エピローグ
結局。
殴られに殴られた俺。
しかしなんとか大事なところは死守する。
そうして、満足……というよりは疲れたらしいルナは先にゲームからログアウトした。
慌てて俺もあとを追う。
すると、1時間ほどして、玄関のチャイムがなった。
どこかのネカフェからアクセスしていたらしいルナは、
「……ただいま」
それだけいって、帰ってきたのだ。
「……おかえり」
俺は苦笑してそれを迎い入れる。
「……ルナ、いったいどこに?. 」
父は困惑ぎみだったが、高校生として決して遅い帰宅の時間とも言えず
「……次からは、気をつけてな」
それだけ言うと、ささっとしたくをすまし。
「じゃあ、またな、お前ら」
「……ああ、父さんも、元気で」
「……いってらっしゃい」
そうして、父は外国へと再び旅立っていった。
「お父様~~お元気で~~~」
家族でもないトーコに見守られて。
※※※※※※※※
それから数か月たち。
俺は、高校3年生になった。
朝、階段を下りていく。
リビングには、高校2年生になった妹の姿が。
「……おはよう」
「……おはよう」
挨拶を交わすようになったのだからまず進歩だ。
しかも……
「……これ、今日の朝食」
「……お、おお。ありがと」
スクランブルエッグに、軽いサラダ。
手の込んだ、とはお世辞にも言えないが、以前の料理の腕を思えば大したものだ。
「いただきます」
「いただきます」
確実に、俺達は進歩している。
「じゃあ、学校に行くか」
「……待って、今準備するから」
俺との登下校も、いっこうに嫌がらなくなった。
まあ、正確に言えば、俺だけではなくて……
「お兄様~~おはようございます!! 」
相変わらずぴかぴかの黒塗りの高級車。
飛び込んでくるトーコ。
それをさっと華麗にかわす俺。
もう慣れたものである。
「もう、お兄様ったら、いけずなんですから」
「気色悪いこというのやめろ」
「ルナさんも、おはようございます」
「……おはよう」
いつも通り大学は暇らしいトーコがついてくる。
徐行の車つきだ。
そしてしばらくいくと
「おはよう!! けんや」
「おはようございます!! けんやさん、ルナちゃん!! 」
相変わらず仲睦まじく両腕をからませた東兄妹がやってくる。
この五人での登校が、いつもの光景になっていた。
「ああ、お兄ちゃん!! 」
「おお、妹よ!! 」
ロミオとジュリエットはいつもと変わらず健在だし。
「ですから、わたくしはお兄様の妹ですわ!! 」
「いいから、ちょっと職員室まで来てもらおうか」
不審者扱いされるトーコもいつも通りだし。
「……じゃっ」
ルナのそっけない挨拶もいつものことだ。
そうして、一日は始まって。
「よくやったな、浅倉」
幼女かと見紛うくらい小さな体の担任、須田啓子は俺を見上げて
「前から凄かったが、今は驚くほどいい点数をとってるじゃないか!! 」
「ありがとうございます」
「これなら、東応大学も夢じゃないぞ? 」
「本当ですか? 」
「ああ。それにしても、塾も行っていないのに、いったいどうやってこんなに成績を……」
「え、まあ」
身近に一人、こいつがいけた大学なら俺も行けるかな……って思える存在がいるもんで。
とはいえないので
「せ、先生の教え方がうまいおかげですよ」
「お、うれしいこといってくれるじゃないか」
先生は感激したように
「それじゃあ、今日の放課後、補習といくかあ!! 」
「……え、ええええ!? 」
……余計なことを言わなければよかった。
……そして、疲れた体をひきずって帰ってくると。
「おかえりなさい、お兄ちゃん」
「おかえりなさいませですわ、お兄様~~!! 」
相変わらずゲームに興じている俺達がいる。
「あれに乗りましょう!!お兄様!! 」
「いや、今日こそは、ちゃんと学校に行ってもらうんだからね、お兄ちゃん!! 」
騒がしい、しかし愛すべき『妹』たち。
「……ちなみに聞くけど」
忘れろ、といったくせに、時々アイカモードからルナモードに変えて、彼女は聞く。
「……あの時、あんたが私のことを好きだっていったのは……」
「ああ、もちろん」
俺は、彼女の頭に手をのせて
「こんなにかわいい妹はいない。大好きだぜっ!!って意味だ」
「……やっぱ死ね」
「いやなんで!! 」
理不尽さも相変わらず。
それでも、それなりに。
楽しい日常を、これからも過ごしていくことになりそうだった。
ーー了ーー
ここまでお読みいただいた皆様(いるのかな?)ありがとうございました。
本作は、自分なりに頑張って考え作った作品です。(いきあたりばったりなところも多々ありましたが)
よろしければ、感想等いただけましたら幸いです。
ありがとうございました。m(__)m




