青学は甲子園に近い
「それは漫画を読んで野球に興味を持った新入生に響くんじゃあないかなあと、わざとそのまま拝借しているのよ。」
咲良の意図を説明すると蛭田がまた突っ込んでくる。
「伝統ある野球部ってのが引っ掛かるな。それは強豪校が言うセリフじゃないのか?うちは野球部が創設して10年に満たないだろ。しかもここ何年かは部員が揃わず混合チームで夏予選を戦っている上、1回戦を突破した事すらないのに・・・・・。」
更に黒田が言う。
「青学野球部は甲子園に近いって・・・・・。いくらなんでも盛りすぎだろう。どっちかっていうと一番遠い高校だろう。」
「千葉の中では近い方です。」
咲良は口を尖らせて言う。
「どこが近いんだ?」
その問いに対して、咲良は想定外の事を言い出した。
「うちはここから総武線で東京に出て、そこから新幹線に乗れば良いけど、房総の方の高校は東京に出るまで乗り継がなくてはいけないでしょ。」
皆絶句した。咲良がチラシに書いた甲子園に近いというのは、甲子園出場に近い高校というのではなく、甲子園までの距離の事だと言うのだ。石井部長は咲良に訊ねた。
「じゃあ、この大会優勝経験有りっていうのはどういうこと?うちの野球部は大会で優勝なんてした事ないと思うけど?・・・・・・・」
「それは有ります。」
咲良は無表情で言った。
「いつどこで?」
石井部長が恐々尋ねる。咲良はきっぱりと言った。
「去年の校内野球大会で優勝しました。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」




