第十九話「魔王軍襲来」
「んー!! いい天気!! 今日も元気に特訓を頑張ろうー!!」
「陽香ちゃんは、相変わらず元気だね」
「うるさいぐらいよ。ま、暗い陽香なんて想像できないけどね」
「あはは。確かにそうですね」
「お! ソフィーたんや! 言うようになったじゃないか!! うりうり!」
「あうぅ……! や、止めてください。陽香さぁん!?」
異世界ルストリアに来てからもう一週間は過ぎようとしていた。
相変わらず、ここが異世界だってことに驚いているけど。今では、皆も元気に自分にできることをやって過ごしている。
そして、相変わらず飛鳥くんの消息は不明。
夕方には飛鳥くんが見つかったのか? と聞くのが日課になってきている。私達も、飛鳥くんを探したいんだけど……それには、やっぱり力をつけないといけない。
【神聖具】を扱えるとはいえ、私達は戦いにおいては初心者。力だけに頼った戦い方は、いずれ身を滅ぼすって予習済みだからね。
それに、キリアスさんが言ってくれた。
兄が一緒にいるのだから大丈夫だって。
キリアスさんの兄であるアルフォードさんは、魔法騎士団の副団長でルストリアにおいても五本の指に入るほどの実力者、らしいんだ。
そんな人が一緒なら、大丈夫。私達は、そう信じて今日も特訓に勤しむことに。
「皆さん! 今日もお早いですわね」
「キリアスさん! おはようごいざいます! 今日も美人ですね!!」
「あら、陽香さん。ありがとうございます。それでは、今日は陽香さんの特訓量を二倍にしてあげますわ!」
「はい! ありがとうございます!!」
陽香ちゃんに、美人だと言われて上機嫌になったキリアスさんは笑顔で特訓量を二倍にすると高らかに宣言。
それを見て、ソフィーちゃんと望ちゃんは首を傾げる。
「なんで、二倍になってるのに喜んでいるんでしょう……」
「陽香は動くのが大好きだからじゃない? あたしだったら、テンション下がるんだけど」
「キリアスさん! 私も、特訓量を二倍にしてください!!」
「いいですわよ! ならば、ついてらっしゃいな!! まずは、外周三十周ですわ!!」
「「おお!!!」」
上機嫌なキリアスさんに続き、私、陽香ちゃんは走り出す。その後ろから、望ちゃんソフィーちゃんがいつも通りマイペースに走ってくる。
本来は、外周は十五周。
一周でも、相当かかるんだ。それが二倍……ランニングというレベルじゃなくなっている。でも、それぐらいじゃないと!
★・・・・・
朝の特訓を終えて、シャワーを浴びていた。
私は、シャワーがかいた汗を流してくれる。
「はぁ、今日もいい汗かきましたなー」
「うぅ……やっぱりついていくんじゃなかった……」
「だから言ったのに。ソフィーって意外と負けず嫌いなところあるよね」
そうなのだ。
ソフィーちゃんはいつも通り十五周で終わるかと思ったら、私達についてきて走り込みを続けていた。
だけど、元々体力がないソフィーちゃんは二十周辺りでダウン。
望ちゃんはまだまだ余裕そうだったけど、ダウンしたソフィーちゃんを介抱していたから私達が終わるまで日陰で待っていた。
「わ、私も最初はついていくきがなかったんですけど……か、体が勝手にですね」
「ふふ。今の私達には、ついてくるのは無理だよ、ソフィーたん」
「ソフィーちゃん。無理についていこうとしなくていいんだよ。自分のペースで、ね? そうじゃないとソフィーちゃんの体がもたないからね」
「はい……」
シャワーを止めて、入り口にかけてあった真っ白なタオルで髪の毛を拭いていく。
「そういえば、今日は午後の特訓はないんだよね?」
望ちゃんの言葉に、私はあっそういえば……と思い出した。
「あっ! そうだった!!」
「わ、忘れていたんですか?」
どうやら陽香ちゃんも忘れていたらしい。このまま、望ちゃんに言われなければ私と陽香ちゃんは知らずに特訓をするところだった。
「えー、じゃあ午後からどうしよう?」
シャワーを止めて陽香ちゃんがシャワー室から顔を出す。ちなみに、ここのシャワー室は、一人一人の個室がある。
個室は、全部で八つありキリアスさんは先に出て行ってしまった後。
「うーん。やっぱり、飛鳥くんのことを探すってことで!」
「言うと思った。こういうこというのは、飛鳥に失礼かもしれないけど。今探しても飛鳥は見つからないと思うよ。だから、たまにショッピングとかしない? 女の子らしく」
「それに、男子の皆さんも今でも飛鳥さんに関して情報を集めている最中ですし……」
「……なら! のぞっちの言うとおり、ショッピングをしようー!」
バン!! と扉を開けて裸を隠すことなく腕を振り上げた。
ショッピングか……久しぶりかもなぁ。
ここに来てからというもの特訓続きだったからなぁ。着ていく服も制服とキリアスさんが分けてくれた洋服しかないし。
自分の分は自分で買わないと、だね。
「あ、でもお金が」
「陽香ちゃん。キリアスさんがお金を至急してくれたでしょ? ほら、それに特訓でクエストをやった時にも」
「そうだった!」
「……陽香。あんた、ここに来てなんだか馬鹿キャラになってきてない?」
「なんだとー!!」
★・・・・・
そして、キリアスさんの許可も取って私達は街へと繰り出しショッピングをすることに。
四人でショッピングかぁ……。
地球にいた頃は、飛鳥くんも一緒だったなぁ。時々、清くんも一緒だったけど。
「さあって、何を買おうかなぁ」
「やっぱり、服かな? いつまでもキリアスさんに甘えているわけにもいかないし」
「そうですね。とりあえず、洋服店にいきましょう。ここの地図は、頭に叩き込んでいます。ついてきてください!」
ソフィーちゃん張り切ってるなぁ。
まあ、異世界に来て久しぶり……初めてのショッピングかな?
「ところで、男子達は今はなにしているん?」
「男子達は自由行動かな? 基本男子達は、自由行動だからね」
「むぅ……男子達も少しは運動したほうはいいと思うんだけどなぁ」
「運動はしていると思うよ? 街の探索とか雑用とか。それに、時々だけど騎士団の皆さんと一緒に軽い特訓をしているみたいだし」
男子組みも男子組みで一生懸命やっている。
このルストリアという異世界で。
「皆さーん! こっちですよー!!」
「はいはーい。ちょっと待ってー」
まあともかく。
今は、ちゃんと休日を満喫しなくちゃ。と、先に進んでいたソフィーちゃんを追っていく私達。
「な、なに!?」
「この警報って……」
でも、そんな時だった。
街中に響かんとする膨大な警報が私達の耳に届く。街の人たちは、この警報の意味を知っているらしい。ううん、私達も知っている。
この警報は……ミィルド王国に魔王軍が接近しているという警報。
「そ、そんなぁ……せっかくの休日が……」
落ち込むソフィーちゃん。
動揺する街の人達。
私も、落ち込んでいるけど気持ちを切り替えないといけない。キリアスさんが言っていた。この警報がもしもなった場合は……。
「行こう! 皆!!」
「うん! 久しぶりの魔王軍戦だね!!」
「はあ……ソフィー。ほら、落ち込んでないでいくよ。早くしないと魔王軍が来ちゃう」
「はいぃ……」
結局、私達の休日は一瞬にして終わった。
街の人達を非難させながら、キリアスさんのところへとダッシュで移動していく。




