不本意な入学式
こちらの小説家になろうに初めて投稿するモノです。この作品は西暦から200年以上先の未来で地球と火星の間にあるメテオベルトにある小惑星から発見された特殊金属によって作り出されたマルチフォームロボットの整備や操縦に青春をかける若人達の物語である。
NGC(ネクスト・ジェネレーション・センチュリー)220年。
宇宙開発が進み人類は地球外に進出し各惑星に国家間や派閥間で散り散りになり生活を始めて200年以上経過した。
外の世界で栄華を極めた惑星もあれば、星間戦争で滅びた惑星国家もあるが、地球外に進出した人類全体で見ればまだ平和とも言える状況だった。
この状態であっても地球にのこり、そこで生まれ育ち、死んで地に帰る生活を行っている物もいる。
地球から火星間にあるメテオベルトにある鉱物小惑星からの掘削物と他惑星からの商談や外交で滅ぶ道は免れており、それだけでなくメテオベルトの鉱物ハイポイドメタルがロボット技術を一気に発展させた。
このハイポイドメタルは地球で産出される鉱物の良いとこ取りとも言える優良鉱物だった。
金のように不純物が付きにくく、アルミのように軽く、白金のように通電性がよく、炭素のように多量に取れる。ことからハイポイドメタルは地球では重宝され地球の文明は飛躍的に上昇した。
そのため、最も飛躍的に上昇したのがロボット技術でハイポイドメタルが発掘されなかったら地球が衰退していたとされるぐらい発展だった。
地球独自の技術とハイポイドメタルで作られていて、汎用性の高いPowered Worker Gary(パワード・ワーカー・ギャリー)で、通称PGと呼ばれる地球独自の技術で開発、量産されたロボットである。
パワード・ギャリーは基本作業用として設計・開発され、メーンフレームにメテオベルトから掘削されたハイポイドメタルを使用し平均全長6.22Mと小柄ながら平均重量7.08tと割と軽く設計されている。
オプショナルスロットがかなり設けており、FCS、マルチセンサー、ポータルモーター、アクチュエーター等を交換したりすることでレース用、格闘用、建設用、海洋開発、宇宙開発、軍用と用途に応じた汎用性が高いマルチフォームロボットである。
第3世代以降はオプションでフライトユニットを装備して空戦や空輸も対応できるようになった。
つい最近までは地球にあるJAXSION社の独占的な技術で量産されていたが地球外の企業ARCT社が旧世代のパワード・ギャリーを解析しそれにより地球以外の惑星からパワード・ギャリーが誕生したが、操縦技術や整備技術まで向上した訳ではなく、特にハイポイドメタルは太陽系以外ではレアメタルのため自国量産も難しく地球以外の惑星国家はそれを向上させるためには地球にある唯一の操縦訓練を目的とした国立PG学園にパイロットやメカマンのエリート育成のために地球に送るしかなかった。
これはパワード・ギャリーに青春を捧げる若者達の物語である。
???:「――ちゃん!!起きろ。」「お兄ちゃん―――――。」
誰かが俺を揺さぶっているのは体感的に判るがまだ起きられない。
「まだ眠い。あと15分・・・・zzzzz」
???:「だぁぁぁ!!のんきな事言ってないで起きろ、馬鹿兄貴ぃぃぃ。」
罵声と共に俺はベッドから床に転がされてその傷みから目が覚めた。
「いてて、ふぁぁ。まだ眠いのに相変わらず乱暴な起こし方だな、サヨコ。」そう言いながら俺は立ちあがった。
サヨコ:「しっかりしてよね、お兄ちゃん。今日からPG学園に入学なんだから。」
「判っているって、着替えるからさっさと部屋を出てくれない?それとも一緒に着替える?」
軽い冗談を言ったら我が妹サヨコが顔を真っ赤にしてスカートがめくれ顔面めがけてのハイキックが飛んできたと同時に、乙女の三角形が見えた。もちろんそれは予想済みだったので左手でガードした。
「お、白か。」
サヨコ:「なに妹のパンツ見ていやがる、この馬鹿兄貴ぃ。」
今度はハイキックから腹パンチが来たがほぼ零距離だったので不可避だった。
「ぐふっ」と悶絶し、両膝を付いた後サヨコは怒りが収まらない状態で俺の部屋から出て行った。
殴られたお腹をさすりながらすっと立ち上がりPG学園の制服に身を包んだあとリビングに向かい、そこで家事をしている父さんエイタ・ゴトウがいた。
マサキ:「父さんおはよう。あれ、母さんは?」
エイタ:「おはよう、マサキ。母さんは惑星ドルフィードに大規模な商談があるって昨日の未明に出て行ったよ。」
ここでうちの家族構成と職を語っていこう。
母はリリアン・ゴトウ、惑星バーシスト出身で、バーシスト星人といっても地球から旅立った地球人が始祖の一族だが惑星環境のためか一族全てが赤眼である。地球にあるJAXSION社の外宇宙部門の営業部部長である。
父はエイタ・ゴトウ生粋の地球人で、元々軍でパワード・ギャリーの操縦教官をしており、当初は共働きだったが俺の姉ミヤコが生まれたのを機に父は教官を辞めて主夫になった。その姉ミヤコ・ゴトウも今では官民のどちらかのPG教官をしているのである。
妹は俺より2つ離れているサヨコ・ゴトウでまだ中学2年である。外見は157cmで髪をセミロングのくせっ毛、性格は姉妹揃って粗暴だが女性らしい振る舞いの出来る二人だが、妹はとある理由から少しばかり男性が苦手になり、父と兄である俺以外の男性とはあまり喋らないし俺や父さんと一緒に出歩いている時に、男性に声かけられると俺達を楯に隠れてしまうのが玉に瑕。
俺事、マサキ・ゴトウは、先に述べた地球人の父とバーシスト星人の母を持つハーフで、左目は地球にあるヒノモト諸島にすむ大和民族良くある茶眼だが右目はバーシスト人特有のルビーのような赤眼のため虹彩異色であるが、地球人とバーシスト人のハーフでは必ずオッドアイの症状が出るため至って普通である。
そのため姉と妹も左右が異なるが同じ虹彩異色である。
俺自身PGには興味はあったがあくまでPGの整備であり、俺の目指すのはパイロット科ではないのに何故が思い通りにならなかった。
願書も整備科を申請したし合格もしたのに、何故かパイロット科に配属になっていた。父母はPGに関わるならどこでもいいといって整備科を薦めてくれたが、これをしたのは恐らく姉だ。
あの人は俺に天性の操縦技術があると思い込んでいるが俺自身はそう思ってない、父だって天才肌ではなく地道な努力があってこそ太陽系統括連合軍のエースとして君臨していた時期があったのだ。
食事を終えて学園までの道のりをホバーバイクで向かおうとしたら同じくホバーバイクにまたがってきた友人フェイ・リンシーが近づいて来た。
フェイは小学生の時からの幼馴染みと言うより腐れ縁に等しいなかだが昔から俺の事をおっさんぽいマサキ君だからまっさんと呼んでいる。身体的な特徴をあげると身長は俺より低い165cmぐらいで生粋の中華系地球人ある。
俺がPG整備科を目指す切掛けをくれた女の子だ。彼女もPG学園の制服を着ており、俺とフェイの制服で男女別の部分を除いたら整備科所属を示すピンバッチを胸元に付けている。
整備科のピンバッチはメタリックブラックをベースに銀色で塗装されたスパナとメガネレンチが施されている。それに対してパイロット科は同じメタリックブラックに赤に塗装された操縦桿とフットペダルを簡略したデザインが施されている。
フェイ:「GOOD Morning まっさん、良い朝ね。」
「良い朝かどうか不明だが、まっさんは辞めろって、言っているだろ?」
フェイ:「そうかなぁ、マサキくんだからまっさんでいいと思うな。あ、それはそれでお互いPG学園に、科は異なるけど入れて良かったよ。」
「フェイ、そうかもしれねーが、せめてマサ君って呼んでくれよ。俺はまっさんなんて呼ばれる年じゃね-し。」
フェイ:「うんいいよ。まっさんがそう呼んでって言ったから、じゃあ今日からマサ君ね。」
「お、おう」と短く反応する事しか出来なかった。
俺たちはその後なんの変哲もない会話をしながらPG学園の門をくぐった。
国立Powere Gary学園
そこは地球人だけでなく各地のテラフォーミングした惑星や、本当の意味での異星人もPGの技術を学ぶために学びに来る発展途上惑星の技術者や王族、豪族などがここに集いているのである。
作業着やパイロットスーツは指定された物と学園指定の制服はあるが、私服登校が可能である。
そして最大の特徴がパイロット科のメンバーにのみ一人一機中古フルレストア品とは言えパワード・ギャリーを与えられるのである。
1年生の時はPGJX-01 RAIUN(雷雲)とPGAX-01 SERC RIDE(サークレイド)のどちらかを選択出来るのである。
俺は不本意だがパイロットとしてRAIUN の方を選んだ。
ちなみに整備科は10人で一班のチームで1台のパワード・ギャリー与えられてそれを分解整備や工学的の基礎をたたき込んで一人前の整備士を育成するためのプロ集団が揃っている。
パイロットは操縦や軽度の整備、基礎は重点的に教えてもらう学園である。
入学式が始まり学園長から入学の挨拶とこの学園の注意事項が述べられクラス割が決まったモニターの所に案内された。
ここの学園のクラスは1~5組までの一クラス40人体勢で1学年200人は集まるが2年生だと脱落者が多かった為180人前後まで減っているがそれだけ厳しいのである。
クラス分けの乗ったモニターに自分の名前を探していると担任教師のなかに俺の姉ミヤコ・ゴトウが、割り振られたクラス1-3の担任をしているのを見た。
俺は心の中で(あの馬鹿姉貴が、俺をはめやがったな。)と思い進路工作したのを確信したのである。
入学初日はクラスメンバーの挨拶のみで終わったが基礎や工学、歴史等は明日からみっちりたたき込まれるのである。パワード・ギャリーは1週間ほどで配布されるのでそれまではシミュレーター訓練が基本になる。
1-3はクラスの中での人数は男子21名、女子19名となっている、自己紹介の段階で気になった奴を男女不問で上げていこう。
まず、となりの女子は俺と同じタイプの虹彩異色で地球人とバーシスト人のハーフのカナエ・ヒノムラでセミロングのお団子頭でアクティブ系。
少し離れた席にとても地球生まれとは思えないぐらい肌が白く背中まである金髪でロール巻きの髪型で緑眼の美人でエルフ耳、名前はシルヴィア・テルーノと言って交流のある異星人ベルアット星人だ。
さらに、こちらはテラフォーミングした惑星の出身で惑星ベナスの第1王位継承者のお姫様で、名前はユナ・フェルボート・ベナスだ。特徴をあげると腰辺りまである青髪のストレートヘアで金眼なのは彼女の惑星環境で髪の色素が青くなる無害の粒子が充満しているからである。彼女曰く(王位につきたるもの、文武に長けて品位のあるものこそ王位に就ける。)をモットーとしてこの地球にPGのパイロットになるために数人の従者を連れて来星したのである。
近くの男センイチ・シノミヤは身体的な特徴をあげると、身長は俺と同じぐらいの170前半で凛とした顔立ちで肩ぐらいまである黒髪を1つにまとめており、彼は生粋の地球人である。
少し席の離れた所にいるクウヤ・オキサキで髪をぴっちり貼り付けたオールバックの黒髪で、身長175はあるやや大男で目つきは猛禽類のように鋭く男女ともに自分以外を見下している様に見える男だ。
この紹介した人はPGのライダーセンスはかなりの高水準で整備を目指している俺には関係ないが、俺の親や経緯を調べれば判るけどあえて喧嘩を買いたいとは、思わない。
こうして俺は本来整備科に入学したかったのにパイロット科に不本意な入学初日を終了した。