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183.最後の1vs2

 その声と同時に、セレイザとエジットを含む騎士団とギルドの連合軍とパーティメンバー7人のバトルが幕を開けた。

 ニールは目の前のエジットの身体を両手で突き飛ばし、そばのセレイザに前蹴りを繰り出して吹っ飛ばしておく。

 更にその後ろではセバクターがQRコードの部屋に繋がるドアを閉め、そっちに連合軍を進ませない様にする。

 幸い、戦えるスペースはバスケットボールコート2つ分なのでかなり広い。

 7人では相手の数を考えるとかなり不利なのだが、そこは逆に考えてみると少人数の機動力を活かして相手の懐に潜り込んで倒しやすい。


 例えばこっそりと部屋の端に移動したミネットとエリアスが、得意の弓を引き絞って敵の視界の外から的確に矢を打ち込んで行ける。

 シリルとエルマンはそれぞれバスタードソードとバトルアックスを豪快に振り回し、多数の敵を一気に薙ぎ倒せる。

「おらおらあ、死にたい奴から掛かって来いよお!!」

 シリルの雄叫びが上がっている場所から離れた所では、セバクターとイルダーのロングソードコンビがお互いの死角を上手くカバーする形で敵を斬り裂いて行く。


 敵は大人数で確かに有利……に見えるのだが、これだけの広さがあって戦うとなるとなかなか役割分担も行き届かないし、ギルドの連中はセバクターやイルダーと装備が似ている者も結構いるが故に、敵と味方を間違えて攻撃してしまうのを恐れてなかなか踏み出せない。

 加えて、この地下の部屋に壁のランプは余り設置されていないので、部屋全体がそれなりに薄暗いと言うのもそれに拍車を掛けている。

 大人数である事が、決して良い方向ばかりに傾く訳では無いのだ。


 その一方で、せっかくセバクターが閉めてくれた筈のドアをぶち破ってニールがその部屋に飛び込む。

 だが彼は自分の意志で飛び込んだ訳では無く、戦っている時に横っ腹にエジットの強い前蹴りを受けてそのまま吹っ飛ばされたのだ。

「……これで俺達3人以外に邪魔者は居ねえ。ケリをつけようぜ!!」

 エジットがドアの向こうに背中から飛び込んだニールに続き、セレイザもその後ろからやって来てドアを閉める。

 しかも、セバクターと戦った時に外された自分のハンドメイドの武器を回収し忘れてしまったので、どうやら素手で戦うしか無いらしい。


「ぐっ……そう言えば、何でここにあんた等2人がやって来たんだよ? まさか魔術研究所が襲われたって言うのを聞いたのか?」

 蹴られた脇腹をさすりつつ立ち上がるニールの質問に、セレイザは頷いて答える。

「ああ。あの塔から帝都に戻って来た時に、私達はちょうどその話を聞いてな。だから集められるだけの人員を集めてここに来たんだ。夜だから集められたのは100人位だったが、それでも御前達を倒すのなら十分だ」

「そして、ここで御前は俺達2人に殺されるって訳だ!!」

 エジットがそう言うと同時に、2人ならではのフェイント戦法なのか先にセレイザがロングソードを突き出して来た。


 ニールはその瞬間、反射的に身を屈めて後ろ手に地面に両手を着き、地面に着いたその手を踏ん張ってバネにして身体を前に押し出す。

 真っ直ぐ……と言うより、やや斜め上に伸ばしたその足が蹴ったのはセレイザの足。

 ニールが低い体勢から攻撃出来るなら、そしてロングソード使いの方が相手ならギリギリこっちの間合いに入る事も出来るので、相手の足を狙わない訳が無かった。

「ぬお!?」

 いきなりのトリッキーな動きにセレイザは対処し切れず反応が遅れ、足を取られて背中から後ろに倒れ込む。


「くっそ!」

 そのセレイザの様子に反応したエジットが即座にハルバードを振るう。

 ハルバードが地面すれすれを薙ぎ払いに掛かるが、ニールは当たらない様に宙返りで回避。

 その横からセレイザのロングソードが突き出されるので、それを回避しながらセレイザの腹に強烈な膝蹴り。

 更に前蹴りでセレイザをぶっ飛ばすが、入れ違いにエジットのハルバードが再び襲い掛かるのでリンボーダンスの如く上体を反らして回避。

 片方をぶっ飛ばせば片方がやって来る。これではキリが無い。


 セレイザのロングソードが突き出されるのでそれを横にずれて回避し、セレイザの側頭部に右足でハイキック。

 次にエジットのハルバードが襲い掛かるが、同じく横に回避してからの右ハイキックから左回し蹴りで彼の頭目掛けて2連撃。

 ハルバードの間合いの内側に入り込めば、リーチのあるその武器だと取り回しが逆に利かないので一気に決めたいニール。

 だったら急所を狙えば良いとばかりに、足のバネを利用してエジットのアゴ目掛けてジャンピングニー。

 それも斜め上にスピードを乗せる。

「ごっ!?」

 アゴは人体の正中線の1つなので、流石のエジットも頭がクラクラする。

 ボクサーが顎にクリーンヒットしてふらつくのと同じ現象だ。

 両手でそんなエジットを突き飛ばし、ニールは追い打ちで全体重を乗せてドロップキック。


 エジットが倒れるその脇から、セレイザが速さを意識してロングソードを薙ぎ払って来たので後ろにジャンプして回避。

 ニールのそんな動きを見てまたロングソードを突き出して来たセレイザに、今度は手を地面に着かずに身体をロングソードの下をくぐらせる形で回避し、セレイザのアゴ目掛けて右のアッパーカットを食らわせる。

「ぬぐう!?」

 ふらついたセレイザに下段左回し蹴りを食らわせ、足払いで彼が倒れて来る所を目掛けて彼の顔を下から上へと平手で打ち上げた。

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