第32話 サービスカットでは終わらない
逃げる手段もなく、流されるままに会長のお遊び──ゲームが始まってしまった。
目を瞑り周りが見えないけれど、これだけはわかる。会長は口元を吊り上げ嗤っていると。
「では、少年は目隠ししてもらう。桃香」
「はい。悠人さん、動かないでくださいね」
会長の指示で副会長が僕の背後に立ち、目に布らしき物を覆い被せて後ろで落ちないように結ぶ。
「……なんで目隠しする必要が」
「それは少年がこちらを一向に見向きもしないからな。それの対処だ。それに、目隠しした方が面白いだろ?」
確かにそれは助かるけど、結局は会長に遊ばれている気しかしない。
でもこれで普通にしていられる。神経すり減らしてずっと硬直ってのも疲れるしね。状況的には大して変わらないのが現状だけど。気休め程度でも気は楽に
──ぽにゅん
何か背中に柔らかくも暖かい何かが二つ当たっている。しかも、中央辺りに突起のような物まで……。
「ふふ、少年。気持ちいいかい?」
この声……まさか──会長っ?
「今背中に当たっているのは、もしかして会長の……!」
「くく。さて、どうかな。当ててみるといい、少年」
柔らかく、温かく、そしてどこか弾力と張りがあり……くっ、これはなんて言う仕打ち。しかも耳元で乱れたような吐息が吹きかかる。
……ん?乱れた……吐息?
耳を良く澄ましてみる。
「はぁ……はぁ…ん、ぁ……はぁ……」
会長がこんな風な息遣いをするはずがない。
会長ならもっと巧くするはずだ。
「ひょっとして……副会長?」
「あれ、わかっちゃいました?さすが私の愛する未来の旦那さんです!」
「それはない!勝手なこと言わないでくださいっ」
「当てたご褒美だ。イくぞ、桃香」
「ひゃんっ」
な、なんか冷たい液体が背中に……ヌメヌメする──!
「そのままその大きく育ったそいつで背中を洗ってやれ」
「……ぁん……悠人さんの背中……意外と……はぁん…っ」
変な声を出さないでほしい。こっちまで変な気分になる。
いや、別に厭らしい気持ちなんてこれっぽっちも、全然ないわけだけど。場合によっては、仕方ないよね。うん。
てか、ぷにゅんぷにゅんと柔らかいその、石鹸が交えてさらにニュルニュルとして滑る二つの物が僕の背中で暴れているのだけど、すごく……気持ちがいい。
いや、この状況で冷静になれと言う方が無理だ。
だって……だってなんだもんっ。
「副会長さんの、大きいよね……」「うん。私もあれくらいあればな」「……胸」「うぅっ。悠人先輩がぁ……私のせんぱいがぁ……っ」
後ろで傍観しているであろう女の子達の声が聞こえる。
なんだか羨ましそうに話す綾未さんと彩調さん。自分のぺたんこな胸に手を当てているのが容易に想像できる依代さんの声。何故か自分のものと主張して悔しそうな声を出す華妃野さん。
これはなんというか、あれだ。地雷を踏んだ気分だ。
と言うか目隠しをしたのは間違いだった気がする。目を覆い視覚を無くしたことで、他の感覚がより鮮明になってきている。だからといって外すのは危ない。でもこのままなのも、僕の男が黙っていない。主に股間的な部分が。
どこかで切り上げないと、色々と危ないのは明白。だけどここで動くのも、目隠しで前が見えないからそれはそれで危ないし──
「悠人……んっ」
ぷに。僕の右手にちいさくてツルツルして、ふにゅふにゅと柔らかいものが……て、
「ちょ、ちょっと!?」
「ぁん……っ。……悠人、桃香の胸が気持ち良さそうだから、手は依が気持ち良くしてあげる」
「な──っ」
依代さんの声がするってことは、この右手の感触は、依代さんの──っ?
それはまずいですよ依代さん……!
もう色々とまずいけどっ、状況が状況だけにまずいけど!
「あ!依代先輩ずるいーっ。抜け駆け禁止!だったら私もヤりますっ!」
──ぽにゅんっ
今度は左手にまろやかなふんわり感がする柔らかさが手の平一杯に広がる。
「どうですか悠人先輩!私のおっぱい、気持ちいいですかっ?」
緊急事態発生──緊急事態発生──直ちにこの場を避難せよ。
脳内で鳴り響く警報は、理性の壁がギシギシと悲鳴をあげ、ボロボロと崩れているのを伝えてくれる。
つまり、ピンチ──!
僕の男の部分が唸りに唸りをあげて雄々しく天に向かって雄叫びをあげんと大きくなっている。
本当にこのままだと、僕はどうにかなってしまいそうだ。
「こ、これは……!」「すごいねぇ……ふむふむ。若いっていいよね」「学園長は何暢気に観察してるんですか!止めないとっ!」「そそ、そうですよぉ!」「にゃはは。ならわたしも混ざろうっかな~?」「「学園長(先生)!」」「ごめんごめん、冗談だから。にゃはは」
背中、両手……それといつの間にか前側に女の子の柔らかさで一杯になる。
もうこれ以上は……!
「ふふ。少年、私のもすごいだろ?」会長までさり気なく混ざっているし。「遠慮なくもっと悦びたまへ」
これはあれか、悟りを拓くしかないのか。
「君達、楽しいのはいいことだけど、やり過ぎるのはわたしが赦さないからね~!」
覇気を感じないのえるさんの怒ってる(?)声。
「ふむ。学園長が言うのなら仕方ない。ゲームは一旦切り上げる!」
のえるさんの一声に会長が順応して仕切る。
危なかった。この調子で続けていたら、どうなっていたことか。
「はぁ……」
すごい脱力感と、先程までの感触が半端なく残っている。
なんだか変な感じだ。
「……時峰君、大丈夫?」
「うん、まぁ……なんとか」
心配してくれたのか、綾未さんが声をかけてきてくれた。
「せっかくのお風呂だし、一緒に入ろうよ。ちょっと恥ずかしいけど……みんなと一緒に入るのはきっと楽しいよ」
「そうだね…」
「私が引っ張って行ってあげる。目隠ししたままだと、前が見えないでしょ」
そう言えば目隠しをしていたのだった。
脱力感で忘れていた。
「じゃあ、そうさせてもらうよ」
「うんっ」
綾未さんが僕を起き上がらせようと、手に力を入れる。
──ツルッ
「あっ」
が、足が床に残っていた石鹸の泡で滑ってしまった。
「きゃっ」
目隠しで見えないままだったので、方向の感覚がわからず、なるがままに転んでしまった。
「……ん?」
けど何故か痛くはなく、むしろ柔らかい感触が身体全体に広がる。
手を動かすと、先程までとは違った柔らかさがあった。
てかこれ……
「もしかして……」
そこで目を明けると、そこには目隠しをして暗くなった世界ではなく、明るく浴場が光によって照らされた世界があった。
目の前には生まれた姿のままの綾未さんが横たわっていた。そこに僕が覆うような格好で、片方の手は胸に、片方は床に着き、体勢としては非常にまずい状態で。
「……んん…っ」
綾未さんがゆっくりと目を開ける。
「あ」
「……?」
綾未さんはそこで僕の顔を見て、目線を下に降ろして行って──悲鳴を上げた。
そのあと綾未さんは僕をひっぱたき、脱衣場に前を手で隠して逃げ去るように出て行った。
僕は空虚感と周りの沈黙と共に、その場で意気消沈と固まっていた。
なお、余談だけど、紅燗さんは終始黙って一人浴槽に浸かっていたそうな。
ひさしぶり……というか、初めてと言っても過言ではないお色気回、女の子全開(意味深)で行っております。
次のこういう感じの回は来るのでしょうか?宛本人も知りません。




