現在進行形で着信
「どうしたもんだか……」
俺は小さな子を見つめながら思わず言う。
「まさかフェイトが暴走して自分の時間を戻すとは…」
記憶も一度再生したのだがそのまま戻っていき結局のところ全部、忘れてしまった。だけど良いこともあった。
「心があるんだ」
無邪気に元フェイトは笑っている。
「この子が元の世界に帰る鍵なのね」
光が出て来て言った。力は全部フェイトに帰ってしまった。
「とりあえず新しい名前を考えよう!」
俺が言うと光は、あっという間に考えついた。
「シリエス!」
なるほど…|続き(series)か。
「ねぇねぇ、お兄さんとお姉ちゃんって別の世界から来たんだよね?」
シリエスが聞いてきた。そういえば、教えたかな……。
「帰り道、作ってあげようか?」
クスクス笑いながら言った。
「マジで!?」
俺と光は、思わずハモる。シリエスは、笑ったままだ。
「うん!」
そう言って何故か、俺に近づいてきて耳打ちをする。
「実はだな…記憶はすでに再生している」
は……?何で?
「途中で時間の逆行を我に止めることなど造作の無いこと…」
だが、とフェイトは言って続ける。
「心も戻ってきてな…せっかくなので、一から人生をやり直そうと思って体も、幼少期まで戻したのだ」
ははは…ちっちゃいくせに人生の大先輩ってことか?
「まぁそういうことだ。帰る準備をしろ」
「はい。了解です」
シャキーンと俺は、立ち上がる。まったく…腹黒いお子様だな。
「これでお別れだな」
ガーズは寂しそうに言った。
「大丈夫だって、コレ渡しとくから」
俺は携帯を差し出す。重要なデータは、SDカードに詰め込んで抜いておいた。簡単に携帯の使い方をガーズに教える。
「これで俺を呼んでフェ…シリエスに頼んで空間繋いで貰えばまた来るから」
廃墟から行けるだろう。新しい携帯に使うつもりのメールアドレスを教えておく。
「…バイバイ、雄一」
イヴェルトが小さく手を振る。
「すぐにまた顔を、見せてよ!」
ローが笑いながら、言う。
「向こうに送るよ〜!」
腹黒いお子様が可愛らしく言った。景色が一瞬で変わり、みんなが消えた。
─あの廃墟だ。アンティークな時計が、後ろにある。
「何か、雄一君が来たらあっという間に帰れちゃった」
光は大げさなため息をつく。
「結果オーライだろうが」
俺達は廃墟の出口に向かう。今は夕方のようだ。
外への扉を開けたあと、光のメールアドレスとかを聞いてないのに気がついた。
「メールァ……」
「え!君、行方不明の子じゃないか!?」
お巡りさんが光を見て叫びそのまま連れて行ってしまった。
「ぁー……」
俺は手を伸ばすが、今更、届くはずもなく光はどこかに行ってしまった。
元の世界に帰って来て三週間が過ぎた。光はまだ時々、TVに出ている。見つけたお巡りさんが調子に乗って一緒にTVに出たのだが………
『あの人が助けてくれたわけじゃありません』
TVの中で光が躊躇いがちに言っている。これは、一回目の会見の時の映像だ。ヒーローになりかけたお巡りさんだが一気に転落。…馬鹿だ。
「ゆうちゃん。いつまでTVを見ているんだ?」
「黙れ、親父」
十数日、向こうに行ってたので親父の過保護が最近、悪化してきた。
「はいはい…。学校があるだろ?早く行くんだぞ」
そう言うと親父は、カバンを持って玄関に向かった。
「行ってきます」
親父はそう言ったので俺は普通の返事をして、TVを消す。
「結局、まだ光との連絡は取れず…か」
カバンと鍵を持ち、朝霞荘を出る。俺は新しい携帯を取り出す。俺はテレパシーのトラクスを使える奴が向こうにいない!と焦ったがシリエスが使えたようで、時々メールが届くのだが………
「来てないなぁ…」
ガクッと肩を落とす。ちなみに俺は徒歩で学校に通学している。
5分とかからず学校に到着。何とか俺は男子のグループに入り友達を作った。平凡な日常をたんたんと送っている。
朝の学活の先生の話。いつもは退屈なのに今日はそそられる内容だった。
「このクラスに転校生が来た」
ほほぅ…男子を希望する。何となく頬杖をつく。
「入ってきなさい」
先生が言うとクラスの扉が開き、スカートが見えた。
…何だ女子か。
何故かクラスのみんなが驚いている。俺の角度からは、まだ見えない。足音がして教室に入ってきた。俺は驚いて頬杖から顔を落としてしまい机で、顔を強くうつ。先生が転校生を紹介する。
「神谷 光さんだ」
光はニコッと笑い、俺に向かってVサインを送る。
ここまで読んでくれた皆さん、ありがとうございます。今回は元から短めのストーリーと割り切っていたのであっという間に終わってしまいましたね。(汗
元々の予定では、主人公は元の世界と異世界を行き来させるつもりだったんですが……世界を繋ぐのは携帯で充分かな?と思いやめたのですが少し後悔しています。(笑)
この小説のストーリーを考えた時、これは早く終わるな、と思いました。ですから次は長く続くストーリーを考えています。というか考えました。気分が向いたら続編を書くつもりですが、少なくともこれから書くであろう小説を書いてからですね。
長文に付き合っていただきありがとうございました。




