第43話 密談では終わらない
叩かれ疲れでぐでーんとしていた戸田君を起こし、この状況をどうするかを会議する。
「なぁ、本当にこの娘が、お前の母親なのか?」
「うーん、どうなんだろう。まだわからないかな」
「そうか。なら、隠しとくか?俺的にはこのままは良くないと思うが」
「そうだよね……けど、僕的には、みんなには知られたくないというか……きっと杞憂に終わると思うけど」
みんななんだかんだでいい人の集まりだからな……反応はわからないけど。
あまり悪い方向へは行かない気がするんだよなぁ……。
「なら、話すか。そうした方があとが楽だぞ」
「……うん。そうだね」
隠し事はあまり気乗りしないしね。
そうしようかな。
「退屈だー。わたしに内緒の密会など、なんとも愚劣なぁっ。暇だぞー」
猫耳をピクピクさせて畳の床でごろごろごろごろ。
暇で暇で仕方ないって感じだ。
「この、猫耳幼女が──」「幼女言うなと言っとろうが!」「あ痛っ。……猫耳のお嬢さんが本当に時峰の母親だとして、それで何しに来たとか……これからどうするかーとか、色々あるが……どうしたいんだ?」
戸田君は割と真剣な顔をして僕と彼女を交互に見る。
僕は首を傾げ、彼女は猫耳をピコピコさせて何か考える仕草をする。
「僕はみんなに」「風呂だ!」「……え」
僕が口を紡ごうとした瞬間、彼女が突然身を乗り出し言った。
「風呂に入りたい!わたしは風呂に入りたいぞ!」
「そう言われてもな……」
お風呂は男湯と女湯、両方共一カ所ずつしかない。
だから、必然的に彼女は僕達と(身長的に)一緒に入るか、一人で女子風呂に入って貰うことになる。
「俺と入るかっ?」
嬉々として誘い掛ける戸田君。
「やだ」
嫌そうな顔して一言で切って断る彼女。
「即答かよっ!」
「何か下心が見えたのでな」
ジトーと目を細くして戸田君を見る。
「……別にそんなことは?」
それから目を反らして疑問系で答える。
「邪念が巻き付いておる。嘘吐いても分かるぞ」
「なに!?」
「悠人、一緒に入るか?親子水入らずにの」
「……そう、だね」
やっぱりそう来るか。
二人だけでそのまま話していて欲しかったな。
子供の姿だからいいかと、そう考えた僕は準備を始めた。




