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前編15 弘子⑤

「弘子お姉さま。質問があります。」


「なんだい、歴史関係の事かな。」

「いえ……信太朗様の事で……。」


 今は9月。先月、信太朗は修行のため、渡米していった。


 12月に、敦ちゃんと信太朗はタイムスリップして、仲間を集める旅に出る。

 信太朗の修行は敦ちゃんがタイムスリップして仲間を集めるまでの、ボディガードになるためだ。

 ちなみに重火器類や電子機器は、タイムマシンの性質上持ち込めないので、それ以外の武器が使えるようにならなければならないのだ。


 その間敦ちゃんは、私と現代の知識をできる限り勉強をし、計画の成功に役立ててもらう。


 蛭尾教授は、タイムマシンを信太朗以外でも使えるようにできるよう、調整し始めた。


 二人は1月に一度現代に戻り最終準備をする。

 敦ちゃんを2月の屋島の戦い送りだし、計画は終了だ。


8月 信太朗修行開始、敦盛勉強開始。

11月 タイムスリップ、仲間集め。

1月 いったんもどって最終調整。

2月 敦盛を屋島の戦いに送り出す。


 まとめるとこんなところか。



「信太朗のことで質問?どんなこと?」


「はい。信太朗様は、なぜ大学に行かないのですか、私が来る前も一向に勉学に励まれていないようでしたが……。勉強に興味がないのでしょうか?」


 確かに、現代知識を知るほどに、信太朗が引きこもり生活をしているのが奇異に見えるのだろう。


「敦ちゃん、信太朗はね、高校生までは勉強の虫だったんだ」


「えっ!?」


「あいつは、親を亡くしてから、私が親代わりになった。そして私と同じ大学に入り、物理学の研究者になるのが、あいつの夢だったんだ」


「それが信太朗様の夢……」


「そう。必死に勉強したが、私の大学はおろか、他の大学の物理系学系の大学も落ちてしまったんだ」


「……」


「かろうじて合格したのが、都内国立大学の農工学部。それでもすごいことだし、物理学も学ぶこともできるんだけど……」


「信太朗様は、あくまでお姉さまと同じ学部がよかったんですね」


「入学すれば、気持ちも変わると思ったんだけど。せっかく買った農学の教科書も真新しいままだ。もったいないよね」


 信太朗の鞄には、最初にタイムスリップした時に詰め込んだ、教科書がそのまま入れっぱなしになっている。


「お姉さま。お願いがあります」


「うん?なんでも言ってよ」


「私、農学を知りたいです」


「農学を?」


「はい。私は、元の時代に戻って、平家を救った後何をするか全く考えていませんでした」


「……」


「平家の父母のところに戻り、平家の公達に戻るのも嫌なのです」


「元の生活に戻りたくないのかい?」


「はい。私はこの時代の思想や倫理を知りました。平家に戻り男性として生きるのも、女性になり姫としてどこかへ嫁ぐのも、どちらも違うと思いました」


「もっと違う生き方をしたくなったんだね」


「はい、信太朗様や弘子お姉さまに、この時代の事を教えていただいたおかげです。一人の女性として、民とともに自分のできる事をして生きてみたくなったのです」


 やっぱりすごいわこの

 まだ16歳なのに……。


「私は信太朗様が投げ出してしまった農学を、代わりにい学びたいのです。そしてあの時代に役立てたいのです。お願いします。」


 敦ちゃんの目は本気だ。なんかうれしくなってきた。


「いいねそれ。よしやろう。私は専門外だが、さわりの部分なら解説できるだろう。信太朗が戻ってきたら驚かせてやろうよ!早速信太朗の部屋から、鞄に入れられたままのかわいそうな教科書たちを出してあげよう!」


「はい!」


 敦ちゃんは、立ち上がり、新たな夢に向かって歩き始めた。


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