対面
空母飛龍。
攻撃を終えた第二機動艦隊が母港であるバルゲに帰投している最中。
提督公室に通されたセストリアは緊張の面持ちで、目の前に座る山口多聞と対峙する。
「お話は分かりました。
鋼龍にしがみついて当艦に来た時は驚きましたが、レイリア救援を目的としている当方としては渡りに船です」
レイリア王国第二王女セストリアに対し、多聞はそう答える。
「それでは!」
「ええ、まずは政府に報告してからになりますが、今後のことは我々にお任せ下さい」
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一月一日 早朝
ワグス湾総督府執務室
「新年早々、忙しいものだな」
総督の椅子に座りながら、ベルガーはそう愚痴る。
机の上にはワグス湾の攻撃による、現時点での損害記録が記された書類の束と行政に関する仕事の書類。
そして目の前には、ワグスを占領したエル・ゼナ大将が立っている。
「しかしアンタも思い切ったことをされる。
投降したとはいえ、敵国の総督をそのまま据えるとは」
「妾はこの大陸のとこを知らぬ。
何も知らないものが統治して反乱を起こされるくらいならば、貴様をそのまま総督に据えた方が混乱も少なくて済むというものだ」
「そうかい、ま、少しは寿命が延びたから一応礼を言うよ」
生殺与奪の権を握られているにもかかわらず、飄々とした態度を取り続けるベルガー。
そんな彼を背に、総督室を退室する。
「閣下」
書類を片手に、ガロンがやってくる。
「どうした?」
「は、先ほど長官からレイリア王国第二王女を保護したとの電信がありました。
なんでも、鋼龍の翼に飛び乗って空母に乗り込んできたとか…」
「ずいぶんと大胆な真似をするな。
一度会ってみたいものだ」
総督府を出て、港街を歩く。
焼け焦げた臭いがいまだに残るワグス港。
住民たちはエルたちに気が付くや、慌てて家にこもり、ガチャリと音を立てて鍵をかける。
メインストリートは散らかり放題であり、当時の混乱が伺える。
「ところで閣下、民間人の出入りにはどのくらいの制限を掛けるおつもりですか?」
「混乱が落ち着くまで、二か所の関所は封鎖。
飛空艇には爆装機を飛ばして対処、強制着陸させた後で臨検を行い、武器になりそうなものはすべて没収。
従わなければ問答無用で撃ち落とす」
臨時の統治政策をガロンに語るエル。
その横では、戦勝パレードの宣伝広告が海風にむなしく靡いている。




