72 強制と同じ
大勢は、フウカの提案に賛成、ということになった。
反対できる空気ではないし、その理由もない。
サークルとして、「公式に」取り組むことではない。
ただ、心の中では、ノーウェという名、そして懐かしむ気持ちは確実に大きくなっていた。
「先生」
呼びかけてきたフウカ。
「先生」
と、促してくるジーオ。
ジンの目も、ランの目も。
メイメイだけが眉間に皺をよせている。
目をつぶり、心の内を見せまいとしている。
彼女の胸に去来したものが何か、分かりはしない。
ハルニナが、黙って立ち上がった。
えっ、帰るのか、と目を向けるジン。
が、ハルニナはキッチンに向かう。
誰と目を交わすでもなく、一旦は冷蔵庫にしまい込んだものを取り出した。
サークルの顧問として、言わねばならぬのだろう。
「皆がそう思うのだったら、そうしよう」
ジーオが目を輝かせた。
彼女を悼む気持ちがあるから。
当たり前のこと。
言わずもがなのこと
だが、つい口が滑った。
「参加不参加は、自由。強制はしない」
これを聞いて、じゃ、私は抜けます、という人はいない。
強制と同じだ。
依然、難しい顔のメイメイ。
メイメイ、どうする? という言葉は飲み込むしかない。
学校でのメイメイ。
勝気な娘。
ハルニナとだけは仲がいいようだが、他の同級生とは決して群れない。
授業ではいつも最後列に一人で座っている。
だが、問えば、きっとこう言わせてしまう。
参加します、と。
「フウカ、で?」
バトンを戻そう。
すでに考えてあったのだろう。




