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37 妙にここだけ掃かれたように
おっ。
おおっ!
径から少し上ったことで、遠く木々越しにまた街の灯がちらちら見えた。
よし。
いいぞ。
もうすぐ朝が来る。
空はそんな様子。
そうすれば、歩きやすくなるだろうし、あの化け物石も夜明けとともにおとなしくなるかもしれない。
雨よ、やめ!
陽よ、差してくれ!
あの蛇も、もう来やしないだろう。
が、その場に蹲った。
呼吸を整えねば。
もう、まともに動けない。
「おのおのがた……」
もう冗談も言えないほど息が上がっている。
祠の石は回っているばかりで、襲ってはこない。
今のところは。
しかし実際は、足だけでなく、頭も働いていなかった。
ただ呆然と、街の灯と祠を見比べていた。
一服。
まずはここで一息。
なんだ、クソ!
ふう!
ふう!
ゼエ、ゼエ。
ゼヒッ、フハッ。
ゼヒュ、ゼヒァ。
スーーッ、ハッ。
スーーッ、ハッ。
ハ、ヒューーー!
ハ、ヒューーー!
視線を足元に落とした。
妙にここだけ掃かれたように、落ち葉は積もっていない。
何気なく、白いものを拾い上げた。




