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13 もっとお話がおありだったのでしょう?
「今日のお昼、つまらない話をして申し訳なかった」
と、話を切り替えた。
雑踏の中の立ち話である。迷惑この上ない。
ガリは歩道橋の端に体を動かし、それに倣った。
グランフロントのビル群の明かりが美しい。
その向こう、梅田スカイビルの空中庭園が浮かんでいる。
降っていないと思ったが、細かい雨粒が風に舞いながら落ちてきているようで、それらが光って幻想的だった。
「いいえ、先生。私の方こそ、つっけんどんで。なにか、もっとお話がおありだったのでしょう?」
と、言ってくれる。
「はい」
とは応じたものの、ここでするような話ではない。
ランがそばにいるのはいい。
雨の中、立ち話でするようなことではない。
ガリは、目を合わせ、じっと待っている。
確かに、ここだからこそふさわしいのかもしれない。
学校の中という監視された場所ではなく、この雑踏の中が。
木を隠すなら森の中、というではないか。
ガリとの話を終え、紀伊国屋書店を出た。
ランがはしゃいだ声を出した。
「ガリさんのお墨付きもらったから、そこらへんで晩御飯にしよう!」
「お茶じゃなかったのか」
「いいの。もうそんなこと」




