元に鉢を買って小さな花を育てたりした。


 そんなある日、イヴは慰問を行うことになった。イヴが聖女に選ばれた、あの王都の大教会で、集まった人びとに挨拶をするのである。

 人びとは小さな子どもを連れてくることができて、その子どもを祈りをこめてイヴが撫でるのだ。イヴにはどうすれば良いのか判らなくて戸惑ったけれど、エリノアは簡単だと笑った。


「子どもの健康を祈って、子どもを慈しんで、頭を撫でてあげれば良いのよ」


 実際に聖女からの祝福というのは効果があって、聖女に頭を撫でられた子どもというのは、ほとんどが健やかに育つのだそうである。


 子どもたちを撫でて祝福したり、収穫祭に参加して実りを祝ったり、痩せてしまった土地に花の種をまいたり、汚れてしまった水路で人びとと一緒にゴミを拾ったり。この国の聖女というのは、そういうものであるらしかった。


「この国を愛する聖女様の祈りが、この国の人びとを善い方向に導くの」


 正直なところイヴは、聖女と言われても何をするべきなのか戸惑っていた。けれど人びとに寄り添うものであると知れたので、それならばできそうだと安堵したのだ。


 そうして何度も何度も流れの練習をして、イヴは大教会で人びとの前に立つことになったのだった。


 人びとの注目を集めるのは、やっぱりイヴには緊張するものだった。けれど必死にイヴに指導をしてくれた教師たちや、この日のために駆け回っていた聖職者たちを知っているので、イヴは失敗するわけにはいかないのだ。

 イヴは綺麗に背筋を伸ばして、堂々と顔を上げた。最初にエリノアから教わったように、何度も何度もエリノアから言い聞かせられたように。


 王宮の文官たちと何度も何度も相談して磨き上げた挨拶の言葉を口にして、人びとが望む聖女のように、清らかに微笑む。何をするにもハッタリが大切なのだ、というのがエリノアの言い分だった。


 イヴも何人かの貴族令嬢たちと関わるようになったので、その頃にはエリノアが、公爵令嬢としては随分と変わっているのだということが判っていた。

 それでも、イヴにとって一番賢く一番美しい存在というのは、エリノアなのだった。どこの誰がエリノアを否定しても、イヴはエリノアを肯定しようと決めていた。


 人びとにとって聖女がイヴであるように、イヴの聖女はエリノアだったのだ。


 教師やエリノアに叩き込まれた通りに、余裕のある動きを崩さず、優しげな笑みを崩さないように、イヴは振る舞った。そのうちに子どもたちを順番に撫でる段取りになって、イヴは大教会の中を歩き回ることになった。

 だからその声が聞こえたのは、イヴにとっては不意打ちのことだった。


「――イヴ!」


 それがとんでもなく聞き覚えのある声だったので、イヴはぎくりとした。呼吸が浅くなって、視界の端が暗くなる。

 イヴの名を呼んだのは、父親の声だった。


 養女になってから、クリーヴランド公爵家の家族たちは、随分とイヴを可愛がってくれた。だから自分を虐げていた元家族の存在は、あっという間にイヴを追い詰めたのである。


「あぁ、良かった、元気だったのね、イヴちゃん。心配したのよ」

「王宮に行ったのだけれど、イヴに会わせて貰えなくてね。今度から簡単に会えるように言っておいてくれ」


 好き勝手なことを言いながら、両親と長男が、イヴに近づいてくる。

 護衛がイヴの前に出ようとした。イヴはそれを、やんわりを制した。


 イヴはすでに、クリーヴランド公爵家の人間であった。

 クリーヴランド公爵家の家族たちは、イヴを愛してくれた。可愛がってくれた。


 それだけではない、国王の一家も、王宮の人びとも。それがイヴが聖女であるからであったとしても、イヴを大切にしてくれたことには変わらないのだ。


 だから、イヴは、真っ直ぐ立っていなければいけなかった。イヴを大切にしてくれた人びとのために、情けない真似はできないのだった。

 たとえ呼吸が浅く苦しくなっても、視界が暗くなって眼が回るような思いをしても。


 イヴは、元家族に向けて、ゆるりと微笑んだ。

 たったそれだけで、元家族は怖じ気づいた。以前のイヴが絶対にしない、余裕のある、いかにも貴族然とした笑みだったからだ。


「何かご用でしょうか。わたくしがいまこの場で祝うのは、小さな子どもだけの決まりです」

「何か、って……」


 まるで他人のような物言いをされて、父親が鼻白んだ。


「なんて親不孝な娘なんだ、少しは恩返しをしようと思わないのか!」

「そうよ、長男のこの子に可愛い貴族の娘を紹介してあげてちょうだい」


 周囲の人びとが両親や長兄を見る視線の温度がどんどん下がっていくのに、三人は気づいていないらしかった。

 イヴは微笑んだ。実のところ呼吸をするたびに喉がひゅうひゅうと鳴っていたけれど、それを周囲に悟らせるわけにはいかないのだ。


「わたくしは聖女であり、クリーヴランド公爵家の娘です。他人を贔屓するような真似はできません」

「他人って、あなたはわたしの娘でしょう!」


 母親が金切り声を上げた。やはり三人を排除しようと動こうとする護衛たちを、イヴがもう一度押しとどめた。


「わたくしがあなた方の娘であったとき、あなた方がわたくしに何をしてくださいましたか?」

「何って――」

「ほんの小さかったわたくしに、それよりも幼い子どもの世話を押しつけて、料理をさせて、掃除をさせて、店まで手伝わせた。ひととして恥ずべき行いであることを、自覚できませんか? あぁ、せっかくわたくしが手を傷だらけにして作った料理を、不味いからと眼の前で床にぶちまけたこともございましたね」

「それがどうしたの、あなたはわたしたちの娘なのだからわたしたちに従うのは当然でしょう!」


 ここまで来て、やっとイヴは諦めがついた。結局のところ、イヴはこの家族たちとは、とことん噛み合わないのだ。


「さんざんにわたくしを搾取しておいて恩返しなどと、笑わせないでくださいませ。わたくしが恩を返すのであれば、それはクリーヴランド公爵家の家族たちです。あなたがたとは、すでに他人だわ」


 あくまでも貴族としての言葉遣いで、イヴはそう言い切った。

 なぜだか、長男が酷い顔でイヴを睨みつけている。長男は成長するごとにイヴに対して色めいた視線を向けてきたので、実のところイヴはこの長男が苦手だった。


 そう、苦手だった。嫌いだった。大嫌いだった。


 イヴは、そういう感情を、家族に向けても良かったのだ。


 最初に間違えたのは、実のところイヴだったのかも知れない。

 賢く、優秀で、従順なイヴは、家族たちに都合が良すぎたのだ。イヴのそういうところが、家族を狂わせたのかも知れなかった。


 けれど、そういうイヴの献身を当たり前のように貪って、イヴの一生を使い潰そうとしていたのは家族である。

 そういう、善良で無邪気で無神経な家族が、イヴは、大嫌いだったのだ。


「なんだ、今さら文句を言って! 嫌だったんなら言えば良かっただろ! 今さらどうこう言うだなんて、卑怯だぞ!」

「……ご理解頂けず、残念です」


 イヴを責め立てた長兄に、いよいよ見切りをつけて、イヴは護衛たちを押しとどめていた手を下ろした。

 それによって護衛たちが三人を拘束しようとする。父親が顔を歪めて、近くの燭台を手に取った。


「何の役にも立たない、出来損ないが――」


 誓って言うけれど、イヴは今世では、いままで父親に直接的な暴力を振るわれたことがなかった。

 父親は、理性的な男だった。穏やかな男だった。優秀な男だった。いつでも余裕のある男だった。


 そういう、今世の父親が。信じられないほど美しい父親が。

 貴公子と舞台俳優の良いとこ取りをしたような、非の打ちどころのない、美しい父親が。


「わたしに、恥をかかせるな!」


 まるで化け物のように、真っ赤に顔を歪めて、イヴに殴りかかってきたのである。


 それを、イヴは、呆然と眺めていた。頭の中ではぐるぐると、今世の父親と、前世の父親の顔が回っていた。


 父親という生き物が、他人を殴るときの顔。真っ赤な、歯を剥き出しにした、猿のような、化け物のような、あの顔。

 怒りと、衝動と、優越感と、喜びと、快楽にまみれた、あの顔。圧倒的に弱い生き物を甚振ろうとする、あの顔。


 そういう、記憶を引っかき回されて、イヴは――。


 ずるずると、腰を抜かして座り込んだ。気づけば父親は取り押さえられて、床に顔を押しつけられていたので、結果的に不本意にも父親とイヴの距離は近づくことになった。

 イヴに向けて歯を剥き出しにする、眼の焦点すら狂った、興奮から真っ赤に染まった、顔を見て――。


 イヴは限界を迎えて、ぷつりと意識を失ったのだった。


 さて、結局のところイヴの慰問はイヴが意識を失ったことで、大騒ぎになって中断した。

 数時間後に眼を覚まして、けれどベッドから起き上がることも難しかったイヴは、ことの顛末を聞いて死にそうな顔で謝罪した。そういうイヴを布団に押し込めながら、エリノアはそっとイヴを抱きしめたのだった。


 報告を聞いた国王は、頭を抱えた。王妃は言葉を失っていた。

 あまり騒ぎを大きくしたくなかったので何も言わずに遠ざけたのに、結局大騒ぎになってしまったのだ。ここまで問題になっては、国として対応する以外になかった。


 イヴに向けて燭台を振り回そうとした父親は、そのまま牢に放り込まれることになった。聖女に対して危害を加えようとしたので、おそらく処刑になるだろう。

 母親と長兄については、強制的に田舎町に戻されることになった。


 ここで国王は、イヴの元家族に対して処罰をくだすことにした。いまどき連座は流行らないが、こうしなければ永遠にイヴがつきまとわれると考えたのだ。


 すでにイヴの実家から、次女と三女は逃げ出した後だった。だから国王は残っていた母親と五人の男兄弟に対して、死ぬまで一歩たりとも田舎町から抜け出すことを禁じたのだった。もちろん書類だけの話では信用がないので、高度な魔法契約まで用いた、厳格なものだった。

 そして、イヴは一生故郷の田舎町には慰問しないことになった。こうすれば、ひとまずイヴと元家族の接触は防ぐことができるからだ。


 イヴの元家族、特に母親と長兄は、人権侵害だと大騒ぎした。王宮の人びとはそれを黙殺した。

 いまは騒ぎに気を取られて気づいていないけれど、おそらくそのうちに、次女と三女が逃げ出したことにも気づくだろう。


 何しろ聖女イヴの初めての慰問には、多くの新聞記者たちが詰めかけていた。だから各新聞社は、聖女イヴにつきまとうろくでもない元家族として、両親や長兄のことを書き立てた。

 イヴが純粋な被害者であったとしても、被害者の瑕疵を探そうとする人間はどこにでもいるものである。だから王宮は意識的に、イヴを悲劇の聖女に仕立て上げ、ことさら三人を貶めるよう誘導したのだった。


 この元家族のせいで、聖女の出身地であるのに、田舎町は一つの恩恵も受けることができなくなったのだ。だからきっと、元家族たちは周囲の人びとに随分と冷たい眼で見られることになるだろう。


 今までイヴを苛めてきた同級生たちは、震え上がって沈黙した。

 何しろイヴの幼馴染みであるジャンも、イヴの父親も牢に入れられてしまったのだ。あげくにおそらく処刑されるだろうというので、イヴがすっかり故郷への情を失っているらしいことを感じ取ったのである。


 そういう、色々な騒動があって、ようやくイヴの身辺は落ち着いたのであった。


 初めての慰問のあとに、イヴはしばらく体調を崩していた。けれど一週間ほど経ってようやく落ち着いて、いまは短時間の散歩くらいはできるようになっている。

 王宮の料理人たちは、イヴが寝込んでいる間にまたすっかり食欲が落ち込んでしまったので、どうにか食べさせようと試行錯誤しているのだった。


 そんなある日、王宮のイヴ宛に小さな荷物が届いた。


 何しろイヴは聖女であるので、毎日山のような貢ぎものが届いていた。贈り主の大半は貴族や大商人などの富裕層だったので、貢ぎものはだいたい絢爛豪華なものが多かった。

 その中で小さくて平べったい小包はひどく浮いていたので、人びとの注意を惹いたのである。


 聖女の安全のために、貢ぎものや贈りものは例外なく担当者の手で開封された。食べ物であれば毒が仕込まれていたり、装飾品であれば呪いがかかっていたりすることもあるので、あらゆる方法で安全を確かめられるのだ。

 その小包は、すぐに問題なく安全であることが確認された。けれど他の荷物からは明らかに浮いていたので、困惑した担当者によって、エルドレッドとエリノアに相談が持ち込まれたのだった。


 小包には、贈り主の記載はなかった。だから、誰から送られてきたのか判らない。

 けれどすでに安全性は担保されていたので、特に警戒することもなく二人は中身を覗き込んだ。中身は取り立てて珍しくもない日用品だった。


「……ハンカチ? よね……」

「これがハンカチ以外の何かに見えるなら、わたしはエリノアの発想力を称えなくちゃいけないな」


 言いながらエルドレッドは、気軽な様子でハンカチを拾い上げた。ブランドタグを確認する。


「あぁ、有名なシルクの布製品ブランドだ。中流程度の階級に人気だったね」


 エルドレッドが告げたブランド名は、エリノアにも聞き覚えのあるものだった。貴族の嗜みとして、有名なメーカーやブランドはそれなりに知っているのだ。

 エリノアは首を捻った。


「あのブランド、刺繍ハンカチなんて売ってたかしら……?」


 エルドレッドの手にあるハンカチには、鮮やかな刺繍が施されていたのだ。


 このブランドは、素材の良さとシンプルさを追求しているので、派手な柄はほとんど売っていないはずだった。大概が無地か、ほんのりと淡い花柄程度のはずである。

 納得いかない顔をしているエリノアに、エルドレッドがハンカチを広げて見せた。


「この刺繍はお手製だね」


 よくハンカチを観察して、エリノアも納得した。


 おそらくハンカチそのものは、ごく淡色の絞り染めなのだろう。つまり既製品のシルクハンカチに、後から誰かが刺繍をしているのだ。

 大きめのワンポイントとして縫い付けられた刺繍は素人にしては上手く、プロにしては甘かった。おそらく普段から趣味にしているような誰かだろう。


 刺繍の模様を、エリノアは観察した。そこには、色鮮やかなスイートピーが縫い付けられている。

 複雑な形の花だというのに、スイートピーを知っていればこれがスイートピーだと理解できる、見事な腕前だった。花束のようになっていて、ピンクも、紫も、白もある。


 逆に男であるエルドレッドには、何が縫い付けられているのか判らなかったらしい。判りやすく微妙な顔をしているエルドレッドに、エリノアは教えてやった。


「この花はスイートピーね」


 しばらく考えてから、エリノアはイヴを呼び出した。悪意のあるものではないと判断したのだ。

 ハンカチを見たイヴは最初はきょとんとして、それから刺繍を見て息を飲んだ。


「心当たりがあるのかしら?」

「その、間違いかも知れませんが、中学校の友人だと思います。すごく器用で、あっという間に可愛いぬいぐるみなんかも自作してしまうんです」


 おろ、と動揺しているように見えるイヴの前で、エルドレッドとエリノアは顔を見合わせた。


 このブランドは、中流階級が贈答品などに選ぶことが多いものだ。エルドレッドやエリノアはもちろん、それなりに稼いでいる大人にとっては、平民でも手の届かない値段ではない。

 けれど、たとえば。平民の中学生の子どもが買うには、――随分と勇気の要る買い物だっただろう。


 ハンカチを握りしめて、イヴは泣きそうな顔をした。


「わたしは、……き、嫌われて、しまったのでしょうか」


 イヴの言葉が、エルドレッドには意味が判らなかったらしい。逆にエリノアには理解ができたので、すぐに否定してやった。


「そんなわけがないじゃないの! すごく手間がかかっているわよ、その刺繍」

「でも、でも、お別れだって……」


 問うような視線を向けてくるエルドレッドに、エリノアは教えてやった。


「スイートピーの花言葉には、確かに『さようなら』もある。でも、それだけじゃないわよ」


 視線を集めるように、エリノアは指を立てた。


「『門出』や『優しい思い出』なんて意味もある。スイートピーというのは、親しい誰かの門出を祝う花だわ」


 エリノアの知らないイヴの友人に、エリノアは思いを馳せた。

 きっとその誰かは、イヴに別れを告げることでイヴの背中を押そうとしたのだ。もう帰ってくるなと、振り返るなと伝えることで、二度と故郷になど戻ってくるなと言いたかったのだ。


 イヴの友人がイヴを突き放したのは、きっと祝福であり、祈りだった。


 たった一輪の花からでも、エリノアとイヴの受け取り方は違うのだ。そしてエリノアはスイートピーから、イヴへの友情を読み取った。

 だからエリノアは、イヴに言ってやったのだ。


「良い友人がいたんじゃないの」

「……ぁ、」


 イヴはしばらく、呆然としていた。それからエリノアの言葉がようやく染みこんだのか、こくこくと何度も頷いた。


「はい、はい……! と、友だち、です」


 愛することも愛されることも苦手なイヴが気づくことのできなかった、それは確かに愛だったのだ。

 えーっとおそらくこんな話をここまで追ってきてくださるのは常連さんかよっぽどのもの好きかとんでもない猛者かというところかと思いますので、率直に言いますね。感想/ブックマーク/ポイントお待ちしております! よろしくお願い致します!

 だっていっぱい書いたから! いっぱい文章を書いたから! いつも短編ばっかり投稿しているわたしが、珍しく連載なんてしたから! 褒めて! いっぱい褒めて! 80,000文字とまではいかなくても、75,000文字くらいは書いたのではなかろうか


 まぁ世の中なんてのは努力に結果がついてくることのほうが珍しいというのは重々承知しているのですが、この作品はわたしのマイページ内でのお話なのでね。良いのです、利用規約に反していない限りマイページ内ではわたしがルールです


 とはいえ、わたしの文章は当て書きに近いものなので、ちゃんと『小説』として書こうと思ったらおそらくいまの5倍~10倍くらいの文量になるかと思います。さすがにそこまでの気力はありませんでした


 途中から悪役令嬢も乙女ゲームも関係なくなっちゃったな、、フフ、、、まぁ伽藍の書くものなんてのはそんなものです

 わたしの『悪役令嬢小説は悪役令嬢age・ヒロイン(聖女)sageがひどすぎて読んでいられない』という話に、友人から『きちんと売れてる悪役令嬢小説だと、聖女もちゃんと魅力的に書かれてるよ』と教えて貰ったところから思いついたお話でした

 悪役令嬢も聖女も魅力的に書ければ良かったのですが、ちょっとわたしにその力量はなかった。わたしはけっこう親近感を抱くので好きなのですが、聖女を好いてくださるかたはいるでしょうか。聖女については今後に期待、ということにしておいてくださいませ


 イヴの今世の両親については、善人だというのがベースにあったので、ひたすら両親と前世持ちイヴが噛み合わなくて転がり落ちてしまった、というイメージで書いていました。ちゃんと原作の乙女ゲームだと娘を溺愛する善良な両親として登場するつもりです

 どんなに善人であろうとも、ろくでもない人間に転がり落ちるのは簡単だよね、という気持ちで書いてました。逆に前世の両親は、それよりももうちょっと救いがなかった


 ちょっとでも楽しんで頂ければ幸いです。お付き合い頂きましてありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
たいへん面白かったです。 前世イヴの描写が、現実のどこかに実際いそうでじわりとしました。 両親にはきちんと見て止めてくれる親兄弟親戚友人誰もいなかったんだなぁというか、やっぱりなるべくしてなったのか…
ありがとうございます。素晴らしい物語でした。この世界の続きをまた読ませていただける機会がありましたら嬉しいです。
素晴らしい作品に出会えました ありがとうございます 1話目を読んで、あっという間に最終話を読み終えてしましました 続編を切に希望しています エルドレッドがイヴの事をどう思っているか?や リタのその後も…
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