空をかけて
燃え盛る火焔の煙の中、リューはチィに騎乗して空を駆ける。
先輩のエスをはじめとする竜騎兵たちは年末休暇で遠くの実家にいる以上、パーラの空を守れるのは自分しかいない。
そう勇んで飛び立ったはいいものの、相手は数十にのぼり、そして自分よりも速い。
「くっ…」
攻撃しようとチィにブレスを撃たせるも、敵機に容易に躱され、射程外に逃げられる。
対するチィも直感で機銃の方向を見切り、回避に専念。
魔力で強化した翼で流れ弾をはじき返す。
少し度も多く、一秒でも長く引き付け、民間人の避難できる時間を稼ぐ。
≪竜騎兵らしき、数は1。アレは…天変種か?≫
攻撃機パイロットの通信。
天変種とはその名の通り、天変地異を引き起こすほどの力を持つモンスターに指定される種族であり、最も警戒が必要な存在である。
≪対空爆装機を要請。
あれは機銃でどうにかなる存在じゃない≫
魔龍の脅威に直感で対空爆装の戦闘機を要請。
空対空ロケット弾を積んだ零戦の編隊が飛来、放たれた十六発のロケット弾を回避、真後ろで無数のロケット弾が爆発する。
「この大馬鹿者!」
声にリューが振り返れば、そこには教官であるアイーラの姿。
若い飛竜のアイシャに騎乗するアイーラ。
その後ろにはベルベットがついてきている。
「新兵ごときが粋がるな!今すぐ避難しろ!」
リューの行動を叱責するアイーラ。
―――ここまでだな
これ以上の継戦は自分自身はともかく、主には耐えられそうにない。
「醜態をさらしてもいい。
最後に生き残りさえすれば勝利だ」
先達の言葉を反芻し、チィは戦線を離脱する。




