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フォセストリア戦記  作者: 影光
三章 激動のフォセストリア
53/77

投降

≪二番艦フォルニア轟沈!≫

≪三番艦ヴァージニア艦橋炎上、通信途絶!≫

≪第四十五魔導巡洋艦隊全滅、ゲーベン提督との通信、つながりません!≫

≪魔導機関損傷、航行速度、低下!≫

 旗艦アリゾナに次々ともたらされる凶報。

 莫大な費用とありったけの技術を詰め込んだ僚艦が、奇襲攻撃でなすすべもなく沈められた。

 アリゾナ自身も通信アンテナが損傷し、外部との一切の通信が取れない状況にある。

「マジックシールドを展開、何が何でも湾外へ脱出しろ!」

 アルカスが指示を出すと、アリゾナは半球状の光に包まれる。

 あらゆる物質をはじき返す最上級の防御魔法。

 極めて高度な魔法であり、戦艦クラスの巨大な物体を包み込むには、本来は熟練した魔導士百人程度が必要ではあるが、第四段階の魔法技術で爆縮された魔導エネルギーがそれをスイッチ一つで可能にした。

 半面、内側から空の敵に反撃ができなくなってしまう上に魔導エネルギーがシールド展開に消費されるため、航行速度が低下してしまう。

 しかしそれでも沈められるよりはましと思い、ただただ脱出を急ぐ。

≪報告、マジックシールド用の魔導機関に複数個所の損傷を確認。

 マジックシールドの出力が不安定です≫

 魔導通信を通して届く、機関科の報告。

 展開したマジックシールドが不規則に明滅を繰り返している。

「応急修理、急げ」

「艦長、新たな敵機を視認!」

「まだくるのか!?」

 さらに襲来する攻撃機。

 投下された爆弾や魚雷はマジックシールドが防いでくれるものの、それがいつまで持つのかは分からない。

 そもそもマジックシールドだって無制限に展開できるわけではない。

 盾や鎧が攻撃で傷付くように、マジックシールドも同様に損傷する。

 鎧などの防具は鍛冶屋に直してもらう一方,マジックシールドは魔導エネルギーによって自動で修復される。

 裏を返せば、魔導エネルギーの供給が途絶えた時点でマジックシールドは消失する。

「…判断を誤ったか」

 さらに襲来する攻撃機に自身の判断を悔やむアルカス。

 艦隊を壊滅させた一次攻撃だけでも十分すぎるほどの戦果に、二次攻撃はないだろうと思いシールド展開を指示。

 しかし、それがかえって二次攻撃隊の攻撃を集めることとなった。

 手も足も出ず、その上速度の落ちたアリゾナに向けて攻撃隊は爆弾や魚雷を集中して投下。

 弾着のたびにマジックシールドは修復されるも、それを上回る猛攻撃に、ついにアルカスは決断する。

「機関停止、総員退艦、降伏の旗を掲揚しろ」

 アルカスの指示に、機関は停止。

 全員が甲板に移動し、両手を挙げて武装解除の姿勢を取る。

 アルカスは軍旗を逆さまに掲揚し、降伏の意思を示す

 同時にマジックシールドが消失する。

≪敵艦、沈黙。降伏した模様≫

 旗艦飛龍に伝えられる通信。

≪了解、後湾施設への攻撃を継続しろ≫


 =======

 レイグスコ城、中央尖塔。

 屋根が崩落した尖塔でセストリアはゆっくりと立ち上がる。

 目の前に広がるのは、壊滅した海軍。

 魔道戦艦をはじめ、主力級の艦艇は全て轟沈したか炎上している。

 攻撃機はアルト軍港をはじめ、主要な軍事施設を爆撃。

 ここまでのワンサイドゲームは見たことすらない。

「・・・・・」

 ゆっくりと、空を向く。

 そこにはこちらに向かってくる攻撃機鋼龍。

 胴下の爆弾を投下し、砲台を壊滅させてそのまま真っすぐ飛んでくる。

「セストリア、何をするつもりだ!」 

 がれきから這い出てきたアルスの制止を聞かず、助走をつけると、そのまま跳んで鋼龍の翼にしがみつく。

「なんだこいつ!?」

 まさかの事態に驚くパイロット。

「乗せてくれ、お前たちの基地まで!」

 そのままの状態で空母飛龍に戻る鋼龍。

 着艦と同時にセストリアは海兵に取り囲まれる。

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