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プロローグ

「この方々は、どうしてこうも一人の人間に執着なさるのでしょうね」

ここはヴァレンティア王宮。

王太子アレクシスの側近ベリアルは、今日も見目麗しい王族たちを眺めている。

国王マクシミリアンは、王妃ジュリエットをこの上なく溺愛している。

威厳(いげん)ある国王でありながら、愛する妻の前ではすっかり彼女の掌《てのひら》の上だ。

二人の間には王太子アレクシスと、その妹である王女ヴィクトリアがいる。

そして、父親譲りなのか、アレクシスもまた、婚約者イザベラを異常なほど大切にしている。

王家の男性たちは、どうやら愛する女性のことになると、理性が緩むらしい。

ベリアルにとって、恋愛感情とは実に理解しがたいものだった。

けれど、その不可解さこそが面白くて仕方がない。

ふと視線を向ければ、アレクシスが婚約者にだけ見せる、蕩ける(とろける)ような微笑みを浮かべている。

それを眺めながら、ベリアルは愉快そうに目を細めた。

「今日も退屈せずに済みそうですね」



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