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ハーレムエンドでは終わらない  作者: 宛 幸
ドキドキ!?ビーチ編【強化合宿・一日目─前半─】
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29/74

第26話 始まったばかりでは終わらない

 対戦相手が決まってそれぞれ持ち場につく。

 最初の対戦はBチームとCチームの試合だ。

 これは結構面白そうな組み合わせだった。

 僕は今回は観戦側ではあるけれど、どちらも応援したくなるようなメンバーである。

「――ふっ。……今回の俺、勝ち組」

「いきなりなんなのさ」

 戸田君が感慨深そうに持ち場に着くみんなの姿を見ながらしたり顔をする。

「俺は女の子が大好きなのさ!」

「……うん。それはわかったけど」

 それがなんだと言うのだろうか。

 と言うか、戸田君のキャラが変わってる気がするのは僕の気のせいだろうか。よくわからない。

「だから俺は傍観者としてこのトキメク今を堪能しようと思う」

「そっか。それはそうと」

「なんだ。今俺は目の保養で忙しいのだが」

「戸田君って、審判だよね?」

「あぁ?そうだな。なんかそんな役割だったな」

「行かなくていいの?」

 なんか待ち切れないみたいで始めちゃってるみたいなんだけど。

「おっと、これはいけねぇ。んじゃ行ってく――るぶぁはっ!?」

 流れ玉に当たる戸田君。

 運がわるいと言うか……もはや性(さが)だよね。戸田君の運のわるさは。

「だ、大丈夫?」

「……あ、あぁ」

 腕を掴んで引っ張る。

「さんきゅ」

「別にいいけど、早く行ってあげなよ。って言っても審判だけど」

 言って思う。戸田君を待ってる彼女が居るみたいな言い方になったな、と。

 確か居なかったはずだけど。

 戸田君は顔が広いからわからないけど。

「おう!」

 なんにしても、戸田君は元気よくて人気者で、羨ましいよ。

 僕なんて、周りに色濃い人しかいないから、なんだか無償に悲しくなってくるばかりだよ。

 まぁ、恋人とかは今はまだいいけどね。

 他にすることあるし。生徒会の仕事とか、私事とか。


「セットアップ!」


 戸田君の合図でパシュッとボールが宙を舞い、試合が始まる。

 僕も近くで見ようと移動する。

 先手を打ったのは閣利沢さんだ。カモシカのような足で飛び上がり、ボールを地面に打ち付ける。

 スマート且つ、華麗な動きに僕は魅了された。

 素直にすごいと言える、洗礼された動きだった。

「わ!?」

 その打たれたボールは月島さんの前を通り、月島さんはのけ反る。

 次にのえるさんがサーブを打つ。

「行くよ~♪そーれっ♪」

 身なりはちいさいそれだが、一応年齢的には年長者だ。

 きっとそれなりに力が強かったり――はしないよね、うん。見た目通りだ。

 のえるさんのサーブは山なりに上がり、風に乗ってひょろひょろと陸地に落ちる。

 落ちてゆく場所には依代さんがスタンバっていた。棒立ちで。

「……はい」

 片手トス。微妙に反れて華妃野さんの上空へと向かう。

「……とと。はいっ」

 そして重ねられたトスはネットの上へと向かう。

「わ、私やるよ!」

 目の前、ボールはふんわりと漂い、それに向かって月島さんは陸上で鍛えた足で走り、大地を踏み上げて――跳んだ!

「てやぁ!」

 ボールを激しく打ち、そして――

「うにゃっ?!」

 ネットに引っ掛かって跳ね返り顔に直撃。からの相手の陣地へとボールが舞う。

 そこへ尽かさず格利沢さんがスマッシュを決め込む。

 バンッ、ビーチボールが鳴ってはいけないような強烈な音がしたにも関わらずに綺麗にコート内に入って跳ねる。

 今のところ、Bチームが点を先取して優勢だ。

「これではまるで手応えを感じませんわね。さっさと終わらせてしまいましょう」

「にはは。まだまだこれからだよー」

「私も負けられません。……時峰君にいい所を見せなくちゃ」

 とBチーム。

 それに触発され、Cチームは、

「試合はまだこれから!見てて日和!私、がんばって勝つから……!」

「先輩とのイチャラブな一日を過ごす為、私、頑張ります!」

「……悠人」

 と意気込んでいた。若干一名はわからないけど。

 てかなんで僕の名だし。しかも頬を染めて。

 他に言うことはいくらでもあるだろうに。

 まぁ、やる気なのはいいことだと思うからいいけどさ。

 時間が流れ、勝ったのはBチームだった。

 まるで当然というように閣利沢さんは悠然としている。

「退屈しのぎにはなりましたわね」

「にはは。これは仕方ないのさ~。弱肉強食の世界だからね♪」

「ごめんね?でも、私も負けるわけにはいかないのっ」

 楽しそうなのえるさんに真剣な顔付きの綾未さん。

 そんな勝ち組の面々。だが、負けてしまった方は、

「悠人先輩との甘いシチュエーションが……うぅっ」

「日和ぃぃいっ。ごめんね、負けちゃったよぉー!」

「……悠人」

 華妃野さんは置いといて、日和さんに慰めてもらう月島さんに、また僕の名を口にする依代さん。三人共悔しそうな顔をしていた。

 やっぱり負けるのは悔しいと思う。それが遊びでも。それだけ本気だってことだしね。……なんて、僕に関してでなければ、そう素直に思えたんだけどね。

 そしてまだ試合は始まったばかりだ。

「それはフラグだぞ、少年」

 いつの間にか隣に立っていた会長が僕の心を読んでいた。

 いろいろと突っ込みたかった。

「私の穴、どこでも突っ込んでいいぞ」

 僕はその場から離れるという行為を取り、沈黙を守った。

 そして思う。この人は、もうダメだ、と。

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