184.やっと決着
「ぐへっ!!」
更に追い打ちをかけるべくニールは踏み出そうとするが、そんな彼の足を引っ張る人間が。
「ぬん!!」
エジットがニールの左足に絡みつき、体格差を活かしてジャイアントスイング。
「うおおっ!?」
スイングされるその先には壁が迫る。
反射的に腹筋を使い、頭をグイっと上げて壁に頭がぶつかるのを回避したニールは、エジットの腹を右足で蹴ってこれ以上スイングされるのを防いで逃れる。
そのまま立ち上がったニールだが、目前には既にエジットのハルバードが振り下ろされて迫る!!
(しまっ……!!)
例え避け切れたと追撃を避け切れるかどうか。
ここまでか、と思いながらもゴロッと地面を横に転がって何とかハルバードの直撃を避け、足を回して起き上がりエジットの腹に左の回し蹴りからコンビネーションできりもみジャンプからの右のキックを食らわせる。
しかしエジットは少しよろけただけ。
そこにセレイザも向かって来て、セレイザはニールの首を目掛けて、そしてエジットはニールの足を目掛けてそれぞれ武器を薙ぎ払う。
だがニールは、後ろにバック転の要領でジャンプして地面に手をつき、そこから跳ね起きで戻る一連の流れで、2つの武器の間を通り抜けるまさに「ギリッギリの」回避を見せる。
そこから起き上がり様に自分の右側に居るエジットの胸を左足で蹴り、その反動で空中で身体を回転させつつ左側のセレイザの側頭部に右の足を落とす。
「ぐあ!」
「がはっ!!」
セレイザを尻目に、再び向かって来るエジットのハルバードを回避して両手で彼の頬を両側から全力で挟み込んでサンドイッチビンタ。
最後にドロップキックをもう1度食らわせ、エジットもようやく地面に倒して一息ついた。
それでも、まだこの2人も諦めてはいない。
「くっそ……やるじゃねえか!!」
「ここまで私達を苦戦させるとはな。だが……私達も意地があるっ!」
「おうよ。最後に勝つのは俺達だ!」
一息ついてから先に仕掛けて来たのはエジットだった。
ハルバードを振って来るかと思いきやまずは右のハイキックから来たので、ニールはそれを素早く両腕でブロックして前蹴りで蹴り飛ばす。
次にセレイザがロングソードを振って来るが、ニールは今しがた蹴り飛ばしたエジットの方に向かって小さくジャンプして一気に接近し、エジットの胸倉を掴んで背負い投げの要領でセレイザの方へと投げる。
「うわあっ!!」
セレイザはその飛んで来るエジットを上手く回避し、背中からエジットは地面に叩き付けられた。
彼の安否を気遣いつつも、セレイザがまたロングソードを振って来たのでニールは後ろに飛んでかわし、一気にセレイザの懐に飛び込む。
そこから防具が無い彼の顔面目掛けて強烈な頭突き。
「ぐふぉ!」
後ろにセレイザがよろけるが、ニールはそこで追撃の手を緩める事はせずに、セレイザの頭を両手で掴んで再び飛び込みながらの頭突きをまた頭に向けてクリーンヒットさせる。
その2人のバトルにエジットが乱入して来たので、頭突きで怯んだセレイザを放っておき、今度はセレイザの下段への攻撃をジャンプして回避。
それでもエジットはハルバードを振った勢いで、もう1回転して今度はニールの頭目掛けてブンッと音を立てながらハルバードを振る。
それをボクシングで良く見られるダッキング(深い屈み回避)でかわしながら、右手でエジットの足首を引っ張って転ばせ、転んだエジットの顔面を全力で踏み潰す。
「ごっ!?」
顔を押さえて悶え苦しむエジットの横から、回復したセレイザが再び向かって来るのを見たニールは、振るわれるロングソードを右、左、後ろとかわす。
その後に彼が取った行動は、セレイザのロングソードを持っている右腕を取って素早く後ろへと回り込み、背中越しに肩の関節を思いっ切り外す。
「うぐえええっ!?」
セレイザの右肩の関節が外れる音が背後で聞こえたが、それに全くニールは動じずに関節を外したまま自分の背中の上を、セレイザの身体を通して地面へと投げ倒す。
「おりゃああああっ!!」
ふと横を見てみれば、回復して来たエジットがハルバードを振り回して来る。
それを良く観察しながらニールは冷静にかわし、更にはエジットの振り回すハルバードの柄の部分を上手く両手で弾いて的確に3、4度ブロック。
そこからスパッとメイパイヤットの最初のポーズの足裁きでエジットの背後を取り、右腕をエジットの頭の後ろから回して一気に左腕も絡め、彼の首の骨を全力でへし折って息絶えさせる事に成功した。
「よ、良くもエジットを……この国の若い光を!!」
立ち上がったセレイザは激高し、利き腕の関節を外されてしまったとは言え左手でも何とかロングソードを振って、英雄を殺したニールに襲い掛かって行く。
だがやはり利き腕では無いので、その狙いもスピードも先程とは比べ物にならない程に隙だらけになってしまっている。
(しかし余り長引かせるのもまずい。ここは短期決着と行きたい所だ!!)
遅いスピードで突き出されたロングソードを回避し、それを持つセレイザの左手の手首を自分の左手で、同時に左腕の上腕二頭筋を自分の右肘で挟み込んで、さっきと同じ様に肩の関節を後ろに捻る。
そして上腕二頭筋のロックを解除しつつ右の肘をセレイザの顔面に叩き込み、手首を掴んでいた右手を離して彼を両手で思いっ切り突き飛ばし、セレイザの顔面目掛けて左ハイキック。
止めにセレイザのロングソードの柄を握っている手を両手で掴み、彼の首に刃の部分を押し当てたニールは、自分から見て左から右に向かって全力でセレイザの腕を引っ張った。
「ぐわっ!?」
首筋を切り裂かれたセレイザもエジットに続いて絶命し、力無く地面に倒れ込んだ。




