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赫蒼の殲滅者  作者: 怪奇怪獣魔爾鴉男
33/39

第33話「悪夢はふたたび」

殺人鬼キャラって厨二は好きだよね俺も好きです。


A.


「有り難うございました、助けてくれて!」



助けてくれた見知らぬ人に頭を下げる私を横目で見ると、水無ちゃんも同じ動作を取った。



「二人とも礼はいらねえぜ」



「名前を聞いても....」



「名乗るほどのもんじゃ御座いやせん。それでは」



ああ、お侍さん....あなたって人は。何てね、時代劇で良く見るこんな感じ流れ割りと好きだったりする、時代劇あんまり見ないけど。



「さっきイワンがイグって言ってたような気がしますわよ?」



もう、金城さんは英語とかドイツ語は読めるのに空気は読めないんだからー!



「遊び心が分かってねーな御嬢さん。あ、メイド釣り上げといたぞ」



イグさんが指差したところに椋椅さんが横たわってる、私たちだけじゃなく椋椅さんも助けてくれたんだね。



「椋椅!」



金城さんが椋椅さんのところに駆け寄って脈を測る。大丈夫だよね、死んでないよね....?



「良かった、生きてますわ!無事ですわ」



「結構な重症です、手がなければメイドとして使えません」



本当だ、よく見ると片手が無くなっちゃってる、確かにこれじゃ料理も掃除も出来ないよ!?



「椋椅さんどうしたの?」



「イワンに溶かされちゃったのよ....」



あの墨か....私も治癒してなかったらお腹が溶けて無くなってたんだよね、ゾッとする。



「申し訳なさそうな顔しないで下さい、別に風見さんのせいではないのですし」



....金城さんの言う通り、ひよりのせいじゃなくて私のせいだ。



「椋椅さんは私を助ける為に....」



私が負けなきゃ椋椅さんは手を溶かされたりなんかせずに済んだんだよね、再生も治癒もしない。



「緋美華だけじゃない、私の責任でもある」



水無ちゃんも申し訳なさそうに表情を曇らせる、私が負けなければこの()もやられずに済んだのに。



「春野さん、貴方が落ち込むと私の大切な人の大切な人が悲しむので辞めて下さい」



「えっ、あっ、ごめんなさい!」



別のことで怒られちゃった、落ち込むなって言われたら落ち込む訳にはいかない。



「気にしないで椋椅、義手がありますもの、椋椅にはずっと身の回りの世話をしてもらいますわよ」



「お嬢様ぁ!」



椋椅さんが金城さんに抱き付いた。綺麗な主従愛に感動してつい涙がポロリと。



「ちょっ、恥ずかしいですわよ!」



「お似合いじゃない」



「風見さん、茶化すなんて酷いですわ!」



さっきまで今のところ最大のピンチを迎えていたなんて、とても思えない雰囲気になったよ。



「本当のところ貴方は何者なの」



背を向けて私たちとは逆方向に歩き出したイグさんに、水無ちゃんは訊ねる。



「内緒だ、じゃあまた会おうぜ」



「待って下さい!私まだ聞きたいことが....」



ある....のにイグさんはもう姿を消していた。一体何者なのか、何で助けてくれたのかとか、イワンと面識が有るみたいだったし彼女が最期に残した言葉の意味についてとか、聞きたかったんだけどなぁ。



「あれ、どう帰ったんだろ?」



「私と同じ能力を持ってるのかも知れませんわ。とにかく此処にもはや用は無いですし、皆さん送りますわよ」



「疲れてない?」



「気にかけて下さって嬉しいですわ。でも心配無用、少し休んだら回復しましたもの!」



「でも背中を怪我してるよ!?」



「あなたに心配されても嬉しくありませんわね。じゃあ早速いきますわよ、寒いですし!」



こうして私たちは見慣れる筈のない極寒の極地から、何時もの見慣れた場所に戻って来たのでした。





第33話「悪夢は再び」



B.


死んだ筈のお父さんとお母さんが目の前で微笑んでいる、夢に違いないのは分かっていても久しぶりに会えて嬉しい。



「緋美華、今日は君の誕生日だな。おめでとう」



「おめでとう」



私の誕生日は九月じゃないんだけど、でもカレンダーは九月じゃなくて二月になってて十七日に丸がついてる。現実は九月だけど、今みてる夢の中は二月みたい。



「ありがとう!」



机の上には五本の蝋燭が刺さったケーキが置いてある、となればやることは一つ、思いっきり息を吸ってから吐き出す!


....前にピンポンとチャイムが鳴ったから、吸った息をつい飲んじゃったよ!



「誰かしらこんな時間に」



「ちょっと出てくる」



ガチャリ、ドアが開く音が聞こえる。私はなんだか不安に駆られた、凄く嫌な予感がするよ。



「君は一体どうしたんだ、迷子か?」



「雇われたんだよ、貴方たちを殺してってね!」



「がっ....は」



異変に気付いた私は玄関に向かい、そして後悔した。愛する家族であるお父さんが首から大量の血を噴き出して死んでいるのを見てしまった。



「やあこんばんはー」



「ひいっ!」



挨拶してきたのは、この夢の中では五歳である私と同じくらいの身長で気味の悪いピエロの仮面をつけた何者か。



「緋美華?お父さ....」



様子を見に来たお母さんも、仮面の人物に鋏で首を切られて殺されてしまった。



「い、いや....お母さん!!」



当たり前だけど幾ら揺さぶっても、お母さんは虚ろな目を開いたまま反応しない。



「どうしたの緋美華....っ!?」



私の泣き叫ぶ声を聞いて二階から降りてきたお姉ちゃんも、惨状を目の当たりにし悲鳴をあげた。



「君たちは依頼の対象外だから殺さないであげるよ」



「っ....!」



こうして私とお姉ちゃんは殺されずに済んだものの、心に深い傷が残ってしまう。そして次の日にお姉ちゃんも行方不明になって春野家で私ひとりが残ったんだ!



「可哀想にねえ」



「これからどうするのかしら」



近所の人たちの哀れみと同情の声が聞こえる、ここは葬儀場。お母さんとお父さんの葬式に私は出ていた。



「そろそろ君も殺すよ」



泣きながらお経を聞いていたら突然そんな声が聞こえてきて、それと同時に風景が血塗れのリビングからピンク色の自室に変わった。



「あれ、目が覚めたのかな」



「起きたわね。魘されてたわよ、もしかして久々にあの夢を見たの?」



「うん、怖かった」



これは夢だけど、確かに現実で起こった事だ....犯人の見た目やセリフ以外は生々しく現実での記憶に残ってる。



「もう....」



ひよりが抱き締めて頭を撫でる、昔はいまみたいな夢を見ていたら彼女はこうして落ち着かせてくれたんだよね。



「なにニヤニヤしてるの」



「ニヤニヤなんかしてないっての、アンタこそ膨れてんじゃないわよ!」



確かにひよりはニヤニヤしてるし水無ちゃんは頬を膨らませてる、一触即発って雰囲気だよ場を和ませなきゃ!



「でも悪い夢ばかりじゃないよ、この前みた夢は有名人になる夢だったよ。ゆーめーじん、なんちゃって!」



「....」



「....」



「こんな夢をまた見たのはイワンが最期に言い残した言葉のせいね」



....ガーン、スルーされちゃった!



「きっとそうだよ。近くに私のお父さんとお母さんを殺した犯人が居るんなんて....」



「気味悪いわ、はやく見つけ出して断罪するのよ!」



うわ、過激な発言!でも私だって犯人を許すことなんて出来ないし捕まえて警察に突き出して罪を償わせるんだから。



「あ、そうそう今まで見てきた悪夢よりハッキリしてたというか、ちょっと細かい描写になってて。手掛かりになるかは分からないけど....」



「夢の中に犯人が出てきたんだね」



流石は水無ちゃんだよ、察しがいい....!



「うん。そうなんだ」



「一応なにも無いよりはマシだから聞くわ、どんな格好だったの?」



「子供だった、気味悪いピエロの仮面を被ってて顔は見えなかったけど」



思い出すだけで震えちゃう程に凄く不気味で怖い格好、現実の犯人も同じ服装かは分からないけど。



「ホラー映画の殺人鬼みたいね」



「とにかく気を引き締めるよ、緋美華」



「うん!」



そろそろ君も殺す、夢の中で聞いた言葉。でも現実の犯人も内心そう思って私を狙ってるに違いない。


だけど無力な子供時代と違って今の私には強力な能力がある、返り討ちにしてトラウマを乗り越えるんだ。




C.


亜神町の隣町にある一軒家へ、顔の崩れたピエロの仮面を被り黒いマントを羽織った身の丈百六十センチほどの謎の人物が窓ガラスを石で割って侵入していた。



「なんだ....? ひっ!!」



この家の大黒柱である父親は臆病者ではないが、情けなく悲鳴をあげるが仕方ない。


誰だろうと夜に目を覚ますと、目の前に不気味極まりない格好をした人間が血塗れのハサミを手に立っていれば驚くだろう。



「不幸にも目が覚めちゃったかー」



「俺の妻と娘を....何故だ!?」



父親は血を啜った鋏と、侵入者の足元に横たわる赤く染まったパジャマ姿の娘と妻を見て怒りが噴き出してきた。



「殺し屋だから依頼されたんだよ、誰かは仕事柄とても言えないけど!」



「殺し屋だと、どんな理由であれ家族の仇をとってやる!」



父親は枕元に置いてあった木刀を構え、振り下ろすが仮面の殺し屋は鋏の刃で簡単に受け止めてしまう。



「なにぃ」



「ぺっ!」



殺し屋は口を大きく開くと、唾のようにナイフを吐き出し父親の額を貫いてしまった。



「バカ....な....」



「この程度で死んじゃうなんて三点だね」



「やっぱり人を殺した後は喉が渇いちゃうな」



喉を潤す為に、殺人者は血塗れの手袋で冷蔵庫を開けて飲み物を探し、ビールと炭酸飲料を見つけ手を挙げて喜んだ。



「これ大好きなファタングレープじゃん、ラッキー! 早速いただいちゃおっと」



冷蔵庫の次は台所を漁り、取り出したコップに炭酸飲料を注いで一気に飲み干しゲップを出すと、殺人者は冷蔵庫を見つめた。



「わたし未成年だからビールは駄目だよね。でも勿体無いし....そうだ飲ませちゃえ」



そう言ってビールも取り出して蓋を開けると、仮面の殺し屋は哀れな被害者たちの口に少しずつ注いで嗤う。



「あ、君は未成年だっけ!ごめんね」



そう言って殺し屋は娘の死体に手を合わせてウインク。この罪なき者たちの平穏をと幸福を冷酷にも奪った吐き気を催す悪党の正体は何か、目的は何か、春野 緋美華の両親を殺した犯人と同一人物なのか....!?



つづく




犯人が主人公の知り合いってパターンすき

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