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ハーレムエンドでは終わらない  作者: 宛 幸
縁もゆかり編
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59/74

第56話 始業式の日では終わらない

 夏も終わり、いろんな意味でハラハラした夏休みは幕を閉じた。

 そして翌日の9月1日、僕は早朝の学校に来ていた。

 特に生徒会のお仕事はなく、教室で独りになりたかったのだ。

 何気ない日常に変わる季節の折り目、過ぎる日々は早い。

 まだやり残したことはある。それを達成しなければ……僕は──

「……悠人、君?」

 声に気付いて振り向くと、そこには綾未さんの姿があった。

「どうかしたかな?」

「あ、その……それは私の台詞だと思うんだけど」

「?」

「あ、そのね……なんだか深刻そうに考えごとしてたみたいだから。どうしたのかなって……思って」

 どうやら僕は深刻そうな顔をしていたらしく、綾未さんを心配させたみたいだ。

「ありがとう。別になんでもないよ。ただ、ちょっと……妹のことを考えていたんだ」

「妹がいるの?」

「うん。僕には妹がいてね。明るくて気の優しい妹がね」

「そうなんだ」

「うん。病気持ちで、ちっちゃい体なのに明るく振る舞って……僕に心配させないように暗い部分を隠して」

「……私と同じ……」

「え?」

「あ、うぅん。妹さんの病気が早く治るといいねっ」

「うん。……僕もそれを切に願うよ」

 だけど、それでは治る確証はない。

 だって妹の病状は──

「悠人君?」

「ん、何かな」

「……。悠人君は、もう少し肩の力を抜いた方がいいと思うな」

「そうかな」

「うん。そうしたら、何か見えるものがあるかもねっ」

「あはは……。そうだね!」

 僕は綾未さんに励まされた。

 そこで廊下の方から足音がしてきた。

「集まり始めたね。じゃ、またね」入れ替わりに「お、時峰!ちっす」

「戸田君。おはよう」

 そのあとチャイムが鳴るまで戸田君と喋っていた。



 放課後に生徒会室に行くと、会長が一人仁王立ちして待ち構えていた。

「待ちわびたぞ。少年」

「今日はどうしたんですか?」

「いやなに、ちょっと頼みたいことがあってだな。まぁ座れ」

 設備されているソファーに座り、会長は反対側に脚組んで座る。

「それで、なんですか。頼みたいことって」

「それはな、まずはこれを見てくれ」

「これって……」

 一枚の紙をテーブルの上に乗せ、それを僕が覗き込むと、そこにはここの生徒と思しき女の子のぶっきらぼうな顔の写真と、その女の子のプロフィールが……

「って、これ学生名簿ですよねっ!?」

「そうだ」

「いいんですか、これ」

「大丈夫だ。先生からは許可を得ている」

「そうなんですか……」

 僕はもはや呆れて返す言葉がない。

 どれだけ用意周到なんだ、この人は。

「それで、これが頼みごととどう関係が?まさか、この子が引きこもりでもしていて、それを僕に出させるようにしろとか言わないですよね?」

「そのまさかだ。さすがだ、少年」

 開いた口が塞がらないとはこのことだった。

 ただの予想というか、想像したことをそのまま否定されないで肯定されたのだから。

「えっと……なんで僕?」

「愚問だな。君には女性を引き寄せる魅力がある。それも、自然に成せる天然のものだ。それを活かさずにどうする」

「買い被り過ぎですよ」

「いや、そんなことはない。過大評価でもなければ個人的贔屓でもない。これは客観的に見た事実的成果なのだよ、少年」

「それは僕のわかりかねる部分なので置いとくとして、どうすればいいんですか?何か作戦でも?」

「それは君に任せるよ。少年の実力を発揮する機会だよ。生徒会の役員としてね」

 生徒会の役員とは言うけど、実際はただの雑用係なのだ。

 こうやって手から零れた水を請け負って再び注ぐのが、僕の仕事。

「期待はしないでくださいね」

「期待しているぞ」

「……そうですか」

「廊下が騒がしい。皆が来たようだ」

 こうして僕は二学期の登校初日から任務を言い渡されたのだった。

 二週間後には体育祭もあるというのに、大変なのだ。生徒会も。

始業式なんてなかった……(遠い目

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